今日を生きるということ#4
― 生きることが怖くなる日
今日という日を、どうやって終えればいいのか分からなくなる瞬間がある。
仕事も、人間関係も、未来への不安も、
ぜんぶ胸の奥で、泥のように重く沈んでいく。
午後の会議で言われた一言が、
思いのほか深く刺さって、
そこから心がじわじわと冷えていくのが分かった。
「あなたの考え方、ズレてるよ」
その何気ない言葉が、夕方までずっと尾を引いた。
帰り道のホームで立ち止まったとき、
ふと、世界が少しだけ遠くなるような感覚に襲われる。
生きていくのが怖い――
そう呟いたら、誰かが気づいてくれるだろうか。
それとも、笑われてしまうのだろうか。
夜の部屋で、息が浅くなる
帰宅して電気をつけた瞬間、
部屋の静けさが、やけに攻撃的に感じた。
ソファに座っても、
スマホを開いても、
誰の言葉も、心に入ってこない。
「……もう無理かもしれない」
小さくこぼれた声に、
思わず自分でびっくりした。
たったひと言で、
心の奥が決壊してしまいそうだった。
泣くほどの余裕すらなくて、
ただ、何も感じない空洞の中で座っているだけ。
このまま夜が終わらなければいいのに――
そんなことさえ思った。
たった一行に救われた夜
どれくらい時間が経っただろう。
ぼんやりSNSを眺めていたら、
流れてきた誰かの投稿が目に止まった。
「今日を耐えたあなたは、十分すごい」
それだけの文章だった。
特別な言葉じゃない。
誰に向けたものでもない。
けれど、
その一行が、胸の奥の冷たい場所を
ほんの少しだけ温めた。
ああ――
自分を責めなくていいのかもしれない。
今日、うまくできなかったとしても。
心が折れかけても。
それでも「耐えた」だけで、
価値はあるのかもしれない。
涙は出なかった。
だけど、
呼吸がゆっくり戻っていくのを感じた。
明日を迎えるために
生きることが怖くなる日なんて、誰にでもある。
そして、その恐怖は決して「弱さ」じゃない。
心が必死に、
これ以上傷つかないよう
守ろうとしている証拠だ。
今日はもう、頑張らなくていい。
誰とも比べなくていい。
ただ、布団に潜って、
静かな呼吸を続けて、
心が落ち着くのを待てばいい。
あなたは今日を、ちゃんと生きた。
それだけで、確かに価値がある。
