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カウンセラーにも、カウンセリングが必要ですか?

「いつも人の悩みを聞いている専門家は、自分自身の悩みはあるのだろうか?」
「カウンセラーにも、カウンセリングが必要になることはあるのでしょうか?」

心や脳の仕組みについて発信していると、ふとこのような疑問を持たれる方がいらっしゃいます。

結論から言うと、答えは「イエス」です。

むしろ、人の心に深く寄り添う立場にいるからこそ、定期的な心のメンテナンスが必要不可欠だと言えます。

今回の記事では、ITエンジニアとして働きながら、メンタルケア心理士としての顔も持つ私自身の視点と本音を交えて、その裏側をお話ししてみたいと思います。

1. 心理士であり、エンジニアである私の「本音」

ここで少しだけ、正直な気持ちを告白させてください。
私自身、心理学や認知科学の知識があり、心の仕組みを頭では理解しているつもりです。しかし、「誰かにただ話を聞いてほしい」「自分の内側にあるモヤモヤを外に吐き出したい」と強く思うことがよくあります。妻が聞き上手なので、自分の話をよく聞いてもらっています。

それはなぜか。

自分の思いを言葉にして他者に受け止めてもらい、「わかってもらえた」と感じた先にこそ、深い安心感があるからです。そして、私自身もひとりの人間として、その安心感を強く必要としています。

「心の専門家なのに?」と思われるかもしれません。でも、心の仕組みを知っていることと、自分の心が一切揺れ動かないことは全く別の話になります。落ち込むこともあれば、人間関係で悩むことも、先の見えない不安に押しつぶされそうになることも、正直多々あります。

2. 心のケアは、システムの「保守・運用」と同じ

私はITエンジニアとして、日々コードを書いたり、システムを組んだりしています。その視点から見ると、人間の心と脳は、非常に高度で複雑な「情報処理システム」によく似ています。

どんなに優秀なシステムでも、稼働し続けていれば見えないところで不要なデータが溜まり、処理速度が落ちたり、予期せぬエラーが起きたりします。だからこそ、定期的な再起動や「保守・運用」のメンテナンスが欠かせません。

心も同じです。

他者の深い感情に寄り添うカウンセラーや心理士は、日々膨大な感情データに向き合っています。その皆様の大切な感情データを、自分の中でうまく整理できずにいると、自分自身の心がすり減る「共感疲労」というシステムエラーを起こしてしまうのです。

3. 欧米では「専門家が専門家を頼る」のが標準仕様(スタンダード)

実は、心理職の世界では「カウンセラー自身がカウンセリングを受けること(教育分析や個人療法)」は、プロとして非常に重要なプロセスとされています。システム開発でいう「コードレビュー(他者によるチェック)」の文化ですね。

事実として、世界に目を向けると以下のようなデータがあります。

このように、心の専門家が別の専門家にメンテナンスを依頼することは、欧米を中心としてごく当たり前の「標準仕様」なのです。

4. 「自己デバッグ」では得られない「安心感」の正体

メンタルケア心理士の有資格者として、私自身も普段から自分の思考を客観視し、認知の歪みを修正する「自己カウンセリング」を実践しています。エンジニアの言葉で言えば、自分のログを読んでバグを修正する「自己デバッグ」です。

しかし、私が誰かの力を借りたくなる最大の理由は、エラーの解決(バグ修正)だけではありません。自分一人でどれだけ論理的に感情を整理できても、そこには「他者に理解してもらう安心感」が存在しないからです。

実は、「わかってもらえた」という安心感を得たとき、私たちの脳内ではシステムを根底から修復するような素晴らしい変化が起きています。

  • 扁桃体の鎮静化: 辛い感情を言葉にして誰かに伝えることで、理性を司る前頭葉が活性化し、不安や恐怖の警報を鳴らす「扁桃体」の興奮がスッと落ち着きます。

  • オキシトシンの分泌: 他者に深く共感され、受容されたと感じると、脳内では「幸せホルモン」とも呼ばれるオキシトシンが分泌されます。これがストレスホルモンを減らし、深い癒やしをもたらします。

知識や技術を駆使した「自己デバッグ」だけでは、このオキシトシンによる根源的な安心感は生み出せません。これこそが、人が人を頼る最も大きな理由だと考えています。

おわりに:心をメンテナンスすることは、特別なことではない

「心理士でありエンジニアである私自身も、他者に理解してもらう安心感を必要としている」

この事実から、「心が疲れたときに誰かの力を借りることは、決して恥ずかしいことでも、システムとしての欠陥でもない」という結論に私は至っています。

もし今、読者の皆様が何か悩みを抱えていたり、心が晴れない日々が続いているのなら、「心の専門家も、理解される安心感を求めて誰かを頼る。人類みんな、誰かを頼って生きている」と、少しだけハードルを下げてみてください。

あなたの心を軽くするためのヒントとして、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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