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セッション定番曲その233:Don't Get Around Much Anymore by Duke Ellington

ジャズ(ボーカル)セッションの定番曲。ジャズ畑以外のミュージシャンにも人気で、アレンジの方向性を決めてから演奏/歌唱する必要があります。
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:Duke Ellington

1940年録音。Duke Ellingtonならではの品の良さと親しみやすさが同居した名曲。牧歌的な曲調ですが、ビッグバンドならではのスイング感が心地良いですね。

ポイント2:The Ink Spots

1943年録音。ジャズボーカルというよりもドゥーワップ(の先駆け)ですね。ジャズ=その時代のポピュラー音楽だった時代には音楽ジャンルの垣根が低かったのが分かります。ジャズボーカルのルーツのひとつにはこういうのもあったことは知っておいた方が、肩の力を抜いて取り組む勇気が出ますね。

ポイント3:Nat King Cole

1957年録音。甘く柔らかい声、抜群のリズム感。根底にはファンキーなものもあるのに、決してシャウトせず、ボーカルが演奏をリードしていく感じが最高ですね。


ポイント4:歌詞のポイント

男性が歌うことも多い曲ですが、いちおう女性を主人公として書きます。

Don't Get Around Much Anymore
「get around」は「あちこちに出歩く、うろつく」で、何処に行っているかというと「自分以外の女の所」つまり「浮気している」訳です。相手はモテる男なんでしょうね。それを「もうやめて!」と主人公は懇願しています。

Missed the Saturday dance
Heard they crowded the floor
It's awfully different without you
Don't get around much anymore

主人公が楽しみにしていた週末のダンスパーティーの約束もすっぽかされてしまったようです。恋人と一緒にいたいのに、そうでなければ混雑しているだけのダンスフロアなんかには行きたくありません。「こんな夜にあなたは何処の誰と一緒に遊んでいるの!?」と。

最初の2行は主語の「I」を敢えて省略してキレの良さとスピード感を出していると想います。以下も同様の手法が使われていますね。

Thought I'd visit the club
Got as far as the door
They'd have asked me about you
Don't get around much anymore

ダンスクラブの入り口近くまでは行ったけど、入らなかった
だって「あれっ?いつものお連れは?」って聞かれると嫌だから
なんであなたは私と一緒にいないの?

「'd」は「would」で「しようとした(けど、しなかった)」「かもしれない」という逡巡や推測の気持ちを表現していています。聞き取れるかどうか微妙ん発音で歌うのがキモですね。

Darling, I guess my mind's more at ease
But nevertheless, why stir up memories?

(もうあなたの浮気心にも慣れて)少しは落ち着いて受け入れられるようになってきたけど
それなのに、何でわざわざ嫌なことを思い出せるのかな?

stir up」はグラスとかの中の液体を掻き回す仕草です。一旦は落ち着いている(沈殿している)ものをわざわざかき混ぜてザワザワさせてくる相手。意図的なのか、それとも無意識(無神経)なのか?

Been invited on dates
Might have gone, but what for?
I couldn't bear it without you
Don't get around much anymore

他の男性にデートに誘われたの(私はモテるのよ)
行こうかとも思ったけど、意味無いよね
あなたがいなくちゃつまらない
浮気はやめて、戻ってきてよ

bear it」は「(それを)我慢する、耐える」という意味です。こういう「it」の使い方は慣れるしかないですね。
「can't」ではなく「couldn't」になっているのは「仮定の話」だからで、微妙なニュアンスですね。

主人公は相手の仕打ちにイライラしながら、でも「そばにいて欲しい」と懇願しています。2人の心がまだ近くにあるのか、それとももう離れているのか、その解釈次第で歌い方、表現の仕方も変わってきそうですね。曲調は割と明るいので、演歌的な悲哀ではなくて「オトナの駆け引き」という解釈がオシャレかもしれません。


ポイント5:曲の構成

AABA 構成。ブレイクのフレーズをどこまでファンキーにするかで印象が大きく変わります。

リードシート例


ポイント6:様々なバリュエーションを楽しみましょう

ジャズ畑以外の様々なミュージシャンにも取り上げられているのが、まさにスタンダードナンバーという感じ。

Harry Connick Jr.、1989年録音
人気映画「When Harry Met Sally」のサントラから。グッとテンポを落として、気持ちがすれ違うふたりの様子を描写している印象です。


Sam Cooke、1961年録音
ブルースフェイクを随所に挟んで「黒っぽさ」を打ち出しています。もっとファンキー寄りにアレンジ出来たからもしれませんが、いい塩梅に抑えているところがセンス。


Ella Fitzgerald, Duke Ellington、1957年録音
私は技巧を駆使して歌うエラよりも、こんな感じで微妙な表現に徹した時の彼女の歌唱が好きです。


June Christy、1959年録音
2回し目の楽器隊との絡みがまさに「スイング」という感じのお手本。


Rod Stewart
、2003年録音
なんともオトナのな色気のある歌声。恋の駆け引き。


Louis Armstrong, Duke Ellington
、1961年録音
唯一無二ですね。


Willie Nelson、1978年録音


Paul McCartney、1988年録音
ロックンロール!


B. B. King、1960年録音
この人が歌うと、やっぱり「悲恋」のイメージ。


Ben Webster
、1964年録音


Nicky Hopkins
、1966年録音
彼独特の転がるピアノが堪能出来ます。


◼️歌詞


(Verse)
When I'm not playing solitaire
I take a book down from the shelf
And what with programs on the air
I keep pretty much to myself

(Chorus)
Missed the Saturday dance
Heard they crowded the floor
It's awfully different without you
Don't get around much anymore

Thought I'd visit the club
Got as far as the door
I couldn't bear it without you
Don't get around much anymore

Darling, I guess my mind's more at ease
But nevertheless, why stir up memories?

Been invited on dates
Might have gone, but what for?
I couldn't bear it without you
Don't get around much anymore



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