発達が気になる子にビリボってどう使う?OTが考える使い方と遊び方
「ビリボ」って知っていますか?
お椀のような、ヘルメットのような、不思議な形をしたこの遊具。
初めて見ると、
「……で、これ何するの?」
となるかもしれません。
でも実は、その「何するの?」こそがビリボの面白いところ。
中に入る。回る。揺れる。立つ。飛び移る。物を入れる。的にする。
使い方が決まっていないからこそ、療育でものすごく展開しやすい道具なんです。
今回は、作業療法士として私がビリボをどう使っているのか、実際の遊び方を紹介します。
ビリボの魅力は「何にでもなる」こと

ビリボは、スイス人デザイナーによって考案された遊具です。
メーカー自身も、遊び方を一つに決めない「open-ended」な遊具として位置づけています。
療育で使っていても、本当にその通り。
• 中に座って揺れる
• 足を使って回転する
• ひっくり返して上に立つ
• 複数並べて渡る
• 物を入れる
• 的にする
など、一つでいろいろな遊びに変化します。
前庭感覚、体幹、ボディイメージ、運動企画など、
子どもによって見るポイントを変えながら使えるのも魅力です。
そしてカラバリが豊富。
重ねて収納できるので、複数持っていても場所を取らないのも高ポイント。
専用バックがついていて、持ち運びしやすいのもありがたいところです。
最初は中に「すっぽり」入ってみる
私が最初にやることが多いのは、シンプルに中に座ってもらうこと。
低学年くらいまでの子なら、身体がわりとすっぽり包まれます。
バランスボールほど不安定ではなく、足を床につけて自分で支えられるので、比較的入りやすい。
まずは足を使って、
ぐるぐる回ってみます。
慣れてきたら、
「じゃあ足、浮かせられる?」
と、身体を丸めてバランスキープ。
怖がる子なら、大人が縁を持って安定させます。
お父さん・お母さんが後ろから包み込むように支えるのもいいと思います。
次はひっくり返して「上に立てる?」
ここから少し難しく。
ビリボをひっくり返して、
「この上、立てる?」
と挑戦にします。
両足
↓
片足
↓
好きなポーズ
と発展。
中に入ってバランスを取る遊びは比較的早く卒業する子も多いのですが、
上に立って、さらに片足になるところは少し時間がかかる子もいます。
だからこそ、できるようになると、
「見て!」
と、ものすごく得意げ。
その瞬間がまたいいんですよね。
※この使い方では滑りやすさに注意。
特にフローリングでは滑ることがあるため、裸足+滑り止めマットなど、滑りにくい環境で行います。
2個あると一気に遊びが増える
家庭で買うなら1個でも遊べます。
でも個人的には、2個以上あると面白い。
例えば、
「こっちのビリボから、あっちのビリボへ移れる?」
と飛び石のようにします。
複数並べれば、そのままサーキットにも。
兄弟がいる家庭なら、それぞれに一つずつ渡せるのも地味に大きいです。
療育で訪問すると、
「ぼくもやりたい!」
と兄弟参戦→道具の取り合い、
は結構あります笑
複数持っていれば、そんなときにも遊びを分けたり、
一緒のゲームにしたりできます。
「乗る」以外の遊びも面白い
ここからがビリボの本領。
例えば、ビリボに乗ったまま魚釣り。
ただ魚を釣るだけではなく、
「今日は文字を釣ってみよう」
とすれば、文字遊びにもできます。
お手玉との組み合わせもよく使います。
(お手玉はボールほど反発がなく、子どもでもコントロールしやすいので)
支援者がお手玉を投げて、子どもはビリボを両手に持ってキャッチ。
目と手を一緒に使う遊びになります。
反対に、ビリボをいくつか並べて的にするのもあり。
「赤は10点、青は30点にする?」
と、得点やルールを子どもと一緒に決めても面白い。
さらに私はビリボを頭の上に持って、
「ここに入れてー!」
と運動会の玉入れのようにすることも。
療育というより、だいぶ遊んでます笑
でも、この「楽しい」が次のやり取りにつながるんですよね。
ときにはガンダムになる
そしてビリボ、子どもの創造力もなかなかです。
こちらはバランス遊びをしようと思っていたのに、
突然頭にかぶって、
ガンダム誕生。
予定していた活動が全然できないこともあります笑
でも考えてみれば、それもビリボらしい遊び方。
同じビリボを見ても、「座るもの」と思う子もいれば、「飛び石」にする子も、「ヘルメット」にする子もいます。
子どもの身体や経験、そのときの興味によって、同じ道具から見つける遊び方は変わります。

「loose parts play(ルーズパーツ・プレイ)」
子どもの遊びの研究には、用途の決まっていない素材を自由に使って遊ぶ「loose parts play(ルーズパーツ・プレイ)」という考え方があります。
大人から正解を教えられるのではなく、
「これ、何に使えるかな?」
「こんなこともできるかも」
と、子ども自身が試していく遊びです。
ビリボそのものがルーズパーツというわけではありませんが、使い方を一つに決めず、子ども自身が遊び方を発見できる余白があるというところはよく似ています。
だから私は、最初から使い方を全部教えすぎないようにもしています。
大人が「これはこう使います」と全部決めるのではなく、
子ども自身が「こんなことできるかも」と発見できる。
私はそこも、この道具の大きな魅力だと思っています。
「やりました、できました」で終わらない
ビリボは一つの課題を練習するためだけの道具ではありません。
揺れる。
回る。
バランスを取る。
渡る。
釣る。
投げる。
キャッチする。
ルールを考える。
子どもによって、いくらでも遊びが変わります。
だから最初から「療育として正しく使おう」としなくても大丈夫。
もちろん、支援者としては、その子がどんな動きをしているのか、何を怖がるのか、どこなら楽しめるのかを見ながら、遊び方や難しさを調整していきます。
でもその一方で、
「これ何に使えるかな?」
と子どもと一緒に遊んでみる。
大人が思いつかなかった使い方を、子どもの方が発明してくれるかもしれません。
そして、その「やってみたい」が、次の動きややり取りにつながっていくこともあります。
それこそが、ビリボの一番面白いところだと思います。
※上に立つ・飛び移るなどの遊びでは、滑りにくい場所で行い、周囲にぶつかる物がない環境を確保してください。メーカーも飛び石として使用する場合は滑りにくい面での使用と、大人の見守りを推奨しています。
