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「力を抜くと圧が逃げる」を解消!脱力圧のやり方|しっかり効いて施術者も疲れない姿勢と体重移動のコツ

1、「力を抜くと圧が逃げる」は本当?脱力圧は“弱く押す”ことではありません

「もっと力を抜いて施術したほうがいいですよ」

そう言われたことのあるセラピストさんは、けっこう多いんじゃないでしょうか。

指が痛い。

腰がつらい。

肩もパンパンになる。

だから、もう少し力を抜いたほうがいい。

頭では分かる。

でも、実際に力を抜いてみると、

「あれ? 圧が入らない」

となる。

お客様から「もう少し強くお願いします」なんて言われると、やっぱりそうだ、と思ってしまう。

力を抜いたら、圧も抜ける。

だったら、しっかり効かせるためには、ある程度は力を入れるしかない。

そんなふうに思っていませんか?

私は、ここにひとつ大きな勘違いがあると思っています。

「力を抜くこと」と「圧を抜くこと」は、同じではありません。「力を抜くと、圧はかかる」です。

私は、余計な力が抜けたほうが、圧は相手の身体へ素直に伝わると感じています。

じゃあ、どうして力を抜くと圧が逃げてしまうのか。

何が違うのか。

そこには、腕力とは別の「身体の使い方」があります。

それが今回お話ししたい、脱力圧です。


🔳脱力圧とは、力を抜いて弱く押すことではない

「脱力」という言葉から、

フニャッとする。

力を入れない。

やさしく触れる。

そんなものを想像するかもしれません。

でも、私が伝えている脱力圧は、そういう意味ではありません。

必要なのは、まず自分の身体に**「軸」**があること。

そして、腕の筋力だけで押すのではなく、股関節の動きを使って自分の体重を移動させること。

さらに、相手の身体に触れたときに生まれる**「拮抗」**を感じながら、自分の身体の向きや角度を調整していくこと。

この3つが、とても大事になります。

軸。

体重移動。

拮抗。

こう書くと、

「なんだか難しそう……」

と思いますよね。

まあ、簡単です!とは言いません(笑)。

特に体重移動は、「体重を使ってください」と言葉で説明しただけでは、なかなか伝わらないところがあります。

なぜなら、これは頭で理解するというより、身体で「あ、これか」と感じていくものだからです。

🔳圧を生み出すのではなく、自分の重さを届ける

私たちは「強い圧を入れよう」とすると、つい自分で圧をつくろうとします。

腕に力を入れる。

肩を固める。

指で押し込む。

もっと強く。

もうちょっと。

もうちょっと……。

で、施術が終わったら自分の指が痛い(笑)。

でも、本当にそれしか方法がないのでしょうか。

私たちの身体には、そもそも重さがあります。

そして、その身体には重力が働いている。

だったら、その重さを使えばいい。

私はそう考えています。

自分の身体の軸を感じながら、股関節から体重を移動させ、その重さを手を通して相手へ届けていく。

押すというより、届ける。

この感覚です。

ただし、相手の上にドーンと体重を乗せればいい、という話ではありません。

それでは単なる体重任せになってしまいます。

相手の身体から手に返ってくる感覚を受け取りながら、自分の身体の向きや角度を微細に調整していく。

そこで必要になるのが、私が講座で「拮抗」と呼んでいる感覚です。

🔳施術者が楽であることと、しっかり圧が届くことは両立する

私は、人を楽にするために、セラピスト自身が身体を犠牲にする必要はないと思っています。

お客様に満足していただくためには、自分が頑張らなければいけない。

強い圧を出すためには、自分の指や腰が多少つらくても仕方がない。

本当にそうでしょうか。

施術者が楽であること。

お客様にしっかり圧が届くこと。

この二つは、反対ではないんです。

むしろ私は、自分の身体の余計な力が抜けているからこそ、相手の身体を感じられるのだと思っています。

触れる。

感じる。

そして、自分の身体を調整する。

施術は、その繰り返しです。

だから脱力圧を身につける第一歩は、

「どうすればもっと強く押せるんだろう?」

と考えることではありません。

まず、

「私は今、どんな身体でこの人に触れているんだろう?」

と、自分の身体へ意識を戻してみること。

足裏はどうなっている?

呼吸はしている?

肩は上がっていない?

腰だけで踏ん張っていない?

そして、自分の軸はどこにある?

お客様の身体を感じる前に、まず自分の身体を感じる。

脱力圧は、そこから始まるんじゃないかと私は思っています。


2、「もっと強く押さなきゃ」で指や腰がつらいセラピストさんへ

施術が終わったあと、親指の付け根を反対の手で揉んでいる。

腰をトントン叩きながら、次のお客様を迎える準備をする。

そんなこと、ありませんか?

一人ならまだ大丈夫。

二人、三人と続いてくると、だんだん身体がつらくなる。

でも、予約が入っているから休めない。

個人サロンなら、なおさらです。

自分が休めば、その日の売上もなくなりますからね。

だから、

「もうちょっと頑張ろう」

となる。

そしてまた、頑張る。

でもね。

私は、この「頑張る」ということを、一度考えてみてもいいと思うのです。

🔳「もっと強く」と言われるのが怖い

特に怖いのが、お客様から、

「もう少し強めでお願いします」

と言われることではないでしょうか。

せっかく来てくださったんだから、満足して帰っていただきたい。

「弱かったな」

なんて思われたくない。

次も来てもらいたい。

だから、つい力を入れる。

親指でグッと押す。

肩にも力が入る。

腰を固める。

そして施術者のほうが汗だくになる(笑)。

真面目な人ほど、やるんだよね。

でも、その「もっと強く」が積み重なった先で、指や腰が悲鳴を上げ始めたらどうでしょう。

🔳身体がつらくても、簡単には施術人数を減らせない

40代くらいになってくると、

「この施術を、あと何年続けられるんだろう」

と考えることもあると思います。

20代、30代の頃なら、一晩寝ればなんとかなった疲れが残ることもある。

指が痛い。

腰がつらい。

肩が抜けない。

だったら予約を減らせばいい。

……と言われても、個人サロンではそんなに簡単な話ではありません。

施術人数を減らしたら、売上も減るかもしれない。

売上を維持しようと思ったら、やっぱり予約を入れる。

身体がつらいから休みたい。

でも、売上のためには働かなければならない。

この繰り返しになってしまう。

そして一番怖いのは、

「体力的に、もう施術を続けられない」

という日が来ることです。

🔳技術を落としたいわけではない

ここは、とても大事なところだと思っています。

身体を楽にしたいからといって、施術の質を落としたいわけではないんですよね。

むしろ逆です。

ちゃんと触れたい。

しっかり圧を届けたい。

お客様に、

「ああ、気持ちよかった」

と言って帰っていただきたい。

できれば、

「ここじゃないとダメなのよ」

なんて言ってもらえたら、そりゃあ嬉しい(笑)。

だからこそ、

自分が楽になること=手を抜くこと

のように感じてしまう人もいるのかもしれません。

でも、本当にそうでしょうか。

🔳施術者が頑張り続けることが「いい施術」なのだろうか

お客様には、

「力を抜いてくださいね」

「ゆっくり呼吸してくださいね」

と言っている。

ところが自分は、

肩を固めて、

息を止めて、

歯を食いしばって押している。

……なんだか妙な話です。

(私たち、何をしているんでしょうね。)

お客様をゆるめる仕事をしている私たち自身が、ガチガチになっている。

私は、そこにずっと違和感があります。

添付していただいた私の文章ナレッジにもあるように、私が施術で大切にしているのは、**「人を癒すために、自分自身を犠牲にする必要はない」**ということです。

そして、セラピスト自身が楽であることと、お客様が深くゆるむことは反対ではない。

むしろ、つながっている。

私はそう考えています。

🔳50代、60代になっても、この仕事を続けるために

サロンを続けるというのは、単に売上をつくり続けることではないと思うんです。

自分の身体も一緒に、歳を重ねていく。

50代になったとき。

60代になったとき。

そのときにも、

「今日もこの人に触れられてよかったな」

と思いながら施術できる身体でいたい。

一日に何人も何人も詰め込んで、時間に追われて、身体をすり減らして売上をつくる。

そうではなく。

一人ひとりにゆったり触れる。

自分も呼吸している。

お客様もゆるんでいる。

そして、それでもサロンとしてちゃんと成り立っている。

そんな働き方ができたらいいじゃない?

私は、そう思うのです。

そのためにも、

「もっと力を入れなきゃ」

という施術から、

🔳「どうすれば、自分の身体を無理なく使って圧を届けられるだろう?」

という施術へ。

少しずつ視点を変えていく必要がある。

その入口になるのが、私は「脱力圧」なのではないかと思っています。


3、力まなくてもしっかり圧が届く。疲れにくい施術の身体の使い方

もし、

「しっかり圧を入れるためには、自分も頑張らなければならない」

と思っているとしたら。

この記事をきっかけに、その感覚を少し変えてもらえたらと思っています。

目指しているのは、

弱い施術ではありません。

ちゃんと圧は届く。

お客様にも満足していただく。

でも、施術者は必要以上に頑張っていない。

そんな施術です。

🔳「力を抜く」と「圧が抜ける」を切り離す

まず知ってほしいのは、

「力を抜く=圧が弱くなる」ではない

ということです。

ここが切り離せるだけでも、施術はずいぶん変わると思います。

圧が足りない。

もっと力を入れる。

腕や肩が固くなる。

さらに指で押す。

この繰り返しから、一度降りてみる。

圧が逃げたと感じたら、

「もっと力を入れよう」

ではなく、

「今、私の軸はどうなっている?」

と考えてみる。

この問いを持てるようになることが、まず一つ目の変化です。

🔳指ではなく、身体の重さを届けられるようになる

そして次に感じてほしいのが、体重移動です。

腕力で押すのではなく、股関節の小さな動きによって重心が移っていく。

その結果として、自分の身体の重さが手へ伝わる。

そして、その手から相手へ伝わっていく。

これは、

「よいしょ!」

と体重をかけるのとは違います。

もっと小さい。

もっと静か。

外から見ていると、ほとんど動いていないように見えることだってあります。

でも、身体の中では重心が移っている。

私は、この股関節から始まる微細な体重移動を感じられるようになることが、とても大切だと思っています。

🔳「もっと強く」と言われても、すぐ腕力に戻らなくなる

これも大きいと思います。

お客様から、

「もう少し強めで」

と言われたとき。

以前なら、

「はい」

と言いながら、腕にグッと力を入れていたかもしれません。

でも脱力圧の身体感覚が分かってくると、選択肢が変わってきます。

力を足す前に、

自分の軸を確認する。

股関節から体重を移動させる。

相手から返ってくる感覚を受け取る。

そして、必要なら身体の向きや角度を変えてみる。

力を足すのではなく、身体を調整する。

ここなんだよね。

🔳相手との「拮抗」を感じながら施術できるようになる

私が講座で「拮抗」と呼んでいる感覚も、ここにつながります。

施術は、こちらから相手へ何かを一方的に与えるだけではありません。

触れた瞬間から、こちらも相手の身体から何かを受け取っています。

皮膚の感じ。

身体の張り。

沈み方。

返ってくる感覚。

それを感じながら、自分の位置や向き、角度を少しずつ変えていく。

「あ、ここだな」

というところがある。

そこでは、こちらが無理に頑張らなくても、圧が逃げにくい。

自分と相手の間で、ちょうどいい拮抗が生まれている。

私はそんなふうに感じています。

🔳施術が終わったあとの自分の身体も変わってくる

そして、もう一つ。

私は、お客様がどうだったかだけではなく、

施術が終わったあとの自分の身体がどうなっているか

も、とても大事だと思っています。

指はどう?

腰は?

肩は?

呼吸は?

疲れていることそのものが悪いわけではありません。

仕事をすれば疲れることはあります。

でも、

「一人施術するたびに、自分の身体のどこかを削っている」

みたいな感覚になっているのなら、一度身体の使い方を見直してもいい。

お客様には、

「自分の身体を大切にしてくださいね」

なんて言っているわけですから。

私たちも大切にしましょう(笑)。

🔳50代、60代になった自分の施術を想像してみる

そして、この記事で一番持ち帰ってほしいのは、もしかすると技術ではないのかもしれません。

今より10年後。

20年後。

そのとき、自分はどんなふうに人に触れていたいでしょう。

若い頃と同じ筋力があるとは限らない。

一日に施術できる人数だって変わるかもしれない。

でも、

身体の使い方は、歳を重ねながら深めていくことができる。

私はそう思っています。

たくさん予約を詰め込んで、時間に追われながら施術するのではなく。

自分も呼吸している。

お客様もゆったりしている。

触れることそのものを味わえる。

そして、その仕事でちゃんとサロンが続いている。

そんな働き方ができたらいいじゃない?

脱力圧を身につけるということは、

単に「疲れない押し方」を覚えることではなく、

🔳これから先も、自分の身体と一緒にセラピストを続けていくための身体の使い方を育てること。

私は、そんなふうに考えています。


4、なぜ力を抜くと圧が逃げるのか?「腕で押す施術」になっていませんか

では、そもそも

なぜ力を抜くと、圧まで逃げてしまうのでしょう。

「私の筋力が足りないから?」

「もっと体幹を鍛えたほうがいい?」

そう思う人もいるかもしれません。

でも私は、まず筋力を増やすことよりも、

「その圧を、どこで生み出しているのか」

を見てみてほしいと思っています。

力を抜いた瞬間に圧まで抜けてしまうなら、もしかすると今まで、その圧を腕や指の力で作っていたのかもしれません。

🌼原因①「圧をかける=筋肉で押す」になっている

施術をしていて、

「ここはもう少し圧が必要だな」

と感じる。

すると、どうするでしょう。

手に力を入れる。

腕に力を入れる。

肩を固める。

それでも足りなければ、親指でグッと押し込む。

こうやって圧を作っていると、確かに力を抜いた瞬間、圧も弱くなります。

だって、

圧を作っていたもの自体を抜いたわけですから。

これはある意味、当たり前なんですね。

でも、ここで考えてみたい。

圧は、本当に腕の筋力だけで作らなければいけないのでしょうか。

私たちの身体には重さがあります。

足の裏には床がある。

そして重力がある。

だったら、自分の身体全体を使えばいい。

腕や指だけに、

「あなたたち、よろしくね」

と全部背負わせなくてもいいわけです(笑)。

🌼原因②「力を抜く」と「身体を崩す」を一緒にしている

もう一つ、よく起きているのがこれです。

「力を抜いてみてください」

と言われて、

ふにゃ。

となってしまう。

肩の力は抜けた。

腕の力も抜けた。

でも同時に、自分の身体を支えていたものまでなくなってしまう。

すると、圧が逃げます。

だから、

「ほら、やっぱり脱力したら圧が入らない」

となる。

でもね。

ここで抜きたいのは、必要のない力なんです。

身体そのものを崩したいわけではありません。

ここで大事になるのが「軸」です。

軸というのは、単に背筋をピンと伸ばして「良い姿勢」を作ることではありません。

自分の足裏を感じて、

その下にある床を感じて、

その上に自分の身体がある。

「私は今、ここにいる」

という身体の中心のようなものを感じる。

余計な力は抜けている。

でも、身体は崩れていない。

この状態があるからこそ、体重を相手へ届けやすくなります。

🌼原因③ お客様の身体ばかり見て、自分の身体を感じていない

そして私は、これも大きいと思っています。

セラピストって、真面目なんです。

お客様のことをよく見ています。

「ここが硬いな」

「ここをゆるめてあげたいな」

「もう少し圧を入れたほうがいいかな」

ずっと相手を感じようとしている。

それ自体は、とても大切なことです。

でも、そのとき。

自分の身体は、どうなっていますか?

息を止めていない?

肩が上がっていない?

親指だけ頑張っていない?

腰から身体を折っていない?

足の裏、感じていますか?

意識がお客様だけに向かってしまうと、自分の身体で起きている小さな変化に気づきにくくなります。

そして気づかないうちに、どんどん力が入っていく。

施術が終わったころには、

「はぁ〜……腰が痛い」

となる。

お客様の身体はずっと感じていたのに、自分の身体は置き去りだった。

そんなことが起きるんです。

🔳「体重を使っているつもり」でも、腰から倒れていることがある

そしてもう一つ、ここは少し丁寧に見てほしいところです。

「私は腕力じゃなく、ちゃんと体重を使っています」

という人もいます。

ところが実際の身体を見てみると、

股関節から重心が移動しているのではなく、上半身だけが前へ動いている。

あるいは、腰から身体を倒している。

本人としては、

「体重をかけている」

つもりなんですね。

でも、私が脱力圧で大事にしている体重移動は、それとは少し違います。

体重移動は、股関節の運動です。

それも、ものすごく大きく動かす必要はありません。

ほんの少し。

股関節から重心が移る。

すると、その身体の重さが手へ伝わっていく。

押す。

ではなく、

移る。

この感覚です。

🔳現代の生活では「股関節を細かく使う」機会が少ない

私が人に身体の使い方を伝えてきて感じるのは、ここが案外難しいということです。

今は椅子に座って生活する時間が長いですよね。

移動も便利になりました。

昔の暮らしに比べると、下半身を細かく使って動く機会そのものが少なくなりやすい。

だから、

「股関節を使って体重移動してください」

と言っても、

「え? 動かしていますけど?」

となる。

でも、よく見ると動いているのは上半身だったりする。

股関節そのものは、あまり動いていない。

身体って、おもしろいんですよね。

頭では「やっている」つもりなのに、身体は違うことをしている。

だからこそ脱力圧は、

「体重を使えばいいんですよ」

という一言だけでは、なかなか伝わらないのだと思います。

🔳問題は「力が足りない」ではなく、圧の届け方なのかもしれない

ここまで見てくると、

「力を抜くと圧が逃げる」

という悩みの見え方が、少し変わってきませんか?

力が足りないのではない。

もっと頑張らなければいけないのでもない。

もしかすると、

圧を作る場所と、圧を届ける身体の使い方が違っているだけなのかもしれない。

だから私は、

「もっと力を抜こう」

だけではなく、

軸はどうなっている?

股関節は動いている?

重心はどこへ移っている?

相手から返ってくるものを感じている?

と、自分の身体を見ていきます。

力を抜くことから始めるというより、

力まなくても圧が届く身体の使い方を探していく。

そのほうが、私はしっくりきます。

では、その身体を実際にどう使えばいいのか。

次は、脱力圧の中心になる、

「軸」「股関節を使った体重移動」「拮抗」

この3つを、もう少し具体的に見ていきましょう。


5、脱力圧のやり方|「軸・股関節の体重移動・拮抗」で圧を届ける3つのコツ

では、ここから少し具体的に。

私が脱力圧をするときに大切にしているのは、

「軸」

「股関節を使った体重移動」

「拮抗」

この3つです。

ただね。

これは「3つのテクニックを覚えれば、明日から脱力圧ができます」という話ではありません。

身体のことなので、文章を読んで、

「なるほど。完全に理解しました!」

とは、なかなかならない(笑)。

頭で理解することと、身体でできることは別なんです。

だから、ここでは正解を覚えようとするのではなく、

「私の身体は、実際どうなっているんだろう?」

と感じながら読んでみてください。

🌼コツ①「正しい姿勢」を作るのではなく、自分の軸を感じる

最初は「軸」です。

施術姿勢というと、

背筋を伸ばす。

膝を曲げる。

腰を落とす。

そんな「形」を思い浮かべる人もいるかもしれません。

もちろん、形も大切です。

でも私がもっと大切にしているのは、

その姿勢の中で、自分自身が軸を感じられているか

ということです。

まず、足の裏を感じてみる。

床があります。

その床の上に、自分の身体があります。

身体には重さがあります。

そして重力が働いている。

当たり前のことなんだけど、施術に夢中になると案外忘れてしまうんですよね。

相手の身体に意識を向ける前に、

足裏。

呼吸。

自分の中心。

そこへ意識を戻してみる。

「私は今、ここにいる」

そんな感覚です。

肩を固めて姿勢を維持するのとは違います。

余計な力は抜けている。

でも、身体は崩れていない。

この軸があるから、次の「体重移動」が生きてきます。

🌼コツ② 体重移動は「身体を倒すこと」ではなく、股関節の運動

次は、体重移動です。

「腕で押さないで、体重を使いましょう」

これは、施術を習ったことのある方なら一度くらい聞いたことがあるかもしれません。

でもね。

私は、この言葉だけでは足りないと思っています。

なぜなら、

「体重を使っているつもり」になっていることが、とても多いから。

前へ身体を倒す。

上半身を大きく動かす。

腰からグッと入っていく。

本人は体重移動をしているつもりでも、私が見ている身体の使い方とは違うことがあります。

私が脱力圧で伝えている体重移動は、

股関節の運動です。

それも、大きく動く必要はありません。

ほんの少しなんです。

股関節から重心が移っていく。

その移動によって、自分の身体の重さが手へ伝わる。

そして、手から相手の身体へ伝わっていく。

だから、

押す。

ではなく、

移る。

このほうが近い。

🔳「もっと強く」と思ったときほど、股関節を感じてみる

たとえば施術中、

「もう少し圧を入れたいな」

と思ったとします。

そこで腕に力を足す前に、一度自分の股関節を感じてみる。

今、どこから動いている?

腰から倒れていない?

上半身だけ前へ行っていない?

股関節から、ほんの少し重心を移動させられる?

やってみると、

「あれ?」

と思うかもしれません。

腕の力を増やしていないのに、手に乗ってくる重さが変わる。

そこがおもしろいところなんです。

🔳現代人は「股関節を細かく使う」ことに慣れていないことがある

ところが、この小さな股関節の動きが、なかなか難しい。

私が長く人の身体を見ながら教えてきて感じているのは、現代の生活では、こうした下半身の細かな動きを使う機会が少なくなりやすいということです。

椅子に座る。

車や電車で移動する。

便利な道具を使う。

もちろん、それが悪いわけではありません。

ただ、昔の暮らしのように、日常生活そのものの中で下半身を細かく使い続ける機会は減っています。

だから、

「股関節から動いて」

と言っても、身体がすぐには分からないことがある。

頭は、

「動かしているよ」

と言う。

でも身体を見ると、

「あれ、そこじゃない(笑)」

ということが起きる。

だからこそ、まずは大きく動こうとしなくていい。

ほんの少し。

自分の股関節の中で、重心が移っていく感覚を探してみる。

身体に思い出してもらうような感じです。

🌼コツ③ 圧を押し込まず「拮抗」を感じる

そして3つ目が、

「拮抗」

です。

これは、私が講座の中で使っている言葉です。

「拮抗」というと、ちょっと難しそうですよね。

簡単にいうと、

違う方向へ働く力が、一方的に勝つのではなく、釣り合っているような状態

と考えてみてください。

施術で相手に触れたとき、こちらから一方的に押すだけではありません。

触れれば、こちらの手にも何かが返ってきます。

硬さ。

やわらかさ。

沈み方。

止まる感じ。

もっと入っていける感じ。

それを感じる。

そして、その返ってくる感覚に合わせて、自分の身体の向きや角度を少し調整していきます。

🔳「圧が逃げる」とき、力を足す前に角度を変えてみる

たとえば、

「なんだか圧が逃げるな」

と感じたとき。

そこで、

「もっと強く!」

と押し込むのではなく、

自分の立つ位置をほんの少し変えてみる。

身体の向きを変えてみる。

手の角度を調整してみる。

そして、また触れる。

感じる。

また少し調整する。

すると、

力を増やしたわけではないのに、圧がスッと伝わる場所

が見つかることがあります。

私は、この相手との間で生まれるバランスを感じながら圧を調整していく感覚を「拮抗」と呼んでいます。

一方的に、

「私があなたを押します」

ではない。

相手から返ってくるものも受け取っている。

そこが大切なんです。

🔳「軸・体重移動・拮抗」は別々ではない

ここまで3つに分けて説明しました。

でも実際の施術では、

軸。

体重移動。

拮抗。

これらを別々に使っているわけではありません。

自分の軸がある。

そこから、

股関節を使って重心が移る。

そして相手へ触れながら、

拮抗を感じて、身体の向きや角度を調整する。

全部つながっています。

この3つがうまくつながってくると、

腕や指に余計な力を入れていないのに、

「あ、ちゃんと届いている」

という感覚が出てきます。

力は抜けているのに、圧は逃げない。

脱力圧で私が伝えたいのは、まさにここです。

🔳脱力圧は「相手を力で変える」施術から少し離れること

そして、もう少しだけ広げて考えてみると。

脱力圧って、単なる圧のかけ方だけではないと私は思っています。

こちらが頑張って、

「この硬いところを、なんとかしてゆるめよう」

「私がこの人の身体を変えなきゃ」

となった瞬間、こちらの身体にも力が入ります。

でも、相手の身体には相手の身体があります。

こちらができるのは、

触れる。

感じる。

待つ。

そして必要なら、自分を調整する。

そのくらいなのかもしれません。

自分の軸を感じる。

股関節から体重を移す。

相手との拮抗を感じる。

また調整する。

そうやって触れていると、

「私が力で何とかする施術」から、「相手の身体を感じながら一緒に変化を待つ施術」へ

少しずつ変わっていく。

私は、そこも脱力圧のおもしろいところだと思っています。

さて。

ここまで読むと、

「鎌田さんは、どうやってこの身体の使い方を身につけたの?」

と思うかもしれません。

実は私は、最初からこれを「脱力圧」として習得したわけではありません。

28歳でカリフォルニアのエサレン研究所へ行ったときには、すでに私の身体の中に、この体重移動があった。

でも私は、その理由に20年くらい気づいていなかったんです。

その話を、次にしてみようと思います。


6、なぜ私は自然に体重移動ができたのか?エサレンと農作業から見えてきた「身体の記憶」

ここまで、

軸。

股関節を使った体重移動。

拮抗。

という話をしてきました。

では私は、どうやってこの身体の使い方を身につけたのか。

実はね。

長い間、私は、

「エサレンで習ったからできるようになった」

と思っていたんです。

🔳28歳で訪れた、カリフォルニアのエサレン研究所

私が28歳のとき。

カリフォルニアにあるエサレン研究所で、1か月間の集中トレーニングを受けました。

そこで学んだのが、全身へのオイルトリートメントである「エサレンボディワーク」です。

そして、その1か月のトレーニングを終えるころには、私はすでに、今「脱力圧」と呼んでいる身体の使い方で施術していました。

だから日本に帰ってきてからも、ずっと思っていたんです。

「エサレンのトレーニングって、やっぱりすごいんだな」

と。

だって私自身が、それでできるようになったと思っていましたから。

ところが。

あとになって分かったのですが、どうやら話はそんなに単純ではなかった。

それに気づくまで、私は20年くらいかかりました。

🔳「同じように伝えれば、みんなできる」と思っていた

日本へ帰ってきて、エサレンの施術を人に伝えるようになりました。

当然私は、

「私が習ったように伝えれば、みんなもできるようになる」

と思っていました。

ところが、ならない。

「あれ?」

と思う。

体重を使う。

力を抜く。

ゆったり触れる。

言葉で伝える。

やって見せる。

でも、私がやっている身体の使い方と、どこか違う。

特に体重移動です。

本人は体重を移動しているつもりなのに、私から見ると、上半身だけが動いていたりする。

股関節が動いていない。

なぜ?

私にはできるのに。

なぜ、この人には伝わらないんだろう。

最初は、

「いやいや、そんなはずはないでしょう」

と思いました。

だって、私はエサレンで習ったと思っていたんですから。

でも、教えながら身体を見続けました。

一年。

二年。

それでも、どうも違う。

そして8年くらい観察を続けて、

ようやく私は、

「ああ。やっぱり、これはエサレンで教えてもらった身体の使い方ではないんだ」

と思うようになりました。

🔳では、この身体の使い方を私はどこで覚えたのか?

そこで、次の疑問が出てきます。

じゃあ私は、

どこで覚えたの?

ということです。

考えていくと、思い当たるものがありました。

子どものころの暮らしです。

私は子どものころ、農作業を経験しています。

特に稲作ですね。

今の農業とは違って、当時はまだ人の身体を使って行う作業がたくさん残っていました。

重いものを扱う。

立ったり、しゃがんだりする。

足元の状態を感じながら動く。

同じ作業を繰り返す。

そこで、いちいち腕の力だけで「よいしょ、よいしょ」とやっていたら、身体がもちません。

どうすれば、自分の身体を壊さずに重い農作業ができるのか。

そんなことを、子どもの私は理屈で考えていたわけではありません。

ただ、やっていた。

そして身体が覚えていたんです。

🔳私の身体は、すでに「体重移動」を知っていた

あとになって振り返ってみると、

農作業の中で使っていた身体と、施術で使っている身体に共通するものがありました。

その一つが、

体重移動。

腕だけで何とかするのではなく、下半身を使う。

股関節から重心を移す。

身体全体の重さを使う。

そうすれば、必要以上に力まなくても仕事ができる。

私はこれを、

「体重移動という技術を学ぼう」

と思って身につけたわけではありません。

暮らしの中で、身体が覚えていた。

だから28歳でエサレンへ行って、「触れる」という技術に出会ったとき。

もともと私の中にあった身体の使い方と、エサレンのタッチが自然につながった。

今振り返ると、私はそんなふうに考えています。

🔳盆踊りや郷土芸能にも、身体の使い方が残っていた

そして、もう少し広く見てみると。

こういう身体の使い方は、農作業だけにあったわけではないと思うんです。

たとえば、盆踊り。

地域に残っている郷土芸能。

暮らしの中のさまざまな動き。

私たちは昔、今よりも身体を使って生活していました。

もちろん、

「昔の日本人は全員、正しい体重移動ができました」

なんて言うつもりはありません。

そんなことは分かりません。

ただ、少なくとも私自身の経験を振り返ると、身体を使う暮らしの中で自然に覚えたものが、確かにあったと思うのです。

頭で習ったのではない。

身体から身体へ。

暮らしの中で覚えていく。

そういうものが、昔はもう少し身近にあったのかもしれません。

🔳私は「できているのに、説明できない」状態だった

ここが、私にとって大きな問題でした。

私自身の施術は、もうできている。

身体も迷っていない。

でも、

なぜそうなるのかを説明できない。

「ここをこうするんですよ」

と言っても、相手には同じことが起きない。

なぜ?

何が違う?

足?

股関節?

重心?

身体の向き?

触れ方?

相手との関係?

一つひとつ見ていかなければならなくなりました。

だから私は、

「エサレンでは教えていないんだったら、これは私が教えなきゃいけないんだ」

と思うようになったんです。

🔳「できる」を「伝えられる」に変えるために

そこから、一社)ゆったりセラピー協会を立ち上げました。

そしてインストラクターを育てていくために、

自分が無意識にやっていることを、一つひとつ言葉にする作業を始めました。

これが大変だった(笑)。

だって、身体は知っているんです。

普通にできる。

でも、

「どうして?」

と聞かれると分からない。

だから、自分の身体をもう一度観察する。

人の身体も観察する。

何が違うのかを見る。

言葉にしてみる。

伝えてみる。

伝わらなければ、また考える。

そんなことを繰り返しました。

そして全体像が見えてくるまで、さらに10年くらいかかりました。

🔳その中から「軸・体重移動・拮抗」という言葉が生まれた

そうやって、

身体では分かっているけれど、言葉になっていなかったものを、一つひとつ整理していった。

その中に、

軸。

股関節を使った体重移動。

そして、

拮抗。

というものがあります。

今なら私は、

「ここを感じてみて」

「今、股関節じゃなくて上半身だけ動いているよ」

「その角度だと圧が逃げるから、拮抗するところを探してみて」

と伝えることができます。

でも、それは最初から言葉になっていたわけではありません。

身体が先だった。

言葉は、ずっとあとからやってきたんです。

🔳脱力圧は、私にとって「新しく覚えた技術」ではなかった

振り返ってみると、

私はエサレンで脱力圧を習得したわけではなかったんですね。

子どものころの農作業。

身体を使う暮らし。

土地にあった踊りや文化。

そして28歳で出会ったエサレンの「触れる」という世界。

それまで別々だったものが、私の身体の中でつながった。

だから私には、比較的自然にできた。

でも、それを人に伝えるとなったとき、

「自然にやればできますよ」

では伝わらなかった。

当たり前ですよね。

その「自然」が、人によって違うんだから。

🔳身体は知っている。でも、頭ではまだ知らないことがある

私はこの経験から、

身体って、おもしろいなと思うんです。

頭では知らないのに、身体は知っていることがある。

反対に、

頭では完璧に理解したつもりなのに、身体は全然できていないこともある(笑)。

だから、脱力圧も、

「軸とはこうです」

「体重移動とはこうです」

「拮抗とはこうです」

と説明を読んだだけで終わらせないでほしい。

実際に立ってみる。

足裏を感じる。

股関節をほんの少し動かしてみる。

人に触れてみる。

そして、

「私の身体は今、何をしている?」

と感じてみる。

そこからなんだと思います。

🔳「脱力圧なら絶対に身体を痛めない」とは言いません

最後に、これはきちんとお伝えしておきたいことです。

脱力圧を身につければ、

「絶対に指を痛めません」

「腰痛になりません」

とは、私は言いません。

身体の痛みには、いろいろな原因があります。

施術姿勢だけで決まるものではありません。

痛みが続いている場合には、施術技術だけの問題だと決めつけないことも大切です。

ただ、

毎日の施術で指や腰に大きな負担をかけているのなら、

腕や指だけに頼る施術から、身体全体を使う施術へ見直してみる。

その価値はあると思っています。

人の身体を楽にするために、自分の身体を削り続けなくてもいい。

50代になっても。

60代になっても。

できれば、その先も。

自分の身体と相談しながら、ゆったり人に触れていく。

そのために、

昔、自分の身体が知っていたような動きを、もう一度取り戻していく。

脱力圧を伝えることは、私にとって、そんなことでもあるんです。


7、脱力圧とは「頑張らずに押す技術」ではなく、自分のカラダを感じること

さて。

ずいぶん長い話になりました。

最初の問いに戻りましょう。

「力を抜くと、圧が逃げる」

これは、本当なのでしょうか。

私は、

「力を抜くことそのものが原因ではない」

と思っています。

余計な力を抜いたときに圧まで逃げてしまうのだとしたら、今までその圧を、腕や指の力で作っていたのかもしれない。

だったら必要なのは、

「もっと頑張って押す方法」

ではなく、

力まなくても、自分の身体の重さが相手へ届く身体の使い方

なのだと思います。

🔳脱力圧で大切なのは「軸・体重移動・拮抗」

ここまでお話ししてきた脱力圧には、大切な3つの身体感覚があります。

軸。

股関節を使った体重移動。

拮抗。

まず、自分の軸を感じる。

足裏を感じる。

床を感じる。

その上に自分がいることを感じる。

そして、腕で押すのではなく、股関節から小さく重心を移していく。

押すのではなく、移る。

その身体の重さが、手を通して相手へ伝わっていく。

そして相手に触れたら、一方的に押し続けない。

相手から返ってくるものを感じる。

身体の向きや角度を調整する。

私が講座で「拮抗」と呼んでいる、そのバランスを探していく。

触れる。

感じる。

調整する。

そして、また感じる。

この繰り返しです。

🔳「力を抜いているのに、圧が届く」という身体へ

軸がある。

股関節から重心が移る。

そして、相手との拮抗がある。

この3つがつながってくると、

腕や指をガチガチにしなくても、

「あ、ちゃんと届いている」

という瞬間が出てきます。

力は抜けている。

でも、圧は逃げていない。

ここなんです。

だから脱力圧は、

「弱い力で上手に押す方法」

ではありません。

むしろ、

自分で圧を作ろうとすることから、少し離れてみる。

自分の身体の重さ。

重力。

床。

相手から返ってくる感覚。

そういうものを使わせてもらう。

「私が頑張って、この人の身体を変えなきゃ」

からも、少し離れてみる。

私は、そのことも脱力圧には含まれていると思っています。

🔳でもね。頭で分かっただけでは身体は変わらない

ここまで読んで、

「なるほど。軸と股関節と拮抗ね」

と思った方。

ここからです(笑)。

身体の話って、頭で理解すると、なんとなくできた気になるんですよね。

でも、

頭が「分かった」と言っていることと、

身体が「できる」ことは違います。

私自身がそうでした。

私の場合は、子どものころに経験した農作業がありました。

身体を使う暮らしがありました。

土地の中には、盆踊りや郷土芸能のような身体文化もありました。

そして28歳で、エサレンの「触れる」という世界と出会った。

それらが私の身体の中でつながっていた。

でも私は、

なぜ自分にできるのかを長い間説明できませんでした。

身体は知っていた。

頭は、あとからそれを追いかけた。

そんな感じです。

🔳身体は、頭より先に知っていることがある

だから私は、

脱力圧を「知識」として覚えてほしいわけではありません。

軸。

体重移動。

拮抗。

この3つの言葉を覚えて、

「はい、分かりました」

で終わってほしくない。

むしろ、

「私の身体では、どうなっているんだろう?」

と疑問を持ってほしい。

立ってみる。

足裏を感じる。

股関節を動かしてみる。

誰かに触れてみる。

圧を届けてみる。

「あれ、今のは腕で押したな」

と気づく。

もう一回やってみる。

「あ、今はちょっと違った」

と感じる。

それでいいんです。

触れる。

感じる。

動いてみる。

そして、また感じる。

身体というのは、そうやって少しずつ分かっていくものなんじゃないでしょうか。

🔳セラピストが自分の身体を犠牲にしなくてもいい施術へ

そして、最後に。

私は、人の身体を楽にする仕事をしているセラピストが、

自分の身体を犠牲にしながら働き続ける必要はないと思っています。

もちろん、

脱力圧を身につければ絶対に指も腰も痛くならない、

という話ではありません。

身体の痛みには、いろいろな原因があります。

でも。

もし毎日の施術で、

指が痛い。

腰がつらい。

肩がパンパン。

それでも、

「お客様に満足してもらうためだから仕方がない」

と思っているのなら。

一度だけ、

「本当に、この身体の使い方しかないのかな?」

と考えてみてほしいのです。

🔳50代、60代。その先も触れ続けるために

40代になったとき。

50代になったとき。

そして60代になったとき。

若いころとまったく同じ身体ではないでしょう。

でも、それは悪いことばかりではないと思うんです。

力任せにできなくなったからこそ、分かることもある。

たくさんの身体に触れてきたからこそ、待てるようになることもある。

「私が何とかしてあげなきゃ」

ではなく、

相手の身体を尊重しながら触れられるようになることもある。

歳を重ねるというのは、施術者として衰えていくだけではなく、

触れることそのものが深くなっていく可能性もある。

私は、そう思っています。

だからこそ、自分の身体も大切にする。

頑張り続ける身体から、

感じられる身体へ。

力で押す施術から、

自分の重さを届ける施術へ。

お客様だけを感じるのではなく、

自分も感じながら触れる施術へ。

その入口が、脱力圧なのかもしれません。

次のお客様に触れるとき、

ほんの一瞬でいいので、自分に聞いてみてください。

「私は今、どう立っている?」

「私は今、どう動いている?」

「私は今、どんなふうに、この人に触れている?」

答えを急がなくていい。

まずは、感じてみる。

そこから始めてみませんか。


8、今日の施術からできる脱力圧の練習|軸・体重移動・拮抗を感じる3ステップ

さて。

ここまで読んで、

「脱力圧、やってみたい」

と思った方もいるかもしれません。

一方で、

「軸、体重移動、拮抗……うーん、分かったような、分からないような」

という方もいるでしょう。

たぶん、それでいいんです(笑)。

身体のことですから。

文章を読んだだけで全部できたら、私もこんなに長いこと身体を観察していません。

大切なのは、

分かったつもりになることより、自分の身体で確かめてみること。

ですから今日の施術では、いきなり脱力圧を完璧にやろうとしなくて大丈夫です。

まずは3つ。

自分の身体を感じてみてください。

🌼Step1|お客様に触れる前に「自分の軸」を感じる

施術が始まると、私たちの意識はすぐにお客様へ向かいます。

今日はどこがつらいのかな。

ここが硬いな。

このあたりをもう少しゆるめたいな。

もちろん、それは大切です。

でも、その前に。

ほんの数秒でいいので、

自分を感じてみてください。

足の裏は、床にどう触れている?

左右どちらかに偏っていない?

肩は上がっていない?

息を止めていない?

腰だけで身体を支えていない?

そして、

「私は今、ここに立っている」

という感覚があるでしょうか。

これが、軸を感じる入口です。

背筋をピンッと伸ばして、

「正しい姿勢!」

と頑張る必要はありません。

それをやったら、また力が入ってしまいますから(笑)。

足裏を感じる。

床を感じる。

呼吸する。

その上に自分の身体があることを感じる。

まずは、それだけやってみてください。

🌼Step2|「押す」をやめて、股関節から少しだけ移動してみる

次に、お客様へ圧を届けてみます。

このとき、

「押そう」

とするのを、ほんの少しやめてみてください。

代わりに感じてほしいのが、

股関節です。

腕の力を増やさず、

股関節からほんの少し重心を移してみる。

大きく前へ倒れる必要はありません。

腰から「よいしょ」と乗り込むのでもありません。

ほんの少し。

股関節から、

すーっと。

押すのではなく、移る。

すると、自分の身体の重さが手へ伝わっていきます。

その手が相手に触れている。

だから、自分で圧を一生懸命作らなくても、身体の重さが相手へ届いていく。

最初は分からないかもしれません。

「これ、股関節から動いているのかな?」

と思うかもしれない。

そのときは、すぐ正解を出そうとしなくて大丈夫です。

むしろ、

「分からない」ことが分かった。

それも立派な身体感覚の始まりです。

今まで無意識にやっていた身体の使い方を、初めて観察したということですから。

🌼Step3|圧が逃げたら、力を足さず「拮抗」を探してみる

そして最後。

施術中に、

「あれ、圧が逃げるな」

と思ったら。

ここが今日、一番試してほしいところです。

すぐに力を足さない。

親指でグッと押し込まない。

肩を固めない。

その代わり、

自分の身体の位置や向き、角度をほんの少し変えてみてください。

右かな。

左かな。

もう少し前?

少し後ろ?

そして、また触れる。

相手から手に返ってくる感覚を感じる。

また少し調整する。

私が講座で「拮抗」と呼んでいるのは、このときに感じるバランスです。

こちらから一方的に押すのではなく、

相手から返ってくるものも感じながら、ちょうどよいところを探していく。

触れる。

感じる。

調整する。

そして、また触れる。

すると、どこかで、

「あ。」

となる瞬間があるかもしれません。

さっきより力を入れていない。

なのに、

圧が逃げない。

ちゃんと届いている。

その「あ」を、大事にしてほしいんです。

🔳脱力圧を「正解探し」にしなくていい

こういう身体の話をすると、

真面目な人ほど、

「正しい軸はどこですか?」

「股関節は何センチ動かせばいいですか?」

「これが拮抗で合っていますか?」

と、正解を探したくなります。

分かります。

正解があったほうが安心ですからね。

でも、人の身体は一人ひとり違います。

施術する側も違う。

触れられる側も違う。

場所が変われば、触れ方も変わる。

だから私は、

「この形にすれば絶対に正解」

というものを探すより、

その瞬間の自分と相手を感じること

のほうを大切にしています。

今日はこれでよかった。

でも明日は違うかもしれない。

このお客様では届いた。

でも次のお客様では、少し変える必要があるかもしれない。

だから、感じる。

また調整する。

施術って、そういうものなんじゃないでしょうか。

🔳次のお客様で、この3つだけ思い出してください

全部覚えなくて大丈夫です。

次の施術で思い出してほしいのは、3つだけ。

「私の軸は、今どこにある?」

「私は今、股関節から動いている?」

「相手との間に、拮抗を感じている?」

圧が足りないと思ったら、

もっと頑張る前に、この3つへ戻ってみる。

肩に力が入ったら、戻る。

指が頑張り始めたら、戻る。

呼吸が止まっていたら、戻る。

何度でもいいんです。

身体は、頭で一度理解したからといって、突然変わるものではありません。

少し気づく。

また忘れる。

また気づく。

そうやって身体の中に、新しい感覚が少しずつ育っていく。

私は、そのくらいでいいと思っています。

🔳お客様に触れる前に、まず自分のカラダに触れてみる

私たちセラピストは、人の身体を感じることには一生懸命です。

でも、自分のカラダはどうでしょう。

今日、どんなふうに立っている?

ちゃんと呼吸している?

どこかで頑張っていない?

その身体で、今からどんなふうに人に触れようとしている?

脱力圧の練習は、

もしかすると、

自分のカラダとの付き合い方をもう一度見直すこと

なのかもしれません。

50代になっても。

60代になっても。

その先も。

人に触れることを楽しめる身体でいるために。

お客様を楽にするために、自分を犠牲にするのではなく。

自分もゆったりしている。

相手もゆるんでいく。

そんな施術を続けていくために。

次のお客様に触れる前に、まず足裏を感じてみてください。

呼吸して。

自分の軸を感じる。

そして、触れる。

感じる。

待つ。

そこから始めてみてください。



『もう、強く押さなくていい』指・腰を守る「ゆったり施術」入門
https://note.com/kokorodefureru/n/naa8a4167be11


「力を抜いているのに、圧が届く」を一度カラダで体験してみませんか?

ここまで、

軸。

股関節を使った体重移動。

拮抗。

という話をしてきました。

もしかすると、

「なんとなく言っていることは分かった」

という方もいるかもしれません。

でも同時に、

「じゃあ、私がやっている体重移動は合っているの?」

「拮抗って、実際にはどんな感覚?」

「力を抜いたら、やっぱり圧が弱くなっちゃうんだけど……」

と思った方もいるのではないでしょうか。

そうなんです。

ここが身体の話のおもしろいところであり、難しいところでもあります。

頭で分かることと、カラダで分かることは違う。

私も長い時間をかけて、自分では当たり前にやっていた身体の使い方を、一つひとつ言葉にしてきました。

でも、言葉だけではどうしても伝えきれないものがあります。

たとえば、

腕で頑張って押していた圧が、

股関節からほんの少し重心を移しただけで、

「あれ? 力を入れていないのに届いてる」

と変わる瞬間。

相手との位置や角度を少し調整しただけで、

「あ、これが拮抗なのか」

と身体で分かる瞬間。

こういうものは、説明を100回読むより、一度身体で「あっ」と感じたほうが早かったりします(笑)。

そこで、

「脱力圧を実際に自分の身体で体験してみたい」

というセラピストさんのために、脱力圧を体験できる講座を用意しています。

これは、

「あなたの施術は間違っています」

と直すための場所ではありません。

もっと頑張って、新しい技術を増やすためだけの場所でもありません。

まずは、

自分がどんな身体で施術しているのかを感じてみる。

軸を感じる。

股関節から体重が移動する感覚を探してみる。

相手との間に生まれる拮抗を感じてみる。

そして、

「こんなに力を入れなくても、圧って届くんだ」

という感覚を、自分の身体で確かめてもらう。

そんな時間です。

もし今、

指や腰に頼る施術を少しずつ変えていきたい。

50代、60代になっても施術を続けていきたい。

お客様にしっかり満足していただきながら、自分自身も無理をしない施術を身につけたい。

そう感じているなら。

まず一度、

「頑張らないのに、圧が届く」

という感覚を体験しに来てください。

できるかどうかを決めるのは、そのあとでいいと思います。

まずは、自分のカラダで感じてみる。

そこから始めてみませんか。

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