Photo by
personal_editor
信号機ぶどう味
こちらのショートショート募集企画にチャレンジしました。
お題【信号機ぶどう味】に正面から取り組みました。
信号機ぶどう味――これは難しいお題だ、とぼくは思った。
しばらく頭を捻り、それから手首を捻ってみた。少し痛かった。
信号機は食べるべきものじゃないから、ぶどう味をつけても意味がない。でも、別に意味なんかなくてもいいじゃないか。
ぼくは役所に行き、ぶどう味の信号機の建設を提案してみた。眼鏡をかけた女性職員は困った顔で苦笑いした。
「なぜそんなことをするのでしょう」
「信号機からぶどうの匂いがしたら話題になると思うんです。この町を活性化する足掛かりになりますよ」
「しかし技術的に難しいかと」
「作るときにぶどうフレーバーを混ぜ込めないかな」
「本体は金属製ですので混ぜ込むのは難しいかと」
「たとえばレンズの樹脂に混ぜ込めないかな」
「レンズは位置が高いので、ぶどうの匂いが下まで届かないかと」
「届かなくてもいいじゃないか」
「それでは話題になりませんよ」
「君、優秀だね。役所の人間なら簡単に丸め込めるものと思っていたんだけど…」
職員は苦笑いした。名札には「佐藤」と書いてあった。
「さとうなのに甘くないね」
佐藤さんは苦笑いした。
というか、引いていた。
素敵な企画をありがとうございました!
いいなと思ったら応援しよう!
最後までお読みいただきありがとうございます