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番外編|夜行バスの旅

夜行バスに乗るのは、人生で2回目でした。
最初に使ったのは中学生の頃で、正直なところ、当時の記憶はほとんど残っていません。
つまり今回は、数十年ぶりの夜行バスということになります。

乗る前は、少し身構えていました。
「狭い」「疲れる」「寝られない」
そんな昔のイメージが、思っていた以上に頭の中に残っていたからです。
時間が経っても、印象だけはしっかり残るものだなと思います。

想像以上に多かった、女性の利用者

実際に乗り込んで、まず強く印象に残ったのが利用者層でした。
女性の利用者が、想像以上に多かったのです。

たまたまかもしれませんが、体感では半分、もしくはそれ以上でした。
しかも、若い人だけではありません。
落ち着いた年配の方も普通に利用しており、
全体として年齢層はかなり幅広く感じました。

正直なところ、これは完全に想定外でした。

夜行バスというと、
「若者向け」「男性が多い」「節約のための移動手段」
そんなイメージを、無意識のうちに持っていたのだと思います。

しかし実際の車内は、もっと生活感があります。
夜に移動して、朝から動く。
その合理性を、性別や年齢に関係なく、
ごく自然に選んでいる人たちが集まっている、そんな印象でした。

車内を見渡して、
「夜行バスって、思っていたより“ちゃんとした大人”が多いな」
と感じた瞬間、なぜか自分が一番落ち着きのない人間に見えました。

今の夜行バスは、想像以上によくできている

設備面についても、印象はかなり違いました。

最近の夜行バスは、
従来の4列シートに加えて、3列シートの車両も増えています。
今回は3列シートの車両。
車内に足を踏み入れた瞬間は、
カーテンやフード付きの座席が並んでいる分、
中身が詰まっている空間と感じました。

ただ、実際に座ってみると、
座り心地は良く、リクライニングもしっかり効きます。
少なくとも「我慢大会」のような印象はありません。

「夜行バス=修行」
そんな勝手な前提を置いていたのは、
どうやらこちら側だったようです。

ゆったりしているのに、なぜか狭く感じる

シート自体は良い。
各シートにはカーテン、顔まわりを覆うフードが。
プライベート感は高く、周囲を気にせず過ごせる。

その結果、
物理的にはゆったりしているのに、心理的には少し狭い
この感覚は、乗る前にはまったく想像していませんでした。

快適さと引き換えに、
軽い圧迫感も一緒についてくる、そんな印象です。

トイレ付き=安心、とは限りません

今回のバスはトイレ付きでした。
この点も、事前の想像と実際とで差を感じた部分です。

確かにトイレはあります。
ただし、通路はかなり狭く、
特に真ん中の列を挟んだ反対側の席に座っている場合、
トイレまでの移動は正直、気を使います。

最近の夜行バスは、
トイレがあるため休憩が少なく、止まる回数も少なくなっています。
そのため、
「トイレ付き=いつでも行ける」という感覚は、少し楽観的でした。

「付いている」と「使いやすい」は別物。
この違いは静かにカウンターパンチをもらった気分です。

8時間、ほとんど眠れず

今回の移動時間は約8時間でした。
結果から言うと、ほとんど眠れませんでした。

うとうとする時間はありましたが、
目が覚めたときに「寝たな」という感覚はありません。

設備が悪かったわけではありません。
むしろ、環境としては整っています。

ただ、久しぶりの夜行バスということで、
少しの興奮と、少しの不安が混ざっていたのだと思います。

冷静に振り返ると、
一番眠れていなかったのは、体よりも頭のほうだった気がします。

そもそも、なぜ夜行バスを使ったのか

今回、夜行バスを選んだ理由はとても実務的でした。

東京―大阪間の出張で、
夜遅くに移動し、ホテルに泊まり、
翌朝また早い新幹線で戻る。

「どうせ寝るだけなら、
バスの中で寝てしまえばいいのではないか」

そう考えたのがきっかけです。

コスト面では、圧倒的に合理的でした

今回利用したのは、週中の夜行バスで、
3列シート、トイレ付きの車両でした。

費用は、新幹線の半額以下。
設備を選ばなければ3000円前後から。
片道だけ夜行バスにするだけで、
1万円以上の経費削減になります。

ホテル代まで含めれば、
2万円から3万円ほど抑えられる計算です。

この金額を見ると、
さっきまでの「眠れなかった話」が、少しだけ報われます。

ただし、往復夜行バスはおすすめできません

一方で、
往復とも夜行バスという選択は、現実的ではありません。

特に、翌日にしっかり仕事がある場合は厳しいです。
「寝たつもり」では、体は正直についてきません。

体力や回復力がある若い方は大丈夫かもしれませんが、
合理的に見えても、
無理が出るラインは確実にあります。

夜行バスは「慣れ」の乗り物だと思いました

窓のカーテンは閉め切られ、
外の景色はほとんど見えません。
どこを走っているのか分からず、
最初は少し不安になります。

ただ、これも事前には想像しきれなかった部分でした。

まとめ:夜行バスは「あり」か

今回、久しぶりに夜行バスを使ってみて感じたことを、最後に整理しておきます。

  • 夜行バスは、選択肢としては十分ありだと思いました

  • ただし、快適かどうかは慣れの要素が大きいです

  • 初回は、どうしても落ち着かず、睡眠の質は下がりがちです

  • 座っている時間は快適でも、動く場面(トイレなど)には制約があります

  • コスト面の合理性は非常に高く、使いどころを選べば強い味方になります

  • 翌日に重要な仕事がある場合は、直前の夜行バスはおすすめしません

  • 帰りか行きだけ使う、時間に余裕のある日に使う、など工夫が現実的です

  • 神経質な方、長旅をほとんどしない方には向きません。

  • 結局は、
    「快適さを取るのか、コストを取るのか」
    「安心を取るのか、合理性を取るのか」
    優先するのは何か?の話
    なのだと思います

夜行バスは万人向けではありません。
ですが、一度体験しておくことで、
自分にとっての「あり・なし」がはっきりします。

その意味では、
夜行バスは移動手段であると同時に、
判断基準を一つ増やしてくれる選択肢だったように思います。

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