”分かるけどできない”を越える!臨床技術を伸ばす5つのステップ
こんにちは。”くっしー” こと櫛引翔太です。
鍼灸師&認定理学療法士(脳卒中/地域)で
現場に活かす”臨床アイデア”を発信中です。

臨床を始めて数年経つと、
多くの若手が直面する悩みがあります。
『頭では分かるのに、治療ではできない…。』
私も若手の頃は、ベテラン先生の治療を見て圧倒されました。
無駄なくスムーズ、しかも結果が出る。
教わった内容は理解できるのに、いざ患者さんを前にすると手が止まり、反応できず、正解も見えない。そんなギャップに苦しんできました。
本記事では「分かるけどできない」を分析し、
知識と実践をつなぐ方法を5つのステップで整理します。
「分かるけど出来ない。」はなぜ起こるのか?

結論から言えば、
本当の意味で”分かっていない”ことが多いです。
言語化された指導は、理解しやすいよう
情報が削ぎ落とされ、整理されています。
分かりやすく説明されることは”抽象化”され情報は減ることを意味します。
臨床経験を重ねたの先生は、1回のセッションで何を達成したいかを明確化した上、患者さんの表情、環境、感覚入力の時の”感触、反応、応答”など多様な情報を同時処理しています。
すべて説明すると逆に理解しにくい。
だからセミナーや指導では「型」や「方法論」に落とし込まれます。
しかし、抽象化された方法論だけを実施すると、
臨床の複雑さには対応できません。
結果として
「できない」にぶつかるのです。

【落とし穴】 私の失敗経験のまとめ
私自身の失敗経験から、
代表的な落とし穴をまとめます。
方法論に固執する
「正しい型はこれ」と思い込むあまり、方法論を患者さんに当てはめようとして応用ができない。
形だけを真似する
動きを真似しようとするあまり、局所をばかり見て全体を見落とし目的を見失う。
個別性に対応しにくい
ロジックで指導された内容は理解しやすい。しかし、臨床場面では必ず例外が存在し、患者さんの個別対応ができない。
患者さんの反応を見逃す
一番大切なことのはずなのに、同時処理に追われて、表情や反応のサインを見逃す。
何が正解かわからない
「この感覚でいいのか」と迷い続ける。指導者は分かっているけど自分には分からない。

成長の道筋「守・破・離」
これらは誰もが通る道です。
ここを超えるヒントが「守破離」の考え方です。
自分の中で解釈し臨床に応用するのかを考えることが鍵となります。
・守(まずは守る)
型を学び、徹底的に真似る段階。
手の形や方向、圧の大きさをそのまま再現する。「方法論に固執してしまう」「形だけになってしまう」のは、この段階で自然に起こること。
・破(破って応用する)
「目の前の患者さんにどう応用できるか」を考える。患者の表情・呼吸・筋緊張といった反応を観察しながら、型を崩す勇気を持つ。ここで「正解は一つじゃない」と気づける。
・離(離れて創造する)
型を手放し、自分なりの方法論や説明を生み出す段階。後輩や臨床教育を実施する際に、自分の言葉で伝えられるかが試される。

【治療技術を高める5つのSTEP】
ここからは、”分かるけどできない”を乗り越えるための5つのステップを紹介します。
それぞれのステップには【目的】がありますので、自分の練習や臨床でどこが不足しているか確認してみてください。
◾️STEP1:目的(理想)を一文で説明する
「何の課題に対して、どうしたいか。」
→まずは一言で説明します。治療介入を実施することで何を得たいか。着地点を明確にすることが重要となります。
例) 肩関節前面の疼痛に対して、肩外旋可動域を改善し屈曲120度を目指す
◾️STEP2:現状を評価する
現状の評価を適切に実施することで、課題が明確化します。
評価方法は多くありますが、誰でも理解できる内容で患者さんも実感できる内容が理想的。→方法論にこだわると”評価”が抜け落ちます。
例)体幹が屈曲して、肩甲骨挙上/外転し、肩関節内旋、前腕が回内で保持
◾️STEP3:理想ー現状=課題
理想と現状評価が適切に実施されると、課題が見えてきます。
このギャップを1つずつ埋めていく作業が大切で、目標設定(短期・長期)の基本的な考え方となります。
例)肩関節の疼痛は、体幹の屈曲姿勢が継続することで、僧帽筋上部が過活動し肩甲帯が挙上している。また小胸筋の短縮と前鋸筋の筋力低下が肩甲骨外転/上方回旋の運動が阻害され疼痛が助長されている可能性がある。
ーここから施術の質を高める工夫を紹介ー
◾️STEP4:知識をイメージ化してインプットの質を高める
今触っている骨や筋肉の解剖運動学を頭の中でイメージできていますか?具体的には自分で”解剖”の絵を描いてみることをオススメします。
例)肩関節を頭でイメージして、スケッチブックに描きます。トライすると思ったよりも正確に描けていないことに気が付きます。次に実際の解剖学の本を見ながら書くと、自分ではイメージできていなかった場所が鮮明になってきます。脳内のイメージが高めることで触診技術は大きく高まります。
◾️STEP5:頭でイメージしたことを自分の身体で再現する
頭でイメージした解剖運動学を自分の身体で実施できるかを確認します。頭で描いたこと(インプット)を自分が動かせるか(アウトプット)を実施していきます。
例)肩関節の屈曲運動を患者さんへ指導することは簡単ですが、自分の身体で屈曲に必要な肩甲骨の上方回旋、胸鎖関節、肋骨の動きを再現できていない場合があります。自分の身体を柔軟に選択的に動かせると患者への治療のポイントが明確になってきます。
【心理的ハードルを越えるために】
「分かるけどできない」は成長の証拠です。
方法論に縛られたり、正解を探しすぎたりするのは自然な過程。
1つの目的を言語化する → 現状を評価する → 課題を明確にする →頭のイメージを高める →アウトプットする→臨床で小さく試す
この段階を踏むことが知識を「できる」に変えていく確実な道になります。
【恩師の言葉から学んだこと】
私は臨床6年目にして、
恩師の先生言葉が転機となりました。
「正解を探すんじゃなく、変化を感じなさい」
「守を脱却しないと、何年経っても同じことの繰り返しになってしまう」
当時はドキッとしました。
今振り返ると、自分が「守」にとどまっていたからこそ響いたのだと思います。型を破り、離れる経験を通じて初めて、自分の言葉で教えられるようになりました。
【まとめ】
「分かるけどできない」は自然な成長の過程
守破離を意識しながら段階を踏む
5STEPで”できる”に変えていく
小さな変化を積み重ねることが大切
焦らず一歩ずつ。
昨日の自分との差を見ながら臨床を積み重ねれば、ゆっくりでも必ず「できる」に変わります。
そしてその力は、次世代に伝えられる臨床技術となるはずです。
私もまだまだ成長していきます。
今回の記事を読んでいただきありがとうございました。
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