ジャンボタニシを田んぼにまいた人、全員集合。〜自然農法という名のホラー実験と、カエルと僕の冷凍庫の話〜
ジャンボタニシ、爆誕の巻
最近、ニュースで話題になっている“ジャンボタニシ農法”なるもの。
一言でいうと、「除草剤を使わず、ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)に雑草を食べてもらおう!」という、斜め上の発想から生まれたナチュラル系ホラー農法である。
いやいや、ちょっと待って欲しい。ジャンボタニシって、
あの稲を食い荒らして農家の心を折る、あの外来生物だよね?
そんなやつをわざわざ田んぼに放つなんて、正気の沙汰じゃない。
「除草剤を使いたくない」という気持ちは理解できる。
自然にやさしく、土にやさしく、人間には厳しく。
ジャンボタニシを信じて田んぼに放ったら、稲じゃなくて雑草だけ食ってくれると思ったのか?
それって、虫かごの中にカマキリを入れて「この種類のバッタだけ食べてね♡」とお願いするのと同じレベル。
雑草より稲がうまいって
ジャンボタニシは雑食性のプロ。特に柔らかい若い稲が大好物。
田植え直後の稲なんて、彼らにとっては高級イタリアンの生パスタである。
除草どころか稲までペロッと食い尽くして、
農家の努力と希望は見事に飲み込まれる。
一部では「草だけ食べてくれた!」「自然の力すごい!」と称賛されているが、その“成功例”の多くは「ミリ単位での田んぼの水量調節」など、尋常ではないほど神経質な管理が必要であることがあまり触れられていない。
しかもジャンボタニシは笑えるくらいに想像を超えたペースで増える。
ピンクの毒々しい卵をあちこちに産みまくり、数週間後にはジャンボタニシ地獄の田んぼが完成する。
信じたのは誰だ?
なぜこんな謎農法が生まれてしまったのか。
答えは意外とシンプルだ。
「常識を疑え」
「自然の力を信じよう」
――この手の自己啓発ナチュラル思想が、暴走した副作用。
「農薬を使わずに済むなら…」
「除草剤ゼロの持続可能な農業を…」
そんな“キレイな言葉”に背中を押され、実験に走った人たちは、ある意味で勇者だった。
でも、勇者は時に、魔王を召喚する。
そう。ジャンボタニシという名の悪名高き魔王を。
農水省、ついにブチギレる
さすがに外来生物を積極的に田んぼに放つという行為を看過できず、
農林水産省は異例のコメントを発表した。
「ジャンボタニシを除草目的で放流するのは絶対にやめてください。
外来生物の拡散につながり、地域農業に甚大な被害を与える可能性があります。」
そりゃそうだ。
農水省って、ジャンボタニシを駆除対象として補助金まで出してる側なのだから。
カエルと僕と冷凍庫の事情
ちなみに僕自身、よく田んぼに出入りしている。
目的は、カエルやバッタ、ドジョウ、オタマジャクシ、水生昆虫たちを捕まえて観察・飼育すること。
そして、ちょっとだけスクミリンゴガイも捕まえる。
え?害虫なのに?
そう。うちでは冷凍して、トノサマガエルのエサにしているのだ。
これが意外と食いつきがいい。
他のエサと違って貝殻から身を取り出すのは面倒だけど、多少でも減らすお手伝いができれば…という思いもある。田んぼで大量発生している姿をみれば、そんなの焼け石に水だってことはわかっているが…。
食糧だった過去と、駆除される現在
実はジャンボタニシ、1980年代初頭に人間の食用として輸入された過去がある。
当時は「ジャンボタニシ=エスカルゴ的高級食材」として期待され、ブランド化を目指していたほどだ。
だが日本人の味覚に合わなかったのと、肝吸虫などの寄生虫問題もあり、
加熱不十分だと危険と判明。結局は定着しなかった。
そして養殖場からの逸出や一部の放流によって、野外で大繁殖。
“駆除される存在”へと、あっという間に転落したのだ。
ちなみにピンクの卵は毒がある。
食べると嘔吐・下痢・痙攣などが起こるらしいので、こっちは興味本位で口にしないように。
自然は、従わせるものではない
自然は、人間にとって都合のいい相手じゃない。
「草だけ食べてね♡」なんていうお願いは、自然には通じない。
大事なのは「任せること」じゃなく、「観察して、学ぶこと」。
ジャンボタニシ農法が失敗だった理由。
それは、「自然に任せる」のと「自然をナメる」の違いに、気づけなかったことに尽きる。
最後にひとこと(いや、ふたこと)
ジャンボタニシ農法に夢を見た皆さん。
あなたの田んぼ、稲が減ってないだろうか?
夜な夜な、ピンクの卵が夢に出てきていないだろうか?
もしそうなら、次こそ夢じゃなくて冷凍庫で現実と向き合ってみて欲しい。
ジャンボタニシの“活用方法”は、田んぼじゃなくて冷凍庫にある。
あなたのカエルもきっと喜ぶ。
「それ正しい使い方」ケロ…
