ドナルドのバカ ~あるアメリカ大統領の愚行録~ その④ドナルド、政界進出を目指す「You're out!」
この物語は、架空のアメリカ大統領ドナルド・カーズが主人公の完全なる創作フィクションです。実在する国、人物、団体、組織などとは一切関係はありません。あらかじめご了承ください。
ドジャー・スティールは、第二次世界大戦が終わった頃に生まれたロビイストだ。
若い頃から共和党系の政治コンサルタントとして活躍していた。
ドジャーのポリシーは「政治は戦争」だった。
具体的な戦略は以下の通りだ。
・攻撃が最大の防御
・相手を挑発する
・メディアを支配して最大限に活用する
この考え方は、それ以前にドナルドに影響を与えたロイの信条にも非常に近いものであった。
ドジャーは選挙に勝つのは、派手で目立ちメディア映えする人間、演説で大衆心理を支配できる人間、と考えていた。
そのため、ドナルドが1980年代に躍進していた頃から注目していた。
ドジャーはドナルドに大きな可能性を感じて、ドナルドに近づくチャンスを狙っていた。
ドジャーの口説き文句は「あなたなら大統領になれる」であった。
資産を失いメディアにも叩かれていたドナルドは、すぐにこの言葉に乗る。
そして二人は、ドナルドの政界進出のための準備を始める。
ドナルドは新聞に、NATOと日本の批判を政治広告として掲載した。
軍事、経済ともアメリカだけ費用を負担していて損をしている、強いアメリカを取り戻すためには「アメリカ・ファースト」が必要だと主張したのだ。
アメリカはブラックマンデー以降職を失う人が多い頃だったが、ちょうど日本はバブル絶頂期で、日本の自動車がアメリカで売り上げを伸ばし、日本の家電メーカーがハリウッドの映画会社を買収し、日本企業の広告がタイムズスクエアに増えた時期でもあった。
そのため、このドナルドの主張に共感するアメリカの国民も多かった。
ドナルドは不動産業から、「強いアメリカを取り戻すヒーロー・ドナルド」と言うブランドを売る商売へと転身する。
「ドナルド」ブランドを一般民衆に浸透させたのは、TVのビジネス・リアリティショウだった。
高額な年俸契約で若い一般参加者を募り、ビジネスの課題を競わせ、脱落者には「You're out!」と言うセリフを容赦なく浴びせた。
このセリフがシンボルとなり、番組は10年以上継続するほど大人気となる。
実際には借金苦にあえいでいたドナルドだが、番組内では豪華なオフィス内でわざと部下に厳しい言葉を投げかけるなど、「成功した厳しい経営者」を演じた。
その結果、「成功した大富豪」、「厳しいが有能な経営者」、「部下の実力を見極める能力があるリーダー」、「決断力のあるボス」というイメージが一般に定着する。
さらにTV番組の敏腕プロデューサーから、カメラにむかって印象的なポーズを取って視聴者の視線を引き付ける、出演者を厳しく挑発することによって注目を集める、などの手法も学んだ。
この事が、後の大統領選出馬への確固たる土台となった。
⑤に続く
ドナルドのバカ ~あるアメリカ大統領の愚行録~ その⑤ドナルドは大統領を取りに行く
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ドナルドのバカ ~あるアメリカ大統領の愚行録~ その①ドナルド、学生時代にカリスマになる
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こんな辺境の文章を読んでいただきまして、本当にありがとうございます!