🦋メイとカレン④|これからも、遊びに来ていい?
午後の光が、カーテン越しにやわらかく差し込んでいた。
小さなテーブルには、温かいお茶と焼き菓子。
お嬢様はカップを置き、少し照れたように言う。
「わたくし、最近楽しくて。メイさんがこうして遊びに来てくださるから……」
「えー? ほんと?」
メイは椅子に腰かけ、気楽に笑う。
「私もだよ。同じくらいの年の友だち、あんまりいなくてさ。街にはよく来るけど、いつも一人だし」
少し間があく。
「……てかさ。誰かが帰ったあとって、急に寂しくなったりしない?」
お嬢様は目を瞬かせて、小さくうなずいた。
「……ええ」
少し考えて、言葉を選ぶ。
「屋敷では、いつも人がいましたし……一人は、あまり得意ではありませんの」
「そっか」
メイは背もたれに体を預けた。
「最初の頃は、今よりずっとひどかったですわ」
「……だよね」
少し間。
メイはふと思い出したように言う。
「じゃあさ、これからもちょくちょく来ていい?」
「まぁっ……!ぜひ」
お嬢様はうれしそうにうなずく。
それから、ふっと視線を落とした。
「ただ……」
「ん?」
少しだけためらってから、打ち明ける。
「実はわたくし、完全に一人ではなくて……
テキパキとシレットが隣に住んでいますの」
「え、ええ〜?あの双子ちゃん? てか隣!?」
「ええ。たまに助けてもらっていて……それなのに、この状態で。お恥ずかしい限りですわ」
メイは一瞬きょとんとして、吹き出した。
「なにそれ、最高じゃーん!」
「最高……ですの?」
「最高でしょ。賑やかだし、片付け得意そうだし。いいなー、うちにも来てくれないかな〜」
その時──
隣の部屋から、ドン、と音がした。
続いてノック。
元気な声とともに、テキパキが顔を出す。
「メイさん、こんにちは!いいですよ!」
少し後ろで、シレットが静かにうなずいた。
「……必要でしたら」
メイは一瞬きょとんとして、次の瞬間、顔をぱっと上げる。
「マジで? やった〜♪」
両手を大きく上げて、ばんざい。
部屋の空気が、ふっと軽くなった。
「じゃ、また来るよ。今度は私の部屋もよろしくね〜」
メイは軽く手を振り、部屋を出ていく。
扉が閉まり、部屋は静かになった。
けれど、さっきまでの声が、
まだどこかに残っている気がした。
メイとカレン編

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