空港職員が困るお客様ランキング― 空港で働いて分かった「困る行動」10選
空港で働いていると、本当にさまざまなお客様に出会います。
そして、その中には、空港職員の立場から見ると、正直なところ「対応に困ってしまうお客様」もいます。
ただ、ここで最初にお伝えしておきたいことがあります。
この記事は、「困ったお客様」を批判するために書くものではありません。
実際、対応に困る行動をする人のすべてが、悪意を持っているわけではないからです。
空港の仕組みを知らなかった。
飛行機に乗ることに慣れていなかった。
時間を読み違えてしまった。
旅行中のトラブルで焦っていた。
あるいは、「これくらいなら大丈夫だろう」と思っていただけかもしれません。
誰でも、初めて経験することでは失敗します。
私自身、空港で働く前は、空港の中でどれほど多くの人が、それぞれの役割を担いながら動いているのかを、詳しく知っていたわけではありません。
航空会社のスタッフ。
保安検査場の職員。
出入国に関わる職員。
空港内の店舗スタッフ。
搭乗口でお客様を案内するスタッフ。
そして、そのほかにも、多くの人が連携しながら、一つの飛行機を安全に出発させるために働いています。
旅行者から見れば、空港は「飛行機に乗るための場所」かもしれません。
しかし、そこで働く人間から見ると、空港は、非常に多くの人と時間とルールによって動いている場所です。
だからこそ、一人のちょっとした行動が、自分だけではなく、周囲の人にも影響することがあります。
本人にとっては、ほんの少しのことかもしれません。
しかし空港では、その「ほんの少し」が積み重なって、大きな混乱につながることもあるのです。
一方で、空港職員として働いていて感じたのは、旅行上手な人ほど、特別なことをしているわけではないということでした。
特別な知識も、長年の海外旅行経験も、必ずしも必要ありません。
少しの準備と、少しの余裕。
そして、周囲への少しの配慮。
それだけで、空港で起こる多くのトラブルは避けることができます。
今回の記事では、私が空港で働いた経験の中で見てきた「職員が対応に困る行動」を、ランキング形式で10個紹介します。
ただし、単に「こんな人は困る」と言って終わるつもりはありません。
なぜその行動が困るのか。
その行動によって、どのような影響が起こるのか。
そして、どうすれば避けることができるのか。
空港を利用するすべての人が、少しでも気持ちよく過ごすためのヒントとして、お伝えしていきたいと思います。
もしかすると、これから紹介する10個の中には、「自分もやったことがある」と思うものがあるかもしれません。
でも、それで構いません。
大切なのは、知らなかったことを知り、次の旅行から少し行動を変えることです。
空港は、旅行の始まりの場所です。
せっかく楽しみにしてきた旅を、空港での焦りやトラブルから始める必要はありません。
ほんの少し準備をして、ほんの少し周囲に目を向ける。
それだけで、あなた自身の旅も、そして周囲の人の旅も、きっともっと気持ちのよいものになるはずです。
それでは、空港職員が実際に困ってしまう「困る行動」を、第10位から見ていきましょう。
第10位 案内を見ない、アナウンスを聞かない
空港で働いていると、何度も目にする光景があります。
それは、空港内の案内板をほとんど見ず、アナウンスにも耳を傾けないまま、困ったときになって職員を探す人です。
「搭乗口はどこですか?」
「何時から搭乗ですか?」
「搭乗口が変更になったのですか?」
「そんな案内、聞いていません」
もちろん、分からないことを職員に尋ねることは、まったく悪いことではありません。
むしろ、分からないまま行動して間違えるより、聞いて確認するほうがいい場合もあります。
問題なのは、自分から確認できる情報を何も確認せず、すべてを人に教えてもらおうとすることです。
空港の中には、旅行者のためのさまざまな情報が用意されています。
大きな案内表示には、
搭乗便
出発時刻
搭乗口
搭乗開始時刻
遅延や欠航の情報
搭乗口の変更
などが表示されています。
さらに、館内では必要に応じてアナウンスも流れます。
ところが、空港の中を歩きながらスマートフォンだけを見ていたり、免税店で買い物に夢中になっていたりすると、大切な情報を見逃してしまうことがあります。
そして、あとになって、「搭乗口が変わったなんて知りませんでした」
「呼ばれていたのですか?」ということになるのです。
空港では、「案内してもらう」のを待つだけではなく、自分でも情報を確認することが必要なのです。
空港で働いていると、ときどき、「そんな話は聞いていない」と強い口調で言われることがあります。
しかし、実際には、すでに案内板に表示されていたり、アナウンスが流れていたりする場合も少なくありません。
もちろん、すべてのアナウンスを聞き逃さずにいることは難しいでしょう。
空港は広く、人も多く、周囲の音もあります。
だからこそ大切なのは、アナウンスだけに頼らないことです。
とくに搭乗口や出発時刻は、一度確認したら終わりではありません。
搭乗まで時間がある場合でも、ときどき案内板を確認する。
スマートフォンの航空会社の案内を確認する。
そして、分からないことがあれば、早めにスタッフへ尋ねる。
この習慣があるだけで、空港で慌てる可能性は大きく減ります。
空港で見ていると、「この人は旅に慣れているな」と感じる人には、ある共通点があります。
それは、必要な情報を自分で確認していることです。
案内板を見る。
自分の搭乗券を確認する。
搭乗口の方向を確認する。
時間が近づけば、もう一度確認する。
特別なことではありません。
むしろ、非常に地味な行動です。
しかし、この地味な習慣が、空港でのトラブルを防いでいます。
旅行上手な人は、最初からすべてを知っているわけではありません。
「分からないから確認する」ことが習慣になっているのです。
一方で、空港に慣れていない人ほど、「さっき確認したから大丈夫だろう」
「まだ時間があるから大丈夫だろう」と思ってしまうことがあります。
しかし、空港では状況が変わることがあります。
搭乗口が変更になることもあります。
出発時刻が変更になることもあります。
予定していた時間より早く搭乗が始まる場合もあります。
だからこそ、「一度見たから大丈夫」ではなく、必要なときにもう一度確認することが大切なのです。
そして、もう一つ大切なのが、質問するタイミングです。
「こんなことを聞いたら恥ずかしい」
「たぶん、こっちだと思う」
「分からないけれど、何とかなるだろう」
そう思っているうちに、時間だけが過ぎてしまうことがあります。
そして、搭乗時間が迫ってから、「搭乗口が分かりません」
「保安検査場はどこですか?」と慌てることになるのです。
職員としても、早めに尋ねてもらえれば、落ち着いて案内できます。
しかし、飛行機の出発時間まであと数分という状況になると、できることにも限界があります。
分からないことは、早めに聞く。
迷ったら、早めに確認する。
これは、空港を利用するうえで、とても大切なことです。
第9位 書類やパスポートを準備していない
空港で働いていると、意外によく見かけるのが、「自分の順番になってから必要なものを探し始める人」です。
チェックインカウンターで呼ばれてから、「パスポートはどこだったかな?」とバッグを開ける。
何度もポケットを探す。
財布の中を確認する。
スマートフォンの画面を操作して、必要な予約情報や搭乗券を探す。
そして、後ろには次のお客様が並んでいます。
もちろん、少し探す程度なら誰にでもあることです。
私自身も、必要なものがすぐに見つからず、慌てた経験があります。
問題なのは、必要になることが分かっているものを、何も準備しないまま自分の順番を迎えてしまうことです。
空港では、一人ひとりの手続きに少しずつ時間がかかります。
そのため、一人が長く手続きを止めてしまうと、その後ろにいる多くの人にも影響が出ることがあります。
旅行上手な人は、自分の順番になるまで何もしないで待っているわけではありません。
列に並んでいる間に、「次は何が必要だろう?」と考えています。
パスポートを準備する。
搭乗券をすぐに出せるようにする。
スマートフォンの画面を確認しておく。
必要な書類を一つにまとめておく。
このように、自分の順番が来る前に準備をしているのです。
これは難しいことではありません。
しかし、この小さな準備があるだけで、手続きは驚くほどスムーズになります。
パスポートは、海外旅行では非常に大切なものです。
だからこそ、「なくさないように」と、バッグの奥深くにしまう人もいるでしょう。
もちろん、それ自体は悪いことではありません。
しかし、必要になるたびに、「どこに入れたかな?」と探していると、本人も焦ってしまいます。
特に空港では、焦り始めると余計に見つからなくなることがあります。
「さっきまであったはずなのに」という状態になることもあります。
空港職員の立場から見ると、パスポートを探しているお客様を急かしたいわけではありません。
しかし、その間も手続きは止まっています。
後ろには待っている人がいます。
そして、お客様自身にも飛行機の時間があります。
だからこそ、パスポートのように必ず必要になるものは、自分の中で置き場所を決めておくことが大切です。
「旅行中はここに入れる」と決めておけば、必要なときに慌てずに済みます。
最近は、搭乗券や予約情報をスマートフォンで確認する人も増えました。
紙の書類を持ち歩かなくてもよくなり、とても便利です。
しかし、その便利さが、ときには困る原因になることもあります。
いざ自分の順番になってから、「メールはどこだったかな?」
「航空会社のアプリを開かなければ」
「ログインできない」
「画面が見つからない」となることがあります。
さらに、通信状態が悪かったり、スマートフォンの充電が少なかったりすると、さらに時間がかかります。
スマートフォンを使うこと自体が問題なのではありません。
むしろ、上手に使えば非常に便利です。
大切なのは、必要になる直前ではなく、少し前に準備しておくことです。
搭乗券を表示する必要があるなら、列に並んでいる間に画面を開いておく。
必要なメールがあるなら、すぐに確認できる状態にしておく。
ほんの少しの準備で、自分も周囲も慌てずに済みます。
空港での手続きをスムーズにするために、私が大切だと思うのは、
「必要になったら探す」のではなく、
「必要になる前に準備する」という考え方です。
これは、パスポートや搭乗券だけの話ではありません。
保安検査を受けるとき。
手荷物を預けるとき。
搭乗するとき。
その次に何が必要になるのかを少し考えておくだけで、行動が変わります。
空港に慣れている人は、特別なことをしているわけではありません。
ただ、次の行動を少し早く考えているだけです。
だから、いざ自分の番になっても慌てません。
必要なものをすぐに出せます。
手続きが終われば、次の場所へ落ち着いて向かえます。
この違いが積み重なると、空港での時間の使い方が大きく変わってきます。
ここで、一つ誤解してほしくないことがあります。
初めて海外旅行をする人や、空港に慣れていない人が、何を準備すればいいのか分からないこともあるでしょう。
それは、まったく問題ありません。
分からなければ、職員に聞けばいいのです。
「次は何が必要ですか?」
「ここでは何を出せばいいですか?」
こうした質問をすることに、遠慮する必要はありません。
空港職員として困るのは、「分からないから質問する人」ではありません。
むしろ、分からないまま時間が迫るまで放置し、最後になって大きなトラブルになることです。
早めに聞けば、早めに準備できます。
早めに準備すれば、落ち着いて行動できます。
そして、落ち着いて行動できれば、空港での失敗も減っていきます。
旅行は、空港に着いた瞬間から始まっています。
せっかくの旅行なのに、パスポートを探し、スマートフォンの画面を探し、時間に追われて慌てるのはもったいないことです。
自分の順番が来る前に、次に必要なものを準備する。
たったそれだけの習慣が、空港での時間を大きく変えてくれます。
そして、この小さな習慣こそが、旅慣れた人と、いつも空港で慌ててしまう人との違いの一つなのかもしれません。
第8位 手荷物のルールを理解していない
空港で働いていると、保安検査場やチェックインカウンターで、よく耳にする言葉があります。
「これ、持っていけないんですか?」
「前は大丈夫だったのですが」
「知らなかったので、今回は何とかならないですか?」
旅行者にとっては、普段使っている物をバッグに入れただけかもしれません。
しかし、飛行機に乗る場合には、普段の生活とは違うルールがあります。
そして、そのルールを知らないまま空港へ来ると、保安検査場やカウンターで思わぬトラブルになることがあります。
本人に悪気はありません。
むしろ、多くの場合は、「普通に使っている物なのだから、持って行けると思った」というだけでしょう。
しかし、空港では「知らなかった」だけでは解決できないことがあります。
手荷物に関するトラブルで多いのが、保安検査場に来てから初めてルールを知るケースです。
バッグの中に入れていた物について、「これは持ち込めません」と説明されて、初めて驚く。
そこで、「でも、旅行先で使う予定だった」
「高かった物なのですが」
「何とか持って行けませんか?」という話になります。
気持ちはよく分かります。
せっかく旅行のために準備した物を、その場で手放さなければならなくなることもあるからです。
しかし、保安検査場では、飛行機の安全に関わるルールがあります。
職員の判断だけで、「今回は特別に大丈夫です」というわけにはいかないものもあります。
だからこそ、最も大切なのは、空港に来る前に確認しておくことなのです。
空港で困るのは、ルールを知らなかったことそのものではありません。
誰でも知らないことはあります。
問題は、確認する機会があったにもかかわらず、何も確認せずに当日を迎えてしまうことです。
そして、保安検査場で止められてから、「どうすればいいですか?」と慌てる。
場合によっては、持って行けない物を処分しなければならないこともあります。
荷物を預け直す必要が出ることもあります。
時間があれば対応できるかもしれません。
しかし、搭乗時間が迫っている場合は、さらに大きな問題になります。
旅行中のトラブルは、突然起こるものだけではありません。
事前に少し確認しておけば防げたトラブルも、実は少なくないのです。
旅行先や航空会社、利用する便が変われば、確認すべき内容も変わる可能性があります。
旅行上手な人は、すべてのルールを暗記しているわけではありません。
必要なときに、必要なことを確認しています。
分からないから調べる。
ただ、それだけです。
保安検査場で荷物を止められると、「せっかく旅行に来たのに」
「時間がないのに」と不満を感じる人もいるでしょう。
しかし、職員も旅行者を困らせるために仕事をしているわけではありません。
空港では、多くの人が安全に飛行機を利用できるように、それぞれのルールに基づいて仕事をしています。
そのため、「自分は大丈夫だと思う」
「急いでいるから」という理由だけで、ルールを変えることはできません。
特に、後ろには多くの旅行者が待っています。
一人の対応に長い時間がかかれば、列全体が遅くなることもあります。
だからこそ、問題が起きたときに職員へ怒りをぶつけるよりも、
「では、どうすればいいですか?」と冷静に確認するほうが、結果として解決は早くなります。
荷物を準備するときに、「これは機内に持ち込めるだろうか」
「このバッグの大きさは大丈夫だろうか」
「重量は超えていないだろうか」と、一度確認する。
必要であれば、利用する航空会社や空港の案内を見る。
分からなければ、事前に問い合わせる。
このひと手間があるだけで、空港で慌てる可能性は大きく減ります。
空港に着いてから解決しようとすると、時間という制限があります。
しかし、自宅で荷造りをしている段階なら、まだ時間があります。
荷物を入れ替えることもできます。
不要な物を置いていくこともできます。
別の方法を考えることもできます。
つまり、手荷物のトラブルは、空港に着く前から始まっているとも言えるのです。
旅行で慌ててしまう人には、「空港に行けば何とかなる」という考え方を持っている人もいます。
もちろん、空港職員はできる限り旅行者をサポートします。
しかし、すべての問題を空港で解決できるわけではありません。
特に、時間が迫っている場合には、できることが限られます。
だからこそ大切なのは、空港で問題を解決するのではなく、空港で問題が起きないように準備する。という考え方です。
旅行で大切なのは、「何でも知っていること」ではありません。
必要なことを、必要なときに確認できること。
これが、旅慣れた人に共通する大切な習慣なのだと思います。
せっかく楽しみにしていた旅行です。
保安検査場で荷物を止められ、「知らなかった」と慌てるよりも、出発前にほんの数分確認する。
その数分が、空港での余裕につながります。
そして、その余裕が、旅を楽しむための時間を増やしてくれるのです。
第7位 重量オーバーなのに、料金の話で延々とごねる
チェックインカウンターで、ときどき長い時間がかかってしまう場面があります。
その一つが、預ける荷物の重量が規定を超えている場合です。
職員が荷物を計量し、「申し訳ありませんが、規定の重量を超えています」と説明すると、そこで素直に荷物を減らしたり、必要な手続きを進めたりする人もいます。
しかし、中には、「少しくらい、いいじゃないですか」
「前はこれで大丈夫でした」
「たった数キロでしょう」
「サービスしてくれませんか?」
「何とかしてください」と、長い時間をかけて交渉を続ける人もいます。
気持ちは分からなくもありません。
旅行にはお金がかかります。
できれば余分な料金は払いたくない。
「少しくらいなら見逃してくれてもいいのではないか」
そう思う人もいるでしょう。
しかし、空港職員の立場からすると、ここで一番困るのは、説明をしてもルールそのものを変えることを求められることです。
旅行者から見れば、数キロの重量オーバーは「ほんの少し」に感じるかもしれません。
しかし、航空会社には、それぞれ手荷物に関する規定があります。
そして、カウンターの職員が、その場の気分や個人的な判断だけで、
「今回は特別に無料にします」と決められるものではありません。
もし一人だけ特別扱いをすれば、次のお客様も、「では、自分も無料にしてください」となるかもしれません。
さらに、後ろで待っている人からすれば、「なぜ一人だけ長い時間をかけて交渉しているのだろう」ということになります。
空港は、多くの人が決められた時間の中で利用する場所です。
だからこそ、一定のルールに基づいて対応する必要があります。
「少しくらいだから」という気持ちは理解できます。
しかし、空港では、その「少しくらい」を誰にでも同じように適用できるとは限らないのです。
重量オーバーになったとき、多くの人がまず考えるのは、
「追加料金を払わなければならない」ということでしょう。
もちろん、予定外の出費ですから、誰でも嬉しいものではありません。
しかし、実は一番困るのは、料金そのものよりも、その場で初めて重量オーバーに気づき、どうするか決められなくなることです。
「この荷物を減らします」
「何かを捨てます」
「家族の荷物に移します」
「追加料金を払います」
いろいろな選択肢を考えることになります。
そして、その間にも時間は過ぎていきます。
後ろには次のお客様が並んでいます。
本人も焦り始めます。
すると、「何とかしてください」という気持ちが強くなり、職員とのやり取りが長引いてしまうことがあります。
しかし、残念ながら、時間が迫ってから交渉しても、解決できることは限られています。
だからこそ、重量の問題は、空港に来る前に解決しておくことが一番なのです。
空港で見ていると、旅慣れた人ほど、カウンターで荷物を開けて慌てることが少ないように感じます。
多くの人は、荷造りをする段階で、「これを全部入れたら重くなりそうだな」と考えています。
必要のない物は持って行かない。
重い物が多ければ、あらかじめ荷物を調整する。
必要であれば、自宅で重量を確認しておく。
航空会社の手荷物規定も、事前に確認する。
こうした準備をしているから、空港で初めて重量を知って驚くことが少ないのです。
旅行上手な人は、特別な技術を持っているわけではありません。
空港で起こりそうな問題を、空港に着く前に一つずつ減らしている。
その違いが大きいのだと思います。
重量オーバーを指摘されたあと、その場でスーツケースを開ける人もいます。
そして、「これは機内持ち込みのバッグに入れよう」
「これは家族の荷物に移そう」
「これは置いていくしかない」と、カウンターの前で荷物の整理が始まります。
もちろん、どうしてもその場で対応しなければならないこともあります。
職員も、必要な範囲で対応方法を案内するでしょう。
しかし、荷物を開ける。
中身を取り出す。
別のバッグに移す。
もう一度計量する。
まだ重い。
さらに荷物を出す。
こうした作業を繰り返しているうちに、本人も周囲も疲れてしまいます。
そして何より、搭乗時間が近づいている場合は、大きな焦りにつながります。
旅行のスタートから、「間に合うだろうか」という状態になってしまうのです。
せっかくの旅行なら、できるだけ落ち着いて出発したいものです。
そのためには、空港を「荷物を最終調整する場所」にしないことが大切です。
重量オーバーを指摘されたとき、「前回はこれで大丈夫でした」と言う人もいます。
確かに、以前は問題がなかったのかもしれません。
しかし、利用する航空会社や航空券の条件によって、手荷物の規定が異なる場合があります。
同じ旅行者でも、前回と今回で条件が同じとは限りません。
旅行上手な人ほど、過去の経験だけを頼りにしません。
経験があるからこそ、今回の条件を確認する。
この姿勢が、トラブルを防ぐのです。
どれだけ注意していても、重量オーバーになることはあります。
旅行先でお土産を買いすぎた。
帰りの荷物が予想以上に増えた。
家族の荷物を一緒に入れることになった。
そんなこともあるでしょう。
その場合は、まず落ち着くことです。
職員に怒ったり、「何とか無料にしてください」と繰り返したりしても、問題が解決するとは限りません。
それよりも、「どうすればいいですか?」と聞いたほうが、次に取るべき行動が分かります。
荷物を調整するのか。
追加料金を支払うのか。
別の方法があるのか。
状況を確認し、できることを選ぶ。
これが一番早い解決方法です。
空港で働いていて感じるのは、冷静に相談してくれる人ほど、結果的にスムーズに次の行動へ進めるということです。
ここまでの記事でも何度か触れてきましたが、旅行で慌てないために大切なのは、「問題が起きたら空港で何とかしてもらう」という考え方から、
「空港で問題が起きないように、できることは事前にしておく」という考え方に変えることです。
旅行上手な人は、空港職員と特別な交渉をしている人ではありません。
そもそも、交渉が必要になる場面をできるだけ作らない人です。
その小さな準備が、空港での余裕につながり、そして旅を楽しむ時間につながっていくのだと思います。
第6位 ギリギリになってチェックインし、保安検査場へ駆け込む
空港で働いていると、何度も目にする光景があります。
大きな荷物を引きながら、息を切らして走ってくる人です。
「すみません! まだ間に合いますか?」
「飛行機がもうすぐ出るんです!」
「急いでください!」
しかし、時計を見ると、すでに出発時刻がかなり迫っています。
これからチェックインをして、荷物を預け、保安検査を受け、国際線ならさらに必要な手続きを済ませ、搭乗口まで向かわなければなりません。
旅行者本人にとっては、「空港には着いたから、もう大丈夫」と思っているかもしれません。
しかし、空港に到着したことと、飛行機に乗れる状態になったことは、まったく別です。
ここを勘違いしている人は、意外と少なくありません。
空港に到着した時点では、まだ飛行機に乗るための準備が終わっていないのです。
時間ぎりぎりに空港へ到着すると、そのすべてを急いで済ませなければなりません。
そして、一つでも予定どおりに進まないことがあると、一気に焦り始めます。
ギリギリに到着する人の多くは、最初から飛行機に乗り遅れようと思っているわけではありません。
「これなら間に合うはず」と思って行動しています。
電車が予定どおりに到着する。
道路が混んでいない。
駅から空港まで迷わない。
チェックインに時間がかからない。
保安検査場が空いている。
すべてが予定どおりに進めば、確かに間に合うかもしれません。
しかし、旅行では予定どおりに進まないこともあります。
電車が遅れる。
道路が渋滞する。
空港が混雑している。
荷物の重量オーバーが見つかる。
保安検査場で手荷物について確認が必要になる。
搭乗口まで思った以上に時間がかかる。
こうした小さな遅れが一つでも起これば、「ぎりぎりの予定」はすぐに崩れてしまいます。
だからこそ、旅行上手な人は、予定どおりに進むことを前提にしません。
予定どおりに進まないことも考えて、時間に余裕を持たせています。
この「余裕」が、空港では非常に大切なのです。
時間がなくなると、人は走ります。
空港でも、「急げば間に合う」と思って走り出す人がいます。
しかし、空港の中を大きな荷物を持って走ることには、さまざまな危険があります。
人とぶつかる。
転んでしまう。
荷物を落とす。
一緒にいる家族とはぐれる。
そして、焦っているために、かえって道を間違えることもあります。
さらに、どれだけ急いでも、すでに手続きの受付時間を過ぎていれば、どうにもならない場合もあります。
「走れば何とかなる」と思っていたのに、「もう手続きができません」という状況になれば、旅行者本人にとっても大きなショックです。
空港職員としても、目の前で必死に急いでいるお客様を見ると、できる限り力になりたいと思います。
しかし、飛行機には出発時間があります。
搭乗口には締め切りがあります。
そして、一人のお客様のためだけに、いつまでも飛行機を待たせることはできません。
だからこそ、最後に走って何とかするのではなく、走らなくても間に合う時間に空港へ来ることが一番大切なのです。
時間ぎりぎりになる人には、もう一つ共通点があります。
それは、「まだ時間がある」と思っていることです。
空港に着いた。
まだ出発まで時間がある。
少し買い物をしても大丈夫。
食事をしても大丈夫。
トイレに行ってからでも大丈夫。
もちろん、時間に余裕があれば問題ありません。
しかし、「何時までに搭乗口へ行かなければならないのか」を意識していないと、気がついたときには時間がなくなっています。
特に空港では、飛行機の出発時刻と、実際に搭乗口へ向かうべき時間は同じではありません。
出発時刻まで時間があるからといって、のんびりしていていいとは限らないのです。
旅行上手な人は、空港に着いたらまず、「自分は何時までに、どこへ行けばいいのか」を確認しています。
そして、必要な手続きを済ませてから、残った時間を使います。
これなら、買い物をするにしても、食事をするにしても、気持ちに余裕があります。
一方で、まだ手続きが終わっていない状態で時間を使ってしまうと、あとになってすべてを急ぐことになります。
「早く空港に行くと、待ち時間がもったいない」と思う人もいるでしょう。
確かに、予定より早く到着すると、時間が余ることがあります。
しかし、その時間は決して無駄ではありません。
早めにチェックインを済ませる。
荷物を預ける。
保安検査を通る。
必要な手続きを終える。
そして、搭乗口の場所を確認する。
ここまで済ませてしまえば、そのあとの時間は自分のものです。
ゆっくり食事をする。
お土産を見る。
空港の雰囲気を楽しむ。
搭乗口の近くで休む。
旅行の計画をもう一度確認する。
余裕を持って空港に来た人ほど、結果として空港で過ごす時間を楽しんでいます。
反対に、ぎりぎりに来た人は、空港に着いた瞬間から走り回ることになります。
同じ空港でも、過ごし方はまったく違います。
時間の余裕は、単に「遅れないため」のものではありません。
旅を楽しむための余裕でもあるのです。
ここまで読むと、「とにかく早く空港へ行けばいい」と思うかもしれません。
もちろん、時間に余裕を持つことは大切です。
しかし、本当に大切なのは、ただ早く行くことではありません。
必要なことを、余裕を持って終わらせることです。
チェックインを済ませる。
必要な荷物を預ける。
保安検査を通る。
必要な手続きを終える。
搭乗口を確認する。
ここまで終わって初めて、本当の意味で「余裕」が生まれます。
そして、その余裕があるからこそ、予定外のことが起きても落ち着いて対応できます。
第5位 ファイナルコールがあっても、なかなか搭乗口へ来ない
空港で働いていると、搭乗口で緊張する瞬間があります。
それは、搭乗時間が迫っているのに、まだ来ていないお客様がいるときです。
搭乗開始の時間になれば、搭乗口のスタッフはお客様を迎える準備をします。
一人、また一人と搭乗していきます。
ところが、出発時刻が近づいても、まだ来ていない人がいる。
そこで、アナウンスが流れます。
「○○便をご利用のお客様は、○番搭乗口までお越しください」
それでも来ない。
さらに時間が迫れば、いわゆる「ファイナルコール」が流れます。
それでも、姿が見えない。
このとき、搭乗口の職員は、単に「早く来てください」と思っているわけではありません。
そのお客様が無事に搭乗できるのか、そして飛行機を予定どおり出発させられるのか。
さまざまなことを考えながら対応しています。
搭乗口へ来るのが遅れる人には、ある共通した考え方があります。
それは、「出発時刻まではまだ時間がある」というものです。
確かに、出発時刻そのものはまだ先かもしれません。
しかし、飛行機は「出発時刻になってから搭乗する」ものではありません。
搭乗には開始時間があります。
そして、搭乗を締め切る時間もあります。
さらに、搭乗口まで移動するための時間も必要です。
つまり、出発時刻=搭乗口へ行けばいい時間ではありません。
ここを勘違いしてしまうと、搭乗口へ向かうタイミングがどんどん遅くなります。
「もう少し買い物してから」
「もう少し休んでから」
「トイレに行ってから」
そうしているうちに、気づけばファイナルコールです。
空港では、搭乗時間までの時間を利用して買い物をする人も多いでしょう。
私自身、免税店で働いていたので、買い物を楽しみにしているお客様の気持ちはよく分かります。
出国後の免税店には、普段なかなか見ることのできない商品もあります。
「せっかく空港に来たのだから、少し見てみよう」という気持ちになるのも当然です。
しかし、ここで注意しなければならないのが、買い物に夢中になって時間を忘れてしまうことです。
「あと5分だけ」
「これを見たら行こう」
と思っているうちに、時間は過ぎていきます。
そして、気づいたときには搭乗開始時刻を過ぎている。
場合によっては、ファイナルコールが流れている。
それでも会計を続けている。
こうなると、免税店のスタッフも困ります。
お客様を急がせなければならないからです。
もちろん、私自身も、搭乗時間が迫っているお客様には、できる限り急いで対応したいと思っていました。
場合によっては、他のスタッフにも協力してもらい、会計を早く済ませ、搭乗口へ向かえるように案内することもあります。
しかし、それは「いつでも何とかしてもらえる」という意味ではありません。
ファイナルコールという言葉を聞いても、「最後に呼ばれているだけだから、まだ少し大丈夫」と思う人がいるかもしれません。
しかし、空港職員から見ると、ファイナルコールは文字どおり、最後の段階に入っているというサインです。
ここからさらに時間が経てば、搭乗できなくなる可能性があります。
だから、ファイナルコールを聞いたら、「もう少し待ってから行こう」ではありません。
すぐに搭乗口へ向かう。
これが基本です。
アナウンスを聞いた時点で、買い物をやめる。
食事を終える。
トイレを済ませる。
荷物をまとめる。
そして搭乗口へ向かう。
これだけでも、かなり違います。
ファイナルコールが流れたあとも、搭乗口へ来ないお客様がいると、搭乗口のスタッフだけが困るわけではありません。
航空会社のスタッフ同士で確認する。
必要に応じて、ほかの場所へ連絡する。
そのお客様がどこにいるのかを確認する。
場合によっては、館内のスタッフにも情報が伝わります。
一人のお客様が来ないことで、複数の人が動くことになります。
もちろん、搭乗口に来られない事情がある場合もあります。
体調が悪くなった。
道に迷った。
空港内で何かトラブルが起きた。
そういう場合は、できる限りサポートします。
問題なのは、特に事情がないのに、「まだ時間があると思っていた」という理由で、搭乗口へ向かうのが遅れてしまうことです。
旅行者本人からすると、「自分一人の問題」に見えるかもしれません。
しかし、飛行機は一人だけのものではありません。
多くのお客様が乗っています。
乗務員がいます。
空港スタッフがいます。
次の便を利用する人もいます。
一つの飛行機を動かすために、多くの人が関わっています。
だからこそ、一人ひとりが時間を意識することが大切なのです。
免税店で働いていた経験から、旅行者の皆さんにぜひ覚えておいてほしいことがあります。
それは、「買い物をしてから搭乗口へ行く」のではなく、「搭乗口へ行く時間を決めてから買い物をする」ということです。
たとえば、「○時になったら買い物をやめる」と自分で決めておく。
搭乗口までの距離を確認しておく。
必要なら、早めに搭乗口の場所を見ておく。
そうすれば、買い物を楽しみながらも、時間を忘れることがありません。
買い物をすること自体が悪いわけではありません。
むしろ、旅行の楽しみの一つです。
ただし、飛行機に乗ることが最優先。
この順番を忘れないことです。
もう一つ注意したいのが、「自分の名前が呼ばれていないから大丈夫」という考え方です。
実際には、個人名ではなく便名だけがアナウンスされることもあります。
また、アナウンスが聞き取りにくいこともあります。
周囲が騒がしくて聞こえないこともあるでしょう。
だからこそ、「呼ばれたら行けばいい」ではなく、自分で時間を管理することが大切です。
搭乗開始時刻を確認する。
搭乗口を確認する。
時間が近づいたら、搭乗口付近にいる。
これが一番確実です。
旅行上手な人は、ファイナルコールを「行動を始める合図」にしていません。
そのずっと前に、搭乗口へ戻っています。
もし買い物中や食事中にファイナルコールを聞いたら、どうすればいいでしょうか。
答えは簡単です。
すぐに搭乗口へ向かう。
これだけです。
第4位 遅延や欠航に対して、職員に暴言をぶつける
旅行をしていれば、誰もが一度は経験するかもしれません。
飛行機の遅延。
突然の欠航。
予定していた乗り継ぎに間に合わない。
楽しみにしていた旅行の予定が、大きく狂ってしまう。
空港で働いていると、こうした状況で困惑し、怒り、不安になるお客様を何度も見てきました。
その気持ちは、よく分かります。
何か月も前から楽しみにしていた旅行かもしれません。
仕事で絶対に間に合わせなければならない予定があるかもしれません。
海外で乗り継ぎがあり、この便に乗れなければ、その先の予定まで崩れてしまうかもしれません。
「どうしてこんなことになったのか」
「何とかしてほしい」
そう思うのは当然です。
しかし、その怒りが、目の前にいる空港職員に向けられることがあります。
「お前たちのせいだ」
「責任者を出せ」
「今すぐ何とかしろ」
「金を払え」
「こっちは大事な予定があるんだ」
大きな声で怒鳴る。
何度も同じ要求を繰り返す。
関係のない職員にまで怒りをぶつける。
空港で働く側からすると、こうした対応は非常に難しいものです。
なぜなら、目の前にいる職員自身が、その飛行機を遅らせたわけではないからです。
ここで誤解してほしくないのは、遅延や欠航に対して不満を持ってはいけない、ということではありません。
説明を求めるのは当然です。
今後の対応を確認することも大切です。
振り替え便はどうなるのか。
乗り継ぎはどうすればいいのか。
預けた荷物はどうなるのか。
宿泊が必要になった場合はどうすればいいのか。
旅行者には、確認しなければならないことがたくさんあります。
しかし、怒鳴ることと、問題を解決することは別です。
どれだけ大きな声を出しても、天候が回復するわけではありません。
安全上の問題がなくなるわけでもありません。
飛行機が突然、予定どおりに飛べるようになるわけでもありません。
それどころか、怒鳴り続けることで、自分自身も冷静に必要な情報を聞けなくなってしまいます。
本当に必要なのは、「今、何が起きているのか」
「自分は次に何をすればいいのか」を確認することです。
遅延や欠航が発生すると、空港の現場も大きく動きます。
航空会社のスタッフは、情報を確認します。
次の便を案内します。
必要な手続きを進めます。
多くのお客様から質問を受けます。
状況によっては、通常とは違う対応が必要になることもあります。
つまり、目の前にいる職員も、何もしていないわけではありません。
むしろ、多くの場合、限られた時間の中で、「どうすれば一人でも多くのお客様に必要な案内ができるか」を考えながら動いています。
そんなとき、一人のお客様が長時間にわたって怒鳴り続けると、その対応に人手を取られてしまいます。
すると、本来案内を待っているほかのお客様への対応にも影響が出る可能性があります。
もちろん、だからといって旅行者が我慢するだけでいいわけではありません。
分からないことは確認すればいい。
納得できないことがあれば説明を求めればいい。
しかし、相手を怒鳴りつけることが、最も良い方法とは限らないのです。
遅延や欠航が起きると、焦りから、「自分だけでも何とかしてほしい」と考える人もいます。
「今日中に目的地へ着ける方法はないのか」
「別の飛行機に乗せてくれ」
「タクシー代を出してくれ」
「ホテル代を払ってくれ」
さまざまな要求が出てきます。
事情によっては、確認すべきこともあるでしょう。
利用条件や状況によって、案内される対応も異なります。
だからこそ、必要なことは遠慮せずに確認すればいいのです。
ただし、そこで、「他の人がどうなってもいいから、自分を最優先にしろ」という考え方になると、対応は難しくなります。
遅延や欠航が起きているときは、自分だけが困っているわけではありません。
同じ飛行機に乗る予定だった人。
乗り継ぎを予定していた人。
家族が待っている人。
仕事の予定がある人。
多くの人が、それぞれの事情を抱えています。
その中で、職員はできる限り公平に、そして決められた手順に沿って対応しようとしています。
だからこそ、自分の事情を伝えることは大切ですが、同時に、
「自分だけが困っているわけではない」という視点も必要なのだと思います。
遅延や欠航が起きると、「どうしてもっと早く分からなかったのか」
「なぜ何とかできないのか」と思うこともあるでしょう。
しかし、空港で働いている職員も、飛行機が遅れたり欠航したりすることを望んでいるわけではありません。
飛行機が予定どおりに運航されれば、多くの業務はスムーズに進みます。
お客様も予定どおり目的地へ向かえます。
職員も、通常の流れに沿って仕事を進めることができます。
遅延や欠航が発生すれば、現場も混乱します。
問い合わせが増えます。
案内が必要になります。
予定外の対応が発生します。
つまり、旅行者だけが困っているわけではありません。
空港で働く人たちも、それぞれの立場で状況に対応しているのです。
このことを知っているだけでも、目の前の職員への接し方は少し変わるかもしれません。
空港職員として働く人は、お客様から厳しい言葉を受けても、感情的に言い返すことはできません。
相手が怒鳴っていても、できるだけ冷静に対応しなければなりません。
しかし、だからといって、何を言ってもいいわけではありません。
目の前にいる職員も、一人の人間です。
暴言を受ければ傷つきます。
長時間怒鳴られ続ければ、その後の仕事にも影響します。
そして何より、本来であれば解決のために使うべき時間が、怒鳴られ続けることに使われてしまいます。
旅行者と職員が対立しても、問題が解決しやすくなるわけではありません。
同じ方向を向き、「では、どうすれば次に進めるのか」を考えるほうが、お互いにとって良い結果につながります。
遅延や欠航が起きたとき、感情的になる前に確認したいことがあります。
今、何が起きているのか。
次の案内はいつ出るのか。
自分は何をすればいいのか。
利用できる選択肢はあるのか。
こうしたことを一つずつ確認していけば、状況を整理できます。
「とにかく何とかしろ」と繰り返しても、具体的に何をすればいいのかが分かりません。
旅行上手な人は、困ったときほど質問が具体的です。
「次の便について確認できますか?」
「乗り継ぎはどうなりますか?」
「荷物はどうなりますか?」
「次にどこへ行けばいいですか?」
こうして必要な情報を集め、次の行動を決めていきます。
これは空港に限ったことではありません。
旅行中のトラブル全般に共通することだと思います。
冷静に確認することは、我慢することではありません。
むしろ、自分に必要な情報を正確に手に入れるための方法です。
空港で働いていると、トラブルに遭遇したお客様から相談を受けることがあります。
中には、本当に困っている人もいます。
飛行機に乗り継げなくなりそうな人。
家族と連絡が取れず不安になっている人。
初めての海外旅行で、どうすればいいか分からない人。
こうしたとき、職員としても、できる限り力になりたいと思います。
そして、状況を説明し、「では、次にこれを確認しましょう」と、一つずつ問題を整理していきます。
空港は、多くの人が利用する場所です。
だからこそ、すべての希望をそのままかなえることは難しい場合もあります。
しかし、冷静に状況を確認し、お互いに必要なことを整理できれば、前に進める可能性は高くなります。
旅をしていれば、予定どおりにいかないこともあります。
それは避けられないことです。
でも、トラブルが起きたときにどう行動するかは、自分で選ぶことができます。
怒りをぶつけるのか。
それとも、状況を確認し、次の方法を考えるのか。
旅行を楽しむために本当に必要なのは、トラブルを一度も経験しないことではありません。
トラブルが起きても、次に進める力を持つこと。
それが、空港で働いていて感じた「旅行上手な人」の大きな共通点の一つです。
第3位 「自分だけ特別扱いしてほしい」と要求する
空港で働いていると、ときどき対応に困る言葉があります。
「急いでいるので、先にしてください」
「自分だけ何とかしてもらえませんか?」
「少しくらい融通を利かせてもいいでしょう」
「ここまで来たのだから、何とかしてください」
もちろん、本当に急いでいる事情がある人もいます。
体調が悪い。
身体的なサポートが必要である。
小さな子どもを連れている。
搭乗時間が迫っていて、事情を確認する必要がある。
空港では、状況に応じて配慮やサポートが必要な場合もあります。
しかし、今回ここで取り上げたいのは、そうした事情とは別に、自分の準備不足や時間管理の問題を、周囲の人や職員の特別な対応で解決しようとする行動です。
これは、空港で働いていると、意外によく見かける場面でした。
その後ろに並んでいる人も、同じように飛行機に乗るために手続きを待っています。
もしかすると、その人も時間がありません。
乗り継ぎがあるかもしれません。
小さな子どもを連れているかもしれません。
仕事で急いでいるかもしれません。
それぞれに事情があります。
空港は、多くの人が同じ時間帯に利用する場所です。
だからこそ、基本的には順番やルールに従って動いています。
もし、「急いでいる人から先にする」ということになれば、誰が一番急いでいるのかを決めなければなりません。
しかし、それは簡単なことではありません。
本人にとっては、自分の予定が一番大切です。
けれど、周囲の人にとっても、自分の予定が大切なのです。
だからこそ、空港では、「自分だけが急いでいるわけではない」という視点がとても大切になります。
時間ぎりぎりに空港へ来てしまった。
買い物をしていたら搭乗時間が迫ってしまった。
空港の中で道に迷ってしまった。
手荷物の準備に時間がかかった。
こうした状況になると、人は焦ります。
そして焦ると、「何とかしてほしい」と思います。
その気持ちは理解できます。
私自身、免税店で働いていたときにも、搭乗時間が迫っているお客様から、
「急いでいるので早くしてください」と言われることがありました。
もちろん、できる限り急いで対応します。
本当に時間がない場合には、周囲のスタッフと協力して会計を早く進めることもあります。
しかし、ここで考えなければならないことがあります。
その時間がなくなった原因は、何だったのか。
空港に来るのが遅かったのか。
買い物に時間を使いすぎたのか。
搭乗口の場所を確認していなかったのか。
もし自分自身の行動によって時間がなくなったのであれば、それをすべて職員に解決してもらうことはできません。
空港職員は、困っている人を助けるためにいます。
しかし、すべての人の準備不足まで引き受けられるわけではないのです。
「お客様だから」という理由だけで、何でもできるわけではありません。
自分の都合で時間がなくなったからといって、ほかの人より先に手続きをする。
自分の荷物が重いからといって、追加料金を無料にしてもらう。
搭乗時間が迫っているからといって、飛行機を待たせる。
こうしたことは、すべての人に公平に対応するという考え方と両立しない場合があります。
ここは、特に大切なところです。
空港では、支援や配慮が必要な人がいます。
身体的な事情がある人。
体調が悪い人。
高齢の人。
小さな子どもを連れた人。
言葉が分からず、手続きに困っている人。
こうした人に必要なサポートを行うことは、「特別扱い」ではありません。
必要な支援です。
一方で、「自分が遅れてきたから」
「自分が買い物をしていたから」
「自分が確認していなかったから」という理由で、
「だから、自分だけ先に何とかしてほしい」と求めることとは違います。
この違いを理解することが、空港を気持ちよく利用するうえで大切だと思います。
必要なときには、遠慮せず助けを求める。
しかし、自分の都合だけを理由に、周囲の人まで動かそうとしない。
このバランスが重要なのです。
空港で働いていると、旅行者が想像している以上に、多くの人が連携していることを実感します。
航空会社。
空港スタッフ。
保安検査。
店舗。
搭乗口。
さまざまな場所で、多くの人が自分の仕事をしています。
一人のお客様のために何か特別な対応をする場合でも、その裏では複数の人が動くことがあります。
たとえば、「搭乗時間が迫っているので急いで会計をしてほしい」という場合。
店舗スタッフが対応します。
場合によっては、ほかのスタッフにも協力を求めます。
お客様の搭乗時間を確認します。
搭乗口までの時間も考えます。
つまり、一人の「急いでいる」という状況に対応するために、多くの人が動くことがあるのです。
もちろん、本当に困っている人を助けることは大切です。
私自身も、搭乗時間が迫っているお客様をできる限り早く送り出せるよう、スタッフと協力して対応したことがありました。
しかし、それは、「時間がなくなれば、誰かが何とかしてくれる」という意味ではありません。
できることには限界があります。
だからこそ、本当に必要になる前に、自分でできる準備をしておくことが大切なのです。
大切なのは、助けを求めることと、特別扱いを要求することは違う。ということです。
旅行で困ったときに、助けを求めることは恥ずかしいことではありません。
むしろ、一人で抱え込むより、早めに相談したほうがいい場合もあります。
ただし、助けてもらうことと、自分だけを特別扱いしてもらうことは違います。
第2位 列に割り込む、周囲への配慮がない
空港で働いていると、ときどき一瞬で周囲の空気が変わる場面があります。
それが、列への割り込みです。
チェックインカウンター。
保安検査場。
搭乗口。
レストラン。
免税店のレジ。
空港には、さまざまな場所に列があります。
そして、その列に並んでいる人たちは、基本的には「自分の順番を待つ」という共通のルールの中で行動しています。
ところが、ときどき、「急いでいるから」
「少し聞くだけだから」
「ここだと思わなかった」と、列の前へ入ろうとする人がいます。
本人に悪気がない場合もあるでしょう。
しかし、後ろから見ている人にとっては、決して気持ちのいいものではありません。
そして、一人の何気ない行動が、思わぬトラブルにつながることもあります。
列に割り込む本人からすれば、「一人くらいなら」
「少しだけだから」という気持ちかもしれません。
しかし、その前から並んでいる人にとっては、話が違います。
自分も時間を使って待っています。
自分も飛行機の時間があります。
自分も急いでいるかもしれません。
それなのに、突然前に入られる。
すると、「なぜ、この人だけ先なのだろう」と思うのは自然なことです。
特に空港は、多くの人が時間を気にしながら行動している場所です。
誰もが、「飛行機に間に合うだろうか」
「次の予定に間に合うだろうか」と考えていることがあります。
そんな場所だからこそ、順番を守るということは、単なるマナー以上に大切になります。
自分の数分を短くするために、誰かの数分を奪っていないか。
その視点を持つことが大切なのだと思います。
もちろん、本当に緊急の事情がある場合は別です。
体調が急に悪くなった。
小さな子どもにトラブルが起きた。
身体的な事情があり、サポートが必要になった。
こうした場合には、遠慮せずスタッフに相談するべきです。
必要な対応ができる場合もあります。
しかし、「自分の飛行機の時間が迫っているから」という理由だけで、勝手に列の前へ行くことはおすすめできません。
なぜなら、その後ろにいる人も、同じように飛行機に乗るために並んでいるからです。
しかも、自分が時間ぎりぎりになった理由が、「空港に来るのが遅かった」
「買い物をしていた」
「時間を確認していなかった」ということであれば、その問題をほかの人の順番を使って解決することはできません。
本当に時間が迫っている場合は、勝手に割り込むのではなく、まずスタッフに相談する。
これが一番です。
事情を説明すれば、状況によってできることを案内してもらえるかもしれません。
しかし、自分の判断だけで列に入ってしまえば、周囲とのトラブルになる可能性があります。
ここで少し考えておきたいのは、すべての「割り込み」が悪意によるものとは限らないということです。
空港は広く、人の流れも複雑です。
特に混雑している時間帯には、「どこが最後尾なのか分からない」
「この列は何の列なのか分からない」ということもあります。
本人は並んだつもりでも、実際には違う場所だった。
別の列だと思っていた。
案内表示を見落としていた。
こうしたことも起こります。
だからこそ、もし列が分からなければ、勝手に入る前に、
「この列の最後尾はこちらですか?」と周囲の人やスタッフに確認すればいいのです。
ほんの一言聞くだけで、不要なトラブルを防ぐことができます。
旅行上手な人ほど、分からないときに勝手に判断しません。
「確認してから行動する」
この小さな習慣が、空港ではとても役に立ちます。
空港で見ていると、周囲への配慮がない行動は、ほかの場所にも表れます。
通路の真ん中で急に立ち止まる。
大きな荷物を通路いっぱいに広げる。
動く歩道の出口付近で止まる。
保安検査を終えたあと、その場で荷物を整理し始める。
搭乗口の前を荷物でふさいでしまう。
本人には悪気がないことも多いでしょう。
ただ、自分のことだけに集中していると、周囲が見えなくなってしまいます。
空港は、自分一人だけが利用している場所ではありません。
後ろから歩いてくる人がいる。
急いでいる人がいる。
車椅子を利用している人がいるかもしれない。
スタッフが仕事をしている。
さまざまな人が、同じ空間を利用しています。
だからこそ、「自分が今ここにいることで、誰かの邪魔になっていないだろうか」と少し考えるだけで、空港での行動は大きく変わります。
空港で働いていると、旅慣れた人ほど、こうした周囲の流れをよく見ているように感じます。
自分の荷物だけを見るのではなく、周囲の人も見る。
急いでいても、他人を押しのけない。
分からないことがあれば、確認する。
そして、自分が通路をふさいでいれば、すぐに移動する。
特別なことではありません。
しかし、この当たり前の行動ができる人ほど、結果として空港でトラブルに巻き込まれにくいのです。
空港で働いていると、反対に、とても印象に残るお客様もいます。
自分も急いでいるはずなのに、「どうぞ」と順番を譲る人。
小さな子どもを連れた家族に道を譲る人。
困っている旅行者に、「こちらですよ」と教えてあげる人。
そういう姿を見ると、「この人は余裕があるな」と感じます。
そして、その余裕は、おそらく旅行そのものの楽しさにもつながっているのだと思います。
時間ぎりぎりで焦っていれば、周囲を見ることはできません。
しかし、少し余裕があれば、人に道を譲ることもできます。
困っている人を助けることもできます。
旅行の上手さとは、たくさんの国へ行った経験だけではありません。
周囲を見ながら、自分も他人も気持ちよく過ごせるように行動できること。
それも、旅慣れた人の大切な特徴ではないでしょうか。
空港職員から見て「困るお客様」というのは、単にルールを知らない人ではありません。
むしろ、自分だけが良ければいいという気持ちが強く、周囲が見えなくなっている人なのかもしれません。
反対に、旅が上手な人は、特別な知識をすべて持っている人ではありません。
自分のことを準備しながら、周囲にも少し目を向けられる人です。
それだけで、空港での過ごし方は大きく変わります。
第1位 必要な書類やパスポートを準備せず、手続きの直前になって慌てる
いよいよ、このランキングの第1位です。
空港で働いていて、「これだけは、空港に来る前に確認しておけば防げるのに」と何度も感じたことがあります。
それが、必要な書類やパスポートを準備せず、手続きの直前になって慌てることです。
チェックインカウンターで、「パスポートをお願いします」と言われてから、初めてバッグの中を探し始める。
バッグのポケットを探す。
別のバッグを開ける。
財布の中を確認する。
上着のポケットも探す。
それでも見つからない。
そして、「ちょっと待ってください」と言いながら、スーツケースまで開け始める。
本人にとっては一大事です。
しかし、その後ろには、同じように手続きを待っている人たちがいます。
空港職員も、「本当に持ってきているだろうか」
「どこかに置き忘れていないだろうか」と心配になります。
海外旅行に必要なものを、空港の手続きが始まってから探す。
これは、空港で起きる「困った行動」の中でも、特に多くのトラブルにつながりやすいものです。
なぜなら、パスポートや必要書類は、旅行そのものを左右するからです。
旅行の準備をしているとき、「パスポートは持った」
「たぶんバッグに入れた」と思っている人は多いでしょう。
しかし、「持っているはず」と、
「今ここにあることを確認した」の間には、大きな違いがあります。
旅行当日の朝、慌ただしく準備をしていると、テーブルの上に置いたままになっていた。
別のバッグに入れたままだった。
コピーだけを持ってきてしまった。
古いパスポートを持ってきてしまった。
こうしたことも起こり得ます。
特に旅行では、普段使わない物をたくさん準備します。
パスポート。航空券や予約情報。必要に応じた渡航書類。財布。スマートフォン。充電器。薬。眼鏡。
荷物が多くなればなるほど、「どこに入れたのだろう」ということが起こりやすくなります。
だからこそ、旅行上手な人ほど、「持ったつもり」ではなく、「出発前に確認する」という習慣を持っています。
空港で手続きをするとき、パスポートは何度も必要になる可能性があります。
だからといって、すぐ取り出せるようにと、どこにでも無造作に入れてしまうのも考えものです。
たとえば、大きなスーツケースの奥に入れてしまう。
そのスーツケースをチェックインで預けてしまう。
あるいは、バッグの中に無造作に入れたため、必要なときに見つからない。
こうしたことになると、手続きのたびに慌てることになります。
大切なのは、「すぐに取り出せて、自分でも場所が分かるところに入れておく」ことです。
そして旅行中も、「パスポートはここ」と、自分の中で保管場所を決めておく。
必要になるたびに違う場所へ移すと、紛失の原因にもなります。
旅行に慣れている人ほど、貴重品の置き場所がある程度決まっているように感じます。
毎回、「どこに入れようかな」と考えない。
だから必要なときに、すぐ取り出せるのです。
パスポートや書類が見つからないと、人は一気に焦ります。
そして、焦れば焦るほど、目の前にあるものが見えなくなります。
バッグの中を何度も探す。
同じポケットを何度も確認する。
「さっき入れたはずなのに」と家族に聞く。
荷物を全部出す。
周囲の人にも迷惑をかけているのではないかと、さらに焦る。
この状態になると、簡単なことでも冷静に考えられなくなります。
空港職員から見ると、「まず、少し落ち着いて確認してください」と思う場面もあります。
しかし、本人にとっては、「パスポートがないかもしれない」という状況です。
落ち着いてくださいと言われても、簡単には落ち着けません。
だからこそ、一番良い方法は、そもそもカウンターの前で探さなくていいようにしておくことです。
順番が近づいたら、必要なものを確認する。
パスポートを手元に準備する。
必要な書類も一緒に確認する。
このほんの少しの準備で、手続きはずっとスムーズになります。
旅行に慣れていない人ほど、「必要になったら、そのときに探せばいい」
と考えがちです。
しかし、空港では、多くの人が同じように手続きをしています。
一人ひとりが必要なものをその場で探し始めると、全体の流れも遅くなります。
特にチェックインカウンターでは、自分の順番が近づいてきたら、「次は何が必要だろう」と考えておくと安心です。
パスポート。
予約情報。
必要に応じて、渡航先で求められる書類。
そのほか、旅行の内容によって必要になるもの。
もちろん、必要な書類は渡航先や旅行の条件によって異なります。
だからこそ、「前回はこれだけで大丈夫だった」という記憶だけで判断しないことも大切です。
旅行先が変われば、必要な準備も変わります。
航空会社が変われば、確認する内容も変わることがあります。
旅行の前には、今回の旅行で必要なものを確認しておく。
これが、空港で慌てないための基本です。
最近は、多くの情報をスマートフォンで確認できるようになりました。
航空券の情報。
ホテルの予約。
旅行の日程。
地図。
さまざまなものが、スマートフォン一つに入っています。
とても便利です。
しかし、その便利さに頼りすぎると、思わぬところで困ることもあります。
充電が少ない。
通信がうまくつながらない。
必要なメールがすぐに見つからない。
画面を探している間に時間がかかる。
スマートフォンの中に情報があることと、
必要なときにすぐ取り出せることは、同じではありません。
旅行上手な人は、スマートフォンを便利に使いながらも、
「必要な情報をすぐ見つけられる状態にしておく」という準備をしています。
予約情報を分かりやすくしておく。
必要な画面をすぐ表示できるようにしておく。
充電を確認しておく。
必要な情報を事前に整理しておく。
これだけでも、空港で慌てる場面はかなり減ります。
家族旅行でも、ときどき困ることがあります。
「パスポートは誰が持っている?」
「お父さんが持っていると思う」
「お母さんじゃなかった?」
「私は持っていないよ」
こうなると、全員がバッグを探し始めます。
家族旅行では、誰か一人がまとめて管理する場合もあるでしょう。
それ自体は悪いことではありません。
しかし、問題なのは、誰が何を持っているのか、本人たちが分かっていないことです。
家族で旅行するなら、出発前に一度確認する。
「パスポートはそれぞれ自分で持つ」のか。
「代表者がまとめて持つ」のか。
それを決めておくだけでも違います。
そして、代表者が持つ場合でも、「本当に全員分あるか」を確認しておく。
人数が多ければ多いほど、この確認は大切になります。
旅行では、「誰かがやっているだろう」という思い込みが、意外なトラブルを生みます。
ここまで、「空港職員が困るお客様ランキング」として、さまざまな行動を紹介してきました。
重量オーバーになってから長時間交渉する。
時間ぎりぎりに空港へ来る。
ファイナルコールがあっても搭乗口へ来ない。
遅延や欠航で職員に怒りをぶつける。
自分だけ特別扱いしてほしいと要求する。
列に割り込む。
そして、必要な書類やパスポートを準備せず、手続きの直前になって慌てる。
これらを振り返ってみると、ある共通点があります。
それは、「もっと早く確認していれば、防げたかもしれない」ということです。
もちろん、すべてのトラブルを事前に防げるわけではありません。
飛行機の遅延。
天候の悪化。
予想外の体調不良。
こうしたことまで完全に防ぐことはできません。
しかし、自分で準備できることはあります。
パスポートを確認する。
必要な書類を確認する。
手荷物のルールを確認する。
空港までの時間を確認する。
搭乗口を確認する。
こうした準備をしておくだけで、防げるトラブルはたくさんあります。
空港で慌てないための、最後のチェック
空港へ向かう前、少しだけ立ち止まって確認してみてください。
パスポートはあるか。
必要な書類はそろっているか。
航空券や予約情報を確認できるか。
財布や必要なお金はあるか。
スマートフォンは充電されているか。
荷物は規定を超えていないか。
空港へ向かう時間には余裕があるか。
そして、空港に着いたら、まず必要な手続きを済ませる。
搭乗口を確認する。
そのうえで、買い物や食事を楽しむ。
これだけです。
難しいことではありません。
しかし、この当たり前のことができるだけで、空港での時間は驚くほど変わります。
旅行は、空港に着いてから始まるのではありません。
準備を始めたときから、すでに旅は始まっています。
そして、空港で慌てず、余裕を持って飛行機に乗ることができれば、その旅はきっと、もっと楽しいものになるはずです。

「困るお客様」の反対側にいる人たちー空港職員が本当に感じた、旅が上手な人の共通点
ここまで、「空港職員が困るお客様ランキング」として、空港で働いているときに見てきた、さまざまな行動を紹介してきました。
冒頭でも述べましたが、私はこの記事で紹介した人たちを、「悪い旅行者」として批判したいわけではありません。
旅行中は、誰でも焦ります。
予定どおりにいかなければ、腹が立つこともあります。
初めての海外旅行なら、何をすればいいか分からなくなることもあります。
パスポートが見つからなければ、誰だって慌てるでしょう。
私自身、空港で働いていて感じたのは、「困るお客様」と「旅が下手な人」は、必ずしも同じではないということです。
少し準備が足りなかった。
時間を読み違えた。
たまたまトラブルが重なった。
誰にでも、そういうことはあります。
では、空港職員から見て、「この人は旅が上手だな」と思う人には、どのような共通点があるのでしょうか。
それは、特別な知識を持っていることでもありません。
何十か国も旅行していることでもありません。
実は、とてもシンプルなことでした。
空港で見ていると、旅行が上手な人ほど、時間ぎりぎりまで行動しません。
早めに空港へ来る。
早めにチェックインする。
早めに保安検査を済ませる。
早めに搭乗口を確認する。
何か問題があっても、時間に余裕があるため、落ち着いて対応できます。
旅行上手な人は、特別に急いでいるわけではありません。
むしろ、急がなくてもいいように、早く動いているのです。
この違いは、とても大きいと思います。
そして、忘れない人だから確認しないのではなく、
忘れることがあるから確認する。
それが、旅慣れた人の考え方なのだと思います。
旅が上手な人は、分からないことをそのままにしません。
空港職員から見ても、「すみません、教えていただけますか?」と聞いてくれる人は、決して困るお客様ではありません。
むしろ、早めに聞いてもらったほうが対応しやすいこともあります。
問題が大きくなってから相談されるより、「少し分からないので確認したい」という段階で聞いてもらったほうが、お互いに余裕を持って対応できます。
分からないことを聞くのは、旅に慣れていない証拠ではありません。
トラブルを防ぐための、大切な技術です。
旅行の上手さは、「どれだけ自分が快適に過ごせるか」だけではありません。
周囲の人も含めて、気持ちよく過ごせるように行動できること。
それも、本当の意味での旅行上手なのだと思います。
旅が上手な人は、決して怒らない人ではありません。
不満を感じることもあるでしょう。
困ることもあります。
予定が狂えば、残念に思うのも当然です。
しかし、いつまでも「なぜこうなったのか」だけを考え続けるのではなく、
「ここからどうすればいいのか」に意識を向けます。
職員に必要なことを確認する。
次の方法を考える。
家族に連絡する。
予定を変更する。
できることから一つずつ進める。
この姿勢があるだけで、同じトラブルでも、その後の結果は大きく変わります。
空港でトラブルが起きると、ときには職員に強い口調になってしまう人もいます。
しかし、そこで少し考えてみてほしいのです。
目の前にいる職員は、本当にあなたを困らせようとしているのでしょうか。
多くの場合、そうではありません。
決められたルールの中で、できることを探している。
必要な情報を確認している。
次の方法を案内しようとしている。
もちろん、すべての希望がかなうとは限りません。
できないこともあります。
しかし、職員と対立しても、問題が解決しやすくなるわけではありません。
旅行上手な人は、職員を、「自分の要求を何でもかなえてくれる人」とも、
「自分を困らせる敵」とも考えていないように見えます。
困ったときに相談できる相手。
必要な情報を教えてくれる相手。
一緒に次の方法を考える相手。
そう考えているように感じます。
だから、「何とかしろ!」ではなく、
「どうすればいいですか?」という言葉が出てくるのです。
そして、その違いが、トラブルが起きたときの対応を大きく変えます。
最後に一番伝えたいことがあります。
旅行上手な人とは、一度も失敗しない人ではありません。
忘れ物をしたことがない人でもありません。
飛行機に乗り遅れたことがない人でもありません。
旅行中にトラブルに遭ったことがない人でもありません。
むしろ、何度か失敗した経験があるからこそ、「次は早めに準備しよう」
「次は確認しよう」
「次はこうしよう」と考えられるようになった人なのかもしれません。
失敗そのものは、誰にでもあります。
大切なのは、その失敗から何を学ぶかです。
一度パスポートを探して慌てたなら、次からは保管場所を決める。
搭乗時間ぎりぎりになったなら、次からは早めに行動する。
荷物が重すぎたなら、次からは出発前に確認する。
旅行上手な人は、最初から何でも知っていた人ではありません。
経験から学び、次の旅行に生かせる人。
それが、本当の旅行上手なのだと思います。
あなたの次の旅行が、空港で慌てる旅ではなく、
少し余裕を持って、出発の時間から楽しめる旅になることを願っています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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