イベントは「QRラリー」ではなく、「機能の組み合わせ」だと考えるようになった
イベント機能を考え始めた頃、私の頭の中には「QRラリーを作る」というイメージがありました。
参加者が地図を見ながらスポットを巡り、現地に設置されたQRコードを読み取って、次の場所へ進んでいく。
最初は、そのようなイベントを作ろうと考えていました。
ですが、イベントの内容や必要な機能を整理していく中で、少しずつ考え方が変わっていきました。
同じQRコードでも、体験はまったく違う
一言でQRラリーといっても、イベントの進め方にはさまざまな形があります。
例えば、
決められた順番でスポットを巡る
好きな順番で自由に巡る
特定のスポットを達成すると、次のスポットが開放される
開催時間や制限時間が決められている
参加者ごとに異なるスポットが表示される
どれもQRコードを使うイベントですが、参加者が体験する内容は大きく異なります。
最初は、それぞれ別の種類のイベントとして考えていました。
しかし、仕様を一つずつ書き出していくと、違うように見えるイベントにも、共通する要素があることに気付きました。
イベントを構成する部品
イベントに必要なものを分解すると、例えば次のような要素があります。
スポット
QRコード
通知
開催日時
制限時間
スポットの公開条件
達成条件
参加者ごとの進行状況
イベントの違いは、これらの要素をどのように組み合わせるかによって生まれます。
つまり、「QRラリー」という一つの完成したイベントを作るのではなく、イベントを構成する部品を用意し、それらを組み合わせて体験を作るという考え方です。
この考え方に変わってから、イベント機能の設計が大きく広がりました。
通知やQRは、イベントの目的ではない
以前の記事では、通知・移動・QRコードを使って、現実世界とアプリをつなぐ仕組みについて書きました。
ただし、すべてのイベントで通知を使う必要はありません。
QRコードを使わないイベントも考えられます。
紙の地図からイベントが始まることもあれば、運営者の説明や、現地で見つけた目印が最初のきっかけになることもあります。
通知やQRコードは、イベントそのものではありません。
参加者に情報を伝えたり、現地に到着したことを確認したりするための手段です。
必要な場面で使い、必要がなければ使わない。
そのくらいの位置付けで考えた方が、イベントの自由度は高くなると感じています。
組み合わせによって、異なる体験が生まれる
例えば、次のような組み合わせが考えられます。
スポット+QRコード
参加者が地図を見ながら複数の場所を巡り、QRコードを読み取る。
スタンプラリーに近い、比較的シンプルなイベントになります。
スポット+QRコード+公開条件
一つ目のスポットを達成すると、次のスポットが表示される。
順番に物語が進む謎解きや、段階的に目的地が明らかになるイベントに向いています。
スポット+通知
指定された時間にヒントや目的地を通知する。
参加者の行動を途中で変えたり、イベント全体に展開を加えたりできます。
スポット+QRコード+参加者ごとの公開条件
参加者によって異なるスポットや情報を表示する。
同じイベントに参加していても、それぞれが違う役割やルートを持つ体験を作れます。
同じ部品でも、組み合わせや設定を変えることで、まったく違うイベントになります。
だから私は、イベントの種類を一つずつ増やすのではなく、イベントを構成する部品と、その組み合わせ方を増やすことを目指すようになりました。
「専用の仕組み」ではなく「作るための仕組み」
料理に例えるなら、「カレーだけを作る機械」を作るのではなく、材料や調理道具を用意するようなものです。
野菜、肉、スパイス、鍋があれば、組み合わせによってカレーだけでなく、シチューやスープも作れます。
イベントも同じです。
「QRラリー専用のアプリ」を作ると、QRラリーには使いやすくても、それ以外のイベントを作ろうとしたときに限界が出てきます。
一方で、スポット、通知、QRコード、時間、公開条件といった部品を組み合わせられるようにしておけば、企画に合わせて体験を変えられます。
作りたいのは、一つのイベントを実行するためだけの仕組みではありません。
さまざまなイベントを作るための仕組みです。
自由度を上げればよいわけではない
ただし、できることを増やせば、必ず使いやすくなるわけではありません。
組み合わせの自由度が高くなるほど、イベントを作る側の設定は複雑になります。
選択肢が多すぎれば、何を選べばよいのか分からなくなる可能性もあります。
そのため、内部では柔軟に組み合わせられる設計を持ちながら、実際にイベントを作るときには、できるだけ分かりやすい形で提供する必要があります。
自由度と使いやすさをどう両立するかは、これから検証しながら考えていきたい部分です。
まだ、この考え方が正しいとは限らない
現時点では、「イベントは機能の組み合わせとして設計する」という方針で開発しています。
しかし、実際にイベントを開催してみれば、もっと機能を絞った方が使いやすいと分かるかもしれません。
想定していなかった組み合わせが必要になる可能性もあります。
開発中の考え方は、完成した答えではありません。
実際の利用を通して確かめ、必要であれば変えていくものだと思っています。
それでも、現時点でこの考え方に至ったことは、記録として残しておきたいと思いました。
最初は「QRラリーを作る」と考えていました。
今は、イベントを構成する部品を組み合わせ、さまざまな体験を作れる仕組みを目指しています。
この見方の変化は、今回の開発の中でも大きな設計判断の一つでした。
