賢者への道|第三十七歩 決めることから逃げない
第三十六歩で、
「何を信じて生きるのか」
と書いた。
人は、
何かを信じて生きている。
努力。
誠実さ。
家族。
友情。
学び。
自由。
仕事。
あるいは、
自分自身の可能性。
でも、
信じているだけでは、
人生は動かない。
信じているなら、
どこかで、
決めなければならない。
人生は「決断」の連続
朝、
起きる。
何を食べるか。
何を着るか。
仕事に行く。
誰と話すか。
何を買うか。
何を勉強するか。
何を断るか。
何に時間を使うか。
小さな決断が、
一日を作っている。
そして、
その一日が積み重なって、
人生になる。
決めないことも、決断だ
これは、
少し怖い話だ。
何もしない。
先送りする。
誰かに決めてもらう。
「まあ、そのうち」
と言う。
それも、
一つの選択だ。
そして、
決めなかった結果も、
自分の人生になる。
「決められない」の正体
決められないとき、
本当に情報が足りないのだろうか。
もちろん、
そういう場合もある。
でも、
実は、
失敗するのが怖い
ということも多い。
選んで、
後悔したくない。
間違えたくない。
責任を取りたくない。
だから、
決めない。
でも、完璧な選択肢はない
どちらを選んでも、
メリットがあり、
デメリットがある。
転職すれば、
新しい可能性がある。
でも、
今の安定を失うかもしれない。
勉強すれば、
知識が増える。
でも、
時間を使う。
旅行に行けば、
思い出ができる。
でも、
お金がかかる。
結婚しても、
独身でも、
それぞれの人生がある。
つまり、
選択とは、何かを得ることではなく、何かを選んで何かを諦めること
でもある。
だから、正解を探しすぎない
「正解はどれだ?」
と考え続ける。
でも、
人生には、
試験問題のような正解がない。
むしろ、
選んだ後に、その選択を正解にしていく
のだと思う。
選択した後の行動
例えば、
資格を取ると決める。
決めただけでは、
資格は取れない。
毎日勉強する。
分からないところを調べる。
問題を解く。
間違える。
また勉強する。
そうやって、
「取る」と決めた選択を、
現実に変えていく。
「決める」と「覚悟」は近い
何かを決めると、
必ず、
何かを失う。
時間。
お金。
可能性。
安心。
別の選択肢。
だから、
決断には、
少し痛みがある。
その痛みから逃げないこと。
それが、
覚悟なのかもしれない。
52歳になると、決断の意味が変わる
20代なら、
「またやり直せばいい」
と言える。
もちろん、
50代でもやり直せる。
でも、
残りの時間は、
確実に少なくなっている。
だからこそ、
時間を何に使うか
が重要になる。
「いつか」は、意外と来ない
いつか旅行する。
いつか勉強する。
いつか会いに行く。
いつか謝る。
いつか挑戦する。
いつかやめる。
その「いつか」は、
自動的にはやってこない。
自分で、
日付を決めない限り、
ずっと「いつか」のままだ。
決断とは、未来の自分との約束
「来月から勉強する」
と決める。
それは、
未来の自分との約束だ。
「運動を始める」
も、
「会いたい人に会う」
も、
「行きたい場所に行く」
も同じ。
だから、
自分との約束を、
あまり軽く扱わない。
小さな決断から始める
人生を変えるような、
大きな決断だけが、
決断ではない。
今日は30分勉強する。
今日はスマートフォンを置く。
今日は早く寝る。
今日は誰かにありがとうと言う。
今日は一つ捨てる。
今日は歩く。
こういう小さな決断が、
自分の人生を少しずつ変える。
「やる」と決めたら、始める
完璧な準備を待たない。
知識が全部揃うまで。
環境が整うまで。
自信がつくまで。
時間ができるまで。
そうやって待っていると、
いつまでも始まらない。
始めてから、整える。
それくらいでいい。
失敗したらどうするか
もちろん、
失敗する。
決断を間違えることもある。
そのときは、
「だから決めなければよかった」
ではない。
「この選択は違った」
と分かった。
それだけでも、
前進している。
決断の質より、修正力
人生では、
最初から完璧な判断をする能力より、
間違えたときに修正できる能力
のほうが、
大切なのかもしれない。
方向を間違えたら、
戻る。
速度を落とす。
やり方を変える。
場合によっては、
やめる。
それも、
立派な決断だ。
「やめる」と決める勇気
第三十三歩で、
「捨てる」ことについて書いた。
これも、
決断だ。
続けることだけが、
正しいわけではない。
もう必要ない。
もう違う。
もう自分には合わない。
そう思ったら、
やめてもいい。
続けることも、やめることも、自分で決める
他人に、
「せっかくここまでやったのに」
と言われてもいい。
ここまでやったからこそ、
やめる。
ということもある。
過去に使った時間は、
戻ってこない。
だから、
「ここまで使ったから、
これからも使い続ける」
という必要はない。
過去の投資に縛られない
これは、
仕事でも、
勉強でも、
人間関係でも、
同じだ。
「今まで頑張ったから」
という理由だけで、
これからも続ける必要はない。
過去は、
これからの決断を、
参考にはできる。
でも、
支配させなくていい。
「自分で決めた」という感覚
人生で、
とても大切な感覚がある。
結果が良かったから、
満足する。
それもある。
でも、
結果が悪くても、
「これは自分で決めた」
と思えることがある。
それなら、
納得できる。
反対に、
人に決めてもらった人生で、
結果だけ悪かったら、
後悔が残りやすい。
主体性は、決断に現れる
第一歩から、
このシリーズでは、
「主体性」を大切にしてきた。
主体性とは、
何でも自分一人でやることではない。
人に相談していい。
助けてもらっていい。
専門家の意見を聞いていい。
でも、
最後の選択を、
自分のものにする。
「私はこうする」
と言えること。
それが、
主体性だと思う。
他人の正解を借りない
世間では、
「こうしたほうがいい」
という声が、
たくさんある。
年収を上げろ。
出世しろ。
家を買え。
投資しろ。
若く見せろ。
資格を取れ。
旅行しろ。
結婚しろ。
離婚しろ。
健康になれ。
SNSをやれ。
情報収集しろ。
本当に、
うるさいくらいだ。
でも、
その人たちは、
自分の人生を代わりに生きてくれない。
自分の人生は、自分で決める
これは、
冷たい話ではない。
むしろ、
自由の話だ。
人の意見を聞く。
参考にする。
助言を受ける。
それでも、
最後は、
自分で決める。
そして、
結果を引き受ける。
そこに、
人生の手触りがある。
迷ったときの問い
どうしても決められないときは、
こう問いかけてみる。
**「失敗するとしたら、
どちらを選んだほうが、
後悔が少ないだろう?」**
これは、
かなり使える。
「成功するのはどっち?」
ではなく、
「どちらなら、
自分で納得できる?」
と考える。
もう一つ
**「何もしなかった場合、
一年後の自分はどう思うだろう?」**
これも、
強い問いだ。
一年後、
「あのときやればよかった」
と思うのか。
それとも、
「やらなくてよかった」
と思うのか。
未来の自分から、
今の自分を見る。
そして、決めたら動く
考える。
調べる。
相談する。
それでも決める。
そして、
小さく動く。
人生は、
考えているだけでは、
変わらない。
**決断が、行動に変わった瞬間から、
人生が動き始める。**
賢者への道
主体性。
認知。
感情。
意味づけ。
思想。
智慧。
選択。
責任。
人を理解する。
対話する。
一人でいることを恐れない。
手放す。
何を大切にするのか。
時間をどう使うのか。
失敗を、味方にする。
老いることを、受け入れる。
欲望を、敵にしない。
死を考える。
愛する。
許す。
人と比べる人生を終わらせる。
正しさから、少し自由になる。
期待を手放す。
足るを知る。
何のために生きるのかを問い続ける。
人とのつながりを、自分の人生として引き受ける。
別れを受け入れる。
自分と仲良くする。
自由を、自分で選ぶ。
捨てることを覚える。
何を残すのかを考える。
自分らしさを疑ってみる。
何を信じて生きるのか。
そして、
決めることから逃げない。
52歳。
ここまで生きてきて、
たくさんのことを決めてきた。
そして、
たくさんのことを、
決めないままにしてきた。
それも、
人生だった。
でも、
これからは、
少し意識してみたい。
「これは、
自分で決めた人生なのか?」
と。
誰かに決めてもらったわけではない。
世間に決めてもらったわけでもない。
過去の自分に、
決めてもらったわけでもない。
**今の自分が、
これからの自分を決める。**
もちろん、
間違える。
後悔する。
やり直す。
それでいい。
人生に、
「絶対に間違えない選択」
なんて、
ほとんどない。
だから、
正解を探し続けるより、
**自分で決めた選択を、
正解に近づけていく。**
それが、
大人の生き方なのかもしれない。
それが、
「賢者への道」の第三十七歩。
決めることから逃げない。
人生は、
決断の積み重ねだ。
だから、
小さなことからでいい。
今日、
何をするか。
何をしないか。
誰と話すか。
何を学ぶか。
何を手放すか。
そして、
どこへ向かうか。
自分で決める。
そしてまた、
次の一歩へ。
