朝にたんぱく質を入れるのは、足すというより「戻す」に近い話
朝食のたんぱく質が大事、という話はよく聞きます。ただ理由まで説明されることは少なくて、「朝は吸収がいいから」くらいで止まっていることが多いんですね。
もう少し身も蓋もない理由があります。寝ているあいだに、減っているからです。
体の中では、常に壊されている
たんぱく質は、体の中でずっと合成と分解を繰り返しています。だいたい4〜5時間おきという単位で入れ替わっていて、貯金のように溜めておくことができません。
そして使い道は筋肉だけではありません。コラーゲン、抗体、ヘモグロビン、酵素。あちこちで消費されるので、入れなければ普通に足りなくなります。
足りないとき、材料はどこから来るか
ここが本題です。食事から入ってこなくても、体はたんぱく質を必要とし続けます。
では材料をどこから持ってくるかというと、すでに体にあるたんぱく質からです。筋肉やコラーゲン、抗体を分解して回します(『筋トレの栄養学』藤田聡・著)。
夕食から朝食までは、たいていの人が10時間前後空いています。そのあいだ、ずっとこれが起きている。だから朝のたんぱく質は「今日の分を足す」というより、夜のあいだに削られた分を戻すほうに近いんですね。
朝に元気が出ないという話と、まったく無関係ではないと思っています。
日本人の8割は、朝が足りていないと言われます
一方で、朝食にたんぱく質を十分に摂れている人は少ないと言われています。ごはんと味噌汁、トーストとコーヒー、あるいは何も食べない。それが標準的な朝です。
日本人のたんぱく質摂取量は1995年をピークにゆるやかに下がり続けていて、いまは戦後まもない頃と近い水準に戻っています。飽食と言われている時代なのに、です。
ちなみに、抜くほうは慎重に見ています
ファスティングや16時間の食事制限が話題になることがあります。うちはこれを積極的にはおすすめしていません。理由は上と同じで、入れない時間が延びるほど、体のほうを削って回す時間が延びるからです。
同じ理由で、「たんぱく質だけ摂ればいい」という考え方も取っていません。たんぱく質は、糖質や脂質、ビタミン・ミネラルと一緒に入ってきたときのほうがうまく使われます。単品で成立するものではないんですね。
朝に肉や魚を焼くのは、正直しんどいです。それは分かっています。ただ「朝は減っている時間帯の終わり」だと知っておくと、卵を1つ足すかどうかの判断は変わるかもしれません。
