零等星
アクセサリーメーカーの工場。防犯カメラは記録した。最後に、初めて輝る星。
ゆっくりと、向かっていく。夢に。
「ほんとに見回りとかいないんだね」
「ね、大丈夫なのかな」
「おかげで入れたけど」
「それはそう」
纏う装飾、重ねた色彩。そのどれより愛しいいのちを抱えた少女たち。
「新作いつだっけ、指輪の方」
「来週じゃなかったっけ」
「かわいいよねアレ」
「うん、すごい綺麗」
「・・・・・・なれるかな「なれるよ」
「なれるよ。ぜったい」
「何色がいい?」
「えーー、黒」
「私ね、水色」
「たべる?」
「たべるー何?」
「ん、グミ。これ」
「えどこで売ってた?」
「いつも行ってるドラスト」
「毎日見てたのに初めて見たんだけど」
「さっきね」
「あーね、私水のとこしか行かなかったから」
「さ、感想をくれたまえよ」
「ん・・・・・・おいっし何これ。ブルーハワイ?」
「ま?トロピカル嘘じゃん・・・あ、うま」
「でしょ。私が作ったから」
「製作者嘘じゃん」
くす、くす。これより尊い笑みは無い。
「これ、どれのだろね」
指す溶解炉は、かわいくて綺麗な、例の指輪を作るためのものだった。
「指輪だったらいーな」
「これにしよっか」
「する」
「もうちょい休も」
「ん。最後だし」
「私も買ってんだよね」
「見して」
「ラムネと、あのグミもっこ、と高めのチョコ。全財産」
「待って私さ」
「ほ?」
「ほかにもお菓子買ったんだけどほとんど一緒」
「なかよしかよ」
「違うの?」
「違うよ、ちょーなかよし」
「っふ。知ってた」
どろけた金属と煤けた壁。しかしそこだけは花園で、布団の上で、空き教室だった。
「まずこれにしよ」
「私これー」
「いっこちょーだい」
「ん。それもほしい」
「やっぱこれ美味しいよね」
「一緒に食べてもうまいこれ」
「私もそうやって、食べててもかわいかったらな」
「綺麗じゃん、所作とかも。そゆとこ好きだよ。それに・・・・・・もうちょっとでおなじになるよ」
「そーだね、そーだよね。ずっと、なりたかった」
「そ。もう三個たべてるとこはかわいいけど」
「まってほんとじゃん」
「私も四個食べてんだけどね」
「多いじゃん」
「ばれた。だって美味しいんだもん。それに・・・」
「ん?んむっ」
「ちゃーんと残してる」
「ん・・・・・・っふふ、おいし」
「でしょー。あとこれで最後だ。はんぶんこしよ」
「さんせー。あ、あのグミじゃん」
「これガチ何味?」
「トロピカルブルーハワイ・・・?」
「夏すぎるって」
「今更だけどさ。これって暑いよね。中」
「多分、感じないんじゃない?熱すぎて。鉄とか溶かせるわけだし」
「一瞬か。溶鉱炉ダイエット」
「ダイエットってかダイだけど多分一瞬」
「一瞬かあ。走馬灯でデート思い出すの、憧れてたんだけどな」
「ペアリングなって、毎日デートするから」
「約束ね」
「約束」
その小指は、何にも飾られていなかった。
「そろそろ行く?」
「ん。全部たべたし」
「言い残すこと、ある・・・ふつつか者ですが、よろしくおねがいします」
「そっちがお嫁さんなんだ。こちらこそよろしくおねがいしますっ・・・・・・次は幸せにするからね」
「もっと幸せにしてくれるの?」
「っ、はは。そうだね。もっと幸せになるんだよ。ふたりで」
「これも約束だ」
「そ。約束」
「じゃ、いこっか」
「おわかれじゃないもんね。いっしょになるんだもんね」
「そうだよ。またねじゃなく、ずっとだよ」
超新星爆発。
