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あとがき|作り笑顔

楽しいから 笑う
悲しいから 泣く

人は、心が先に変わって、
そのあと外見が変わるものだと思っていた。

じゃあ悲しい事しか起こらなかったら
ずっと悲しい顔のままじゃないか。

毎日、挨拶の数よりずっとたくさん
「消えろよブス、学校来んな、〇ね」
そんな事ばかり言われていた頃。

クラスの男子は全員敵。
女子も一部は加担し、大多数は見て見ぬふり。

悲しいを通り越して、心は真っ暗。

くだらないはずの悪口が、毎日、大勢から言われると、全て真実のように思えてくる。

私は〇んだ方がいいのかもしれない。
早く消えてしまいたい。
だって、みんなが毎日そう言うのだから。

頭の中は、悲しい記憶が螺旋階段を下るように
ぐるぐると繰り返し
思い出して、また、心をえぐる。

泣くのも疲れて、顔からは笑顔どころか
表情が消えていく。

何も感じない、何も。
その方が少しだけラクだったから。

でも。

このままは嫌だ…。

「吐き気がするブス」だの
「顔面終わってる」だの
散々言われてる毎日。

まだ10代前半。
整形はできないけど、表情くらい変えられる。

せめて。

せめて、私ができる表情の中で、一番マシな顔。

笑顔でいよう。


鏡の前で、口角を無理やり指で押し上げて
笑顔を作った。

自分自身、久しぶりに自分の笑顔を見た。

「こんなに、笑うの下手になっちゃったんだ」

最早、何が悲しいかよく分からないけれど

ぎこちない作り笑顔を見て、泣けてきたのを覚えている。


それからは、何を言われても作り笑顔でいるよう心がけた。

それでも悪口は続いたし、
相変わらず「ブス」と言ってくるやつは
たくさんいたけど。

なんなら、
「作り笑いやめなよ、キモイ」
そんな言葉も言われたけれど。

これが、私にできる一番マシな顔なんだ。


作り笑顔を続ける中で気がついたことがある。

それは、

悲しい思考の螺旋階段が、ゆっくりになる事。

いつもなら、どんどんネガティブな方へ
思考回路が止まらなくなっていくのに、

笑顔を作っていると、
不思議と考え込むことが少なくなった。

口角を上げることに少しだけ意識を向ける。

それだけで、頭の中の螺旋階段の
悲しい方へ落ちていく速度が、
少し遅くなった気がした。


なんなら、ちょっと前向きになった。


私ひとりに対して
大人数で悪口言って楽しむような人たちの為に
泣くなんてばかばかしい。

思い返せば、
同じクラスというだけで、まともに挨拶すら
交わしてなかった人たちに、私の何がわかる。

「〇ね」なんて、私の人生のことなんて、
言われる筋合い微塵も無いわ。


私の反応がつまらなくなったのか
他のターゲットでも見つけたか知らないが、

少しずつ、私への悪口は減っていった。


そんなこともあり、

もうブスなどと言われて悪口の火種になったら
嫌すぎるという思考から、

思春期は全力で可愛くなる努力をした。


その結果、
数年後には男子にちやほやされたり
告白されたりするようになり、

今度は女子から嫌われたりして

人間関係、難しいなぁと頭を抱えるのは
また別のお話で…。


それはまぁ置いておくとして、

ネガティブな思考が止まらなくなった時ほど、
表情が悲しくなる時ほど、
私は笑顔を作ってみる。

もちろん、泣きたい時は思い切り泣く。
思い切り泣いて、もう泣くのはばかばかしくなってきたら、

心より先に、とりあえず外見から

笑顔につられて少しずつ、心が追いつくから。

私が出来る、一番可愛い笑顔を作る。

心が笑顔になるように、
鏡の前で呪文を唱える。

「あなたは 笑った方が可愛い」と。



今日もどこかで

「これは愛かもしれない。」

そう思える瞬間がありますように🌿

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