セッション定番曲その252:Say It (Over And Over Again)
ジャズセッションの定番曲。誰もがどこかで聴いたことのある曲ですが、意外と曲名が出てこないかもしれません。しっとりしたバラード。
(歌詞は最下段に掲載)
和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。
ポイント1:John Coltrane Quartet
「どこかで聴いたことがある」のはこのベストセラーアルバムのおかげかもしれません。マウスピースの不調(?)で速いフレーズが吹けなかった時期の全曲バラードのアルバム、1962年リリース。ジャズファンでなくても気負わずに聴ける作品で、私もこれを結婚祝いのプレゼントとして重宝していました。
このアルバムの1曲目がこの曲。柔らかいサックスの音色、息遣いまで表現に使った演奏。曲者揃いのメンバーがこんなストレートな表現に徹しているのも貴重ですね。
ポイント2:1940年
映画「Buck Benny Rides Again」の為に書かれた曲で、原曲はこんな感じ。
バラードというよりも軽いスイング曲みたいな感じですね。これだけ聴くと特別に名曲という印象は無いので、後のバラード・アレンジがいかに素晴らしかったのか分かります。
ポイント3:Karrin Allyson
2001年録音、これはグッとモダンな歌唱。コルトレーンの「バラード」アルバム全曲+αのジャズバラード曲を歌ったアルバムです。名曲、名唱揃いの名盤。ジャズ歌手にとっても全曲バラードのアルバムというのは、ゴマカシが利かないので大きな挑戦だったと思います。
ポイント4:歌詞のポイント
Say it over and over again
Over and over again
Never stop saying you're mine
「over」が4回も出てきます。
あなたは私のものだとずっと言い続けて欲しい
これだけのことを情熱的な表現で歌っています。
ここの解釈は「Never stop saying "you're mine"」と「Never stop saying that you're mine」と2種類あって「you」の指すものが変わります。私は後者の解釈にしました。その方が詩的なので。
Tell me ever and ever so sweet
Soft words of love be repeating
Just like an old valentine
昔くれたバレンタインカードに書いていたように
優しい愛の言葉を甘くささやいて欲しい
(それが陳腐でもかまわないから)
カッコ内は歌詞の裏の気持ち。この歌詞自体が少し陳腐な決まり文句で出来ていますが、意図的に繰り返される言葉が歌のリズムを作っています。
When you say I love you
The same old I love you
They whisper in stories and plays
ここでは「I love you」が2回も。
あなたが「I love you」と言う時
それは古いお芝居とかで繰り返し使われていた「「I love you」の響き
You can change I love you
The same old I love you
To oh such a heavenly phrase
でも、あなたはその「I love you」に本当の気持ちを込めて
それをとっても素敵な言葉に変えることが出来る
英語圏では「I love you」が気軽に頻繁に使われて、半ば挨拶がわりになっていたりしますが、そうではなくて「本気のI love you」を聞かせて欲しい、と。
So tell me softly and gently
And over and over again
Never stop saying you're mine
ここで歌詞の最初の部分の繰り返しです。さらに細かく注文を付けて、懇願するように。
柔らかい声で、優しく、繰り返して欲しい
あなたは私のものだと
聞き慣れたシンプルな単語しか使われていませんが、1行1行を丁寧に感情を込めて歌いたいですね。インストで演奏する時もメロディにどんな歌詞がのっているのか知っていると、さらに繊細なバラードになると思います。
ポイント5:曲の構成
AABA構成。Aパートのメロディはゆったりしていますが、Bパートだけ細かい譜割りになっています。Aパートの3連になっているところがワルツのような優雅さを表現しているので、丁寧に歌いましょう。声域もそんなに広くないので余裕を持って工夫してみましょう。

ポイント6:様々なバリュエーションを聴いてみましょう
Frank Sinatra、1940年頃録音?
アイドル時代の歌唱。優雅に語りかけるように歌っています。
Kurt Elling、2009年ライブ録音
声の良さに頼るのではなく、細かく工夫して表情を付けて歌っています。好き嫌いの分かれるスタイルではあります。
John Pizzarelli、2005年録音
ここではギターを弾かず歌に専念しているようです。少し細く柔らかい歌声。
Diana Panton、2013年録音
ヴァースから歌っています。
Julian Lage、2024年ライブ録音
ソロギター演奏。会場も素敵ですね。
◼️歌詞
Say it over and over again
Over and over again
Never stop saying you're mine
Tell me ever and ever so sweet
Soft words of love be repeating
Just like an old valentine
When you say I love you
The same old I love you
They whisper in stories and plays
You can change I love you
The same old I love you
To oh such a heavenly phrase
So tell me softly and gently
And over and over again
Never stop saying you're mine
