人間ドック・予防医療学会を終えて―予防医療はどこへ向かうのか
先日、「今年の人間ドック・予防医療学会も活況!」という記事を書きました。
その時はまだ学会開催中でしたが、2日間の学会を終えてみると、改めていろいろと考えることがありました。
今回は、熊本で感じたことを少しまとめてみたいと思います。
1.予防医療の世界が確実に広がっている
まず強く感じたのは、予防医療という分野そのものの広がりです。
企業展示では、従来の検査機器だけでなく、先制医療の検査、食品、睡眠、健康管理システム、アプリなど実にさまざまなサービスが並んでいました。
学会発表でも、がん検診や生活習慣病だけでなく、AI、アプリ、睡眠といったテーマが増えています。
以前は比較的少なかった運動支援についても、着実に発表が増えていました。
一方、メンタルヘルスについてはまだ目立った発表が少なかった印象があります。
身体、運動、睡眠、そして心。
これらを横断的に考えることが、これからの予防医療なのかもしれません。
2.学会から持ち帰りたい具体的なヒント
学会に行く楽しさの一つは、「これは自分たちの施設でもできるかもしれない」というアイデアに出会えることです。
今回特に気になったのが、睡眠健診や睡眠時無呼吸症候群(SAS)への取り組みでした。当施設でも、睡眠分野はもう少し充実させられそうです。
大腸内視鏡検査の前処置を支援するアプリを開発している施設もありました。何でも自分たちで一から作る必要はありません。良いものがあれば連携して使わせてもらう、という発想も大切だと思います。
地域住民を巻き込んだ健康づくりでは、鹿児島の高血圧対策など、すでに成果を上げている事例もありました。
全国の成功事例を、倉敷や岡山にどう持ってくるか。
これも今後考えてみたいテーマです。
3.今やっていることにも、意味がある
新しいものを見る一方で、「今やっていることを続けよう」と思えた部分もありました。
大腸がん検診後の精密検査受診率向上については、多くの施設が発表していました。
その中で、当施設と同じように健診当日に直接声を掛けている施設もいくつかありました。
結局、人を動かすには、その場できちんと伝えることが強い。
手間のかかる方法ではありますが、現在の取り組みを続ける意味を改めて感じました。
胃がん検診についても、ピロリ菌陰性の方に毎年胃カメラが必要なのか、という議論を何度か耳にしました。
全員に同じ検診を行う時代から、その人のリスクに合わせて検診内容や間隔を変えていく時代へ。
少しずつ流れが変わっているように感じます。
4.全国を見ながら、倉敷・岡山で一歩ずつ
経済産業省からは、健康経営や企業・健康保険組合と連携した予防医療についての話もありました。
そうした発表を聞いていると、当施設で行っている健康・運動指導や企業との連携は、実はかなり先進的な取り組みなのではないかとも感じます。
とはいえ、全国を見ればAIやアプリ、地域活動など、新しい挑戦が次々と始まっています。
「自分たちも頑張っている」と思いつつ、「まだまだできることもある」。
その両方を感じられるのが、学会に参加する良さなのだと思います。
来年の学会は大阪開催とのこと。
また一年、倉敷・岡山でできることを一つずつ積み重ねて、次回は今年より少し進んだ報告ができればと思います。
