「アイ・ワズ・ア・ストレンジャー」(備忘録的感想)
世界史上最も難民が発生した内戦と言われている、シリアの内戦をテーマにした作品だ。
アミラなど、国外に逃れる難民たちと、その関係者をオムニバス形式で描いている。
アミラはN.Y.の病院で清掃の仕事に就いていた。
そこでシリア時代の事を思い出す。
アミラはシリアでは医師として働いていた。
だが自分の誕生日を家族で祝っているときに内戦の爆撃にあい、娘以外の家族は死亡してしまう。
命の危険を感じたアミラは、近所の知り合いに導かれて娘と国外へ逃げ延びることを考える。
国境警備兵のムスタファは、父のもとを訪ねていた。
父は反政府軍を支援しており、正規軍のムスタファを認めていない。
ムスタファ自身も、このまま非人道的な正規軍でいることが正しい事なのか、迷っていた。
そしてムスタファが警備をしている国境に、アミラ親子をトランクに隠した車がやってくる。
トルコの密航業者マルワンは、病弱な息子とアメリカで暮らすことを目標に、難民たちをボートに乗せて出航させていた。
しかし救命胴衣は足りず、ゴムボートはいつも定員をはるかにオーバーした危ない状態だ。
難民たちは危険を訴えるが、マルワンは聞く耳持たずに難民たちを嵐の海に送り出す。
ファンティと家族は難民キャンプから抜け出して、マルワンのボートに乗ろうとしていた。
ファンティはマルワンから、ギリシャの湾岸警備艇が近寄ってきたらボートのゴムをナイフで切れ、海に投げ出されればギリシャの警備艇が助けてくれると指示を受けるが、自分の娘も救命胴衣を与えられておらず、危険だと訴える。
ギリシャの湾岸警備艇の船長スタヴロウは、毎夜うなされていた。
難民が後を絶たず、救えないケースが多いからだ。
そしてその夜も嵐の海の警備に出て、ファンティたちが乗ったボートと遭遇する。
日本では、シリアはアサド政権によるクルド人迫害のニュースが伝えられており、この作品でもアサド政権と反政府軍の内戦により難民となった人々の物語かと思ったが、ちょっと様子が異なっていた。
国境警備兵のムスタファの同僚は、シオニスト、つまりユダヤ人を敵だと言っている。
しかし舞台はシリアであり、作品内にもユダヤ人は登場しない。
シリアには反ユダヤ過激派組織のISIL軍もいるが、ムスタファたち政府軍とは別組織だ。
ムスタファがどの軍に所属しているのか、ちょっと混乱したが、細かい事にこだわらず政府軍と反政府軍の内戦だと理解することにした。
実際、ボートに乗って嵐の海に乗り出す難民が主なテーマとなっており、誰と誰が戦っているかはあまり重要ではなかった。
シリア以外も、陸路でトルコに入ってそこから地中海に乗り出しギリシャに亡命すると言う難民は多い。
さらにギリシャから陸路でドイツを目指すのだが、この映画で描かれているように、地中海で遭難して命を落とす難民が後を絶たない。
そしてこの映画は、ドキュメンタリーではないがかなり生々しい内容だ。
少々ネタバレになるが、フィクションなのにラストもあまり光がない。
現在はアサド政権は倒れているがその事で、イスラエルのISIL軍への攻撃が始まり、頻繁に爆撃が行われている事は日本でもよく伝えられている。
クルド人と、トルコに支援された反クルド人勢力の内戦も激化しているとの事だ。
そういうニュースを聞いていても、この映画を観て自分にできる事はほとんどなく、いかに無力であるかを思い知らされたようであった。
何かのタイミングで役に立てることがあるかもしれないので、常にニュースをキャッチアップしておくことが、自分にできる唯一の事だと思った。、
94.アイ・ワズ・ア・ストレンジャー
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