暮らしの森|今日は私が案内するね
メイ:
「今日はさ、私が暮らしの森を案内するね」
カレン:
「森の中って、気持ちいいですわね」
「でしょー。あ、でもこの辺、足元ゴツゴツしてるからさ、気を付けて。」

「あ、ねえ見て見て」
「まぁ。大きな蝶々」
「んー、アゲハかな」
「これがアゲハ蝶ですの!初めて見ましたわ」

「こういうの、楽しいですわ」
「でしょー」
「街も楽しいけどさ、森もいいよね」

◆ ◆ ◆
そして話題はこないだのケチャップ事件に
「うわ、ケチャップ?
お気に入りのワンピに?やばー」
「泣きそうになりましたわ」
メイはマカロンをほおばりながら笑う。
「でもさ、落ちて良かったじゃん」
「ええ。その時に初めて、
シミ抜きにもルールがあると知りましたの」
メイは少し考えてから、肩をすくめる。
「シミ抜きなんて、改めて考えたことないな。
私いっつもテキトーだよ」
「シャワー入りながらさ、
ボディソープでゴシゴシやっちゃう」
カレンの手が、ぴたりと止まる。
「あら?お湯はよくない場合がありますわ。
ゴシゴシも……」
「え?普通にやってるけど」
ほんの一瞬、間が空く。
「ちょっと待って、調べる!」
メイはその場でスマホを取り出す。
画面を見たまま、顔が変わる。
「うわ、ほんとだ」
指でスクロールしながら、小さく読む。
「見た目は落ちたように見えても、
繊維の奥で固まり……え、こわ!」
少し黙る。
「……あー、そういえば」
何か思い当たったように、顔をしかめる。
「なんかさ、落ちたはずなのに、
後でうっすら残ってるやつあるんだよね」
カレンは何も言わず、静かにうなずく。
「わたくしも何も知らなくて。
洗剤と漂白剤の違いも、最近知ったくらいですもの」
「でも、ちゃんとやり方があると知ってからは焦らなくなりましたわ」
「マジかー、色々やっちゃってるなぁ……」
「あ、でもさ!もう無理なやつは、大人しく捨てればよくない? これも断捨離だよね〜」
カレンはクスッと笑った。
「メイさんらしいですわ」
「あ、“さん付け”はいらないよ?」
メイはちょっと意地悪そうに笑う。
「あっ、そうでしたわ。」
◆
「でもさ、次はマシにやれる気がする」
「ええ。知っていれば慌てなくて済みますわ」
少しだけ間があく。
「……っていうかさ、こういうの、あの二人詳しそうじゃない?」
「……間違いないですわね」
後日、二人に聞いたら──
「早見表、ありますよ」
「分類すれば簡単です」
やっぱり、そう来た。

メイとカレンの話はこちらにもあります⬇︎
