ずーっと嘘をついているんだ【2026年創作大賞】
実はね、ずーっと嘘をついているんだ。
「恋愛に興味がないんだ」って。
もう20年以上、演じ続けているかな。
恋愛に興味がない人を。
名俳優でしょ?
本当は、同じ性別の人が好きなんだって、言えたらどんなに楽だろう。
でも、その一言が怖くて、ずっと飲み込んできた。
嘘をつき続けるのも、楽じゃない。
少しずつ、心の色が失われていくんだ。
楽しそうに恋愛の話をしている人たちを、ずっと遠くから見ていた。
羨ましいな。
私も、あんなふうに自然に笑いながら話してみたいなって、ずっと思っていた。
でも、こういう気持ちを抱えているのは、私だけじゃないんだ。
世界には、
同じ性別の人を好きになる人もいる。
男の人も女の人も好きになる人もいる。
好きになる相手の性別を気にしない人もいる。
生まれた性別とは違う性別で生きたい人もいる。
自分の性別を決めたくない人もいる。
人を好きにならない人もいる。
好きな人はいても、その人とsexをしたいわけじゃない人もいる。
人の数だけ、性別や愛の形があるんだ。
でも、多くの人が、それを隠しながら生きている。
知られてしまったら、穏やかな生活が壊れてしまうかもしれないから。
だから、“普通”になれるように、一生懸命話を合わせる。
「好きな人は?」
「恋人はいるの?」
そんな何気ない会話にも、嘘を混ぜながら生きている。
本当の気持ちを、身近な人にも話せない。
それは、とても苦しくて、辛いことなんだ。
そうやって少しずつ、心が壊れてしまう人もいる。
私たちのことを理解してほしいとは思わないし、無理にわかってほしいとも思わない。
でも、ほんの少しだけ関心を持って、歩み寄ってくれるだけで、気持ちが楽になることがあるんだ。
「もしかしたら、目の前にいる人もそうかもしれない」
そんなふうに、少しだけ想像してくれるだけで、
私たちは「ここにいていいんだ」って思えるようになる。
「好きな人はいるの?」じゃなくて、
「あなたのセクシャリティは?」
「どんな人が恋愛対象になるの?」
そんなふうに、恋の話が始まる世の中になったらいいな。
