第6話|もし今日を、もう一度やり直せるとしても。
私の大好きな映画に、
『アバウト・タイム』
という作品があります。
主人公には、
過去に戻れる不思議な力がある。
「あのとき、こう言えばよかった」
「あれをやらなければよかった」
そんな瞬間に戻って、
人生をやり直すことができる。
……最高じゃないですか。(笑)
私だったら、
やり直したい場面、まあまあある。
言わなくていい一言を言った日。
勇気が出なかった日。
選択を間違えたと思った日。
恥ずかしすぎて、
記憶ごと消したい日。(笑)
もし戻れるなら、
もっと上手にできたのかな。
ずっとそう思っていました。
でも、この映画で好きなのは「過去に戻れること」じゃない。
物語が進むにつれて、
主人公は少しずつ変わっていきます。
過去に戻って、
人生を完璧に修正することより、
目の前にある普通の一日をちゃんと生きること
のほうが大切なんじゃないかと気づいていく。
そして、
過去に戻らなくなっていく。
私はそこが、
ものすごく好きです。
「今日をもう一度やり直している」と思ってみる。
映画を観てから、
たまに考えるようになりました。
もし今日が、
すでに一度経験した一日だったら?
一回目の私は、
朝から余裕がなくて、
娘に「早くして!」って言って、
旦那さんにイライラして、
スマホを見ながらご飯を食べて、
「あー今日も疲れた」
と言って寝た。
そして夜、
今日という日にもう一度戻れることになった。
だったら二回目の私は、
何を変えるだろう。
たぶん、ものすごいことはしない。
娘が、
「ママ見て!」
と言ったら、
あと3秒だけ見る。
旦那さんが帰ってきたら、
用事を言う前に、
「おかえり」
と言う。
母から電話が来たら、
「また心配してるの?」
の前に、
ちょっと話を聞く。
姉には……
まあ、
できる範囲で優しくする。(笑)
大好きなティーを飲んだら、
「おいしいな」
と思う。(コーヒー飲めません)
空がきれいだったら、
一回ちゃんと見る。
たぶん、
そのくらい。
人生を変えるのって、案外こういうことなのかもしれない。
私たちは、
「人生を大切にしよう」
と言われると、
なんだかものすごいことをしなきゃいけない気がします。
夢を叶える。
海外へ行く。
仕事で成功する。
もちろん、それも素敵。
私も、
やりたいことはどんどんやりたい。
でも、
人生の大部分って、
たぶん、
何でもない日
なんですよね。
朝起きて。
ご飯を食べて。
仕事して。
家族と話して。
お風呂に入って。
寝る。
だったら、
人生を楽しむって、
特別な日を増やすことだけじゃなくて、
何でもない日を、ちょっと面白がること
なのかもしれない。
失敗した日も、人生の一部。
そして私は、
失敗についても、
少し考え方が変わりました。
昔は、
失敗すると、
「やり直したい!」
と思っていました。
でも今は、
もちろん反省はするけれど、
これも一回しかない人生の一部か
と思えることがあります。
娘に怒りすぎた。
仕事で間違えた。
旦那さんとケンカした。
余計なことを言った。
全部、
できれば避けたい。
でも、
失敗したから謝った。
ケンカしたから、
相手の考えていたことを知った。
間違えたから、
次は気をつけるようになった。
そう考えると、
失敗まで全部消してしまったら、
今の私は、
今の私じゃなくなるのかもしれません。
何もかも一度きりだから、尊い。
第5話で、
大切な人との別れについて少し書きました。
だからこそ私は、
「また今度」が必ずあるわけじゃない
と思っています。
今日の娘は、
今日しかいない。
明日になったら、
一日分大きくなっている。
今日の母も、
今日の姉も、
今日の旦那さんも。
そして、
今日の私も。
全部、
一回きり。
そう思うと、
完璧じゃない今日まで、
ちょっと愛おしく見えてきます。
ここから、ちょっとスピリチュアルな話をします。(笑)
これは何かの教えでも、
正しい答えでもありません。
完全に私の感覚です。
でも私は最近、
人生って、
「魂が身体という器を借りて、地球に旅行に来ている」
みたいなものなのかな、
と思うことがあります。
はい。
急に壮大になりました。(笑)
でも、
そう考えると、
なんか楽しいんです。
せっかく地球まで来たんだから。
もし本当に、
この身体を借りて、
いろんな経験をするためにここへ来たのだとしたら。
嬉しい。
悲しい。
ムカつく。
恋をする。
誰かを大好きになる。
子どもを抱きしめる。
仕事で悔しい思いをする。
おいしいものを食べる。
くだらないことで爆笑する。
全部、
身体がある今しかできない経験
なのかもしれない。
だったら、
せっかく地球まで来たんだから、
いっぱい経験して帰りたい。(笑)
だから私は、人生は大胆でいいと思っている。
失敗するかもしれない。
恥をかくかもしれない。
思った通りにならないかもしれない。
それでも、
やりたいならやってみる。
好きなら好きと言う。
会いたいなら会う。
行きたい場所へ行く。
笑えるなら笑う。
泣きたいなら泣く。
だって、
この人生が一度きりなら、
失敗しないことより、ちゃんと経験することのほうが面白い。
だから、
人生は大胆に。
でも、人との関係は綿密に。
大胆に生きる。
でも、
人を雑に扱うこととは違う。
むしろ、
一度きりだからこそ、
一緒にいてくれる人を大切にしたい。
「ありがとう」
「ごめんね」
「嬉しい」
「大好き」
思ったことは、
できるだけ今伝えたい。
もちろん、
毎回なんてできません。
また娘に怒るし、
旦那さんにもイラッとする。(笑)
それでも、
思い出したときに、
一個だけ心を送る。
私はそれでいいと思っています。
もし世界中の人が、ほんの少しだけ。
ここからさらに壮大になります。(笑)
でも私は本気で思っています。
世界中の人が、
ほんの少しだけ、
目の前の人に、
「この人にも、この人の人生がある」
と思えたら。
ほんの少しだけ、
相手に届く言葉を選べたら。
ほんの少しだけ、
自分の正しさより、
相手の気持ちを想像できたら。
争いだって、
今より少し減るんじゃないかな。
究極、
戦争さえなくなるような、優しい世界に近づくんじゃないかな
なんて思ったりします。
大げさです。
分かってます。(笑)
でも、
みんな生まれて、
いつか死ぬ。
だったら、
憎み合っている時間より、
笑っている時間のほうが多い世界がいい。
私はそう思います。
今日の心送り。
もし今日を、
もう一度やり直せるとしたら。
あなたは、
誰に何を言いますか?
何をちゃんと見ますか?
何を面白がりますか?
たぶん、
人生を全部変える必要なんてない。
「おはよう」をちゃんと言う。
娘の話を3秒長く聞く。
お茶をゆっくり飲む。
「ありがとう」を一個増やす。
それくらいでいい。
過去に戻れなくても、
今、この瞬間からなら変えられる。
だから私は、
過去を完璧にやり直す人生より、
失敗しながら、
笑いながら、
今日をちゃんと生きる人生がいい。
せっかく地球まで来たんだから。
楽しんで帰ろう。(笑)
人生は大胆に。
人との関係は綿密に。
そして、
親しき仲にも、ホスピタリティ。
今日も、
小さな心送りを。
