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映画『ドラゴンクエスト YOUR STORY』訴訟の棄却のご報告と リュカ基金の創設について

映画『ドラゴンクエスト YOUR STORY』の製作委員会を相手取った訴訟は、2025年2月12日 最高裁にて棄却されました。
 応援していただき、ありがとうございました。
 
 敗訴は残念ですが、提訴したことを後悔はしていません。
 以下、3パートに分けて説明、コメントします。

パート1 久美の思いと「裁判のお作法」
パート2 なぜ交渉で解決できなかったのか 企業対クリエイター、「製作委員会」の問題
パート3 リュカ基金を設立します

パート1 久美の思いと「裁判のお作法」


 
映画公開日に提出した本人訴訟の概略は以下のとおりでした。

 第一に、「リュカ」は久美沙織の小説オリジナルだ。その事実を認めよ。
 第二に、無断使用を謝罪してもらいたい。

 その後、裁判所から訴訟の「お作法」について示唆があったため、
 本人訴訟を断念、弁護士に入っていただき、
 訴えの内容を、「お作法」に合うカタチに変えることとなりました。
 シンプルな思いをストレートに述べることはできなくなりました。
 
 結果として、「裁判上の要求」は認められませんでした。

 裁判所はその理由について
・名前は特定のためのみのもので著作物でない
 からだ、と説明しました。

 リュカという名は久美沙織が小説の主人公につけたもので、映画はそれを使った。
  これが事実だということは、裁判所も、被告側も認めました。
 が、著作物性は認められませんでした。

 リュカがエル・ケル・グランバニアという称号をつけて呼びかけられるという表現は原作ゲームにはないもので、小説オリジナルです。
 リュカというネーミングとは異なる表現であること、および、小説オリジナルであることは、映画の全体監修:株式会社スクウェア・エニックス(当時)市村龍太郎氏も、進んで説明されました(読みやすいよう不要部分を註記なしで削っています。原文は資料1をご覧ください)。

「小説版って名字がついてるじゃないですか,・・・エル・ケル・グランバニアのところ,これも実は映画のほうで入っております。小説版のリュケイロム・エル・ケル・グランバニアという名前だったと思いますが、映画はリュカ・エル・ケル・グランバニアに、リュケイロムのところはリュカになってはいるんですけれども恐らく小説から起想された」

 リュカと名付けたこととは異なる表現なので分けて主張したのですが、この件に関しては、裁判所はなんら言及しませんでした。

 「名前は特定のためのみのもので著作物ではない」について、裁判所は、条文上の根拠となる箇所を示しませんでした。
 特定のためであることは、創作の余地がないことを意味しません。特定のためだけならば、人物甲、乙、丙、あるいはA氏、B氏、C氏でも足ります。そうではなくリュカあるいはリュケイロム・エル・ケル・グランバニアとしたのですから、そこには創作性があります。その創作性が、「著作権法上、著作物というに足るだけのものか」を、検討の上、「創作性が足りないから著作物性がない」と判断したのでしたら、結果はともかく、判断に至るロジックは理解できます。しかし今回、裁判所はそのようなロジックを示しませんでした。

 「リュケイロム/リュカ・エル・ケル・グランバニアと呼びかける表現」は、市村氏も進んで認められたように、リュカあるいはリュケイロム/リュカ・エル・ケル・グランバニアと名付けるという表現とは異なります。
 そして小説版でも映画でも、「リュケイロム/リュカ・エル・ケル・グランバニア」と名指しされなくても、
・呼びかけられるリュカは自分に向けた発話だと理解していますし、
・発話者はリュカが理解していることを理解していますし、
・読者あるいは観客は、リュカが理解していることを理解していますし、発話者がリュカが理解していることを理解していることも理解しています。
 特定のためにはリュカも不要ですし、ましてや、エル・ケル・グランバニアと発話する必要はまったくありません。従って、「リュケイロム/リュカ・エル・ケル・グランバニアと呼びかける表現」は特定のための表現ではあり得ません。
 映画「シェーン」のラストシーンにおいて、意味だけであれば「カムバック!」で足りるところ、「シェーン、カムバック!」とした時の台詞の「シェーン」の部分が特定のためではない、のと同じことです。
 こうした構造を踏まえた上で、呼びかけを付け加えた表現の創作性が、「著作権法上、著作物というに足るだけのものか」を、検討の上、「創作性が足りないから著作物性がない」と判断したのでしたら、結果はともかく、判断にいたるロジックは理解できます。しかし今回、裁判所はそのようなロジックを示しませんでした。

 双方の主張を理解した上で判断した、というより、話が噛み合っていないまま判決された、そんな感想を持ちました。これらの【論理破綻】を、とても残念に思います。
 
 今後、後述の「リュカ基金」などが活用され、今回の裁判のような訴訟が積み重なっていくことで、裁判所が、いろいろな表現を「ちゃんと区別できるようになる」ことを期待しています。

 ですが、
 最初にあげた本人訴訟当時の主張に立ち返ってみますと、
 私の申しあげたことのうち、第一の部分は、受け入れられたのだと言えます。
 
 相手方は、リュカが久美沙織オリジナルであることについて、なんら異論を示しませんでした。
 この事実は争いにならず、前提とされました。

 つまり、

 リュカは私のもので間違いないと認められた。
 強いことばにすれば、確かにパクリがあったと認められたものの、このパクリは違法とはいえない、とされたことになります。

パート2 なぜ交渉で解決できなかったのか 製作委員会方式の宿痾


 ちょっと話を戻して、提訴に至る前のやりとりをご紹介します。
 コンテンツ企業側のみなさまにもケーススタディとして参考になるのではないでしょうか。
 資料は文末に付けました。

資料1 映画の全体監修であったスクウェア・エニックスの市村龍太郎氏と久美の夫の波多野幾也との電話による会話データの文字起こし
資料2 製作委員会の幹事会社の東宝株式会社の映画調整部契約管理室の鎌田周平氏と久美の夫の波多野幾也と電子メール記録

 市村氏は経緯を以下のように(読みやすいよう不要部分を註記なしで削っています。原文は資料1をご覧ください)説明されました。

「主人公とあと子どものなまえというのは原作にはないものなので,どうしましょうかという話はあったんですけれども,八木監督が最初に,キャラクターの名前はリュカにしたいと。主人公の名前としてリュカがあった,凄くすてきだなということで,脚本を書く山崎監督にリュカっていいんじゃないですかって進言があり,山崎監督もそれで脚本を書き始めたところだったと聞きました。私のほうで確認をしました」

 加えて、前記したように、「リュケイロム/リュカ・エル・ケル・グランバニアと呼びかける表現」については、主人公の名前とは別のものとして言及して、無断使用を認めておられます。

 その上で、
「完全にミスだと思う」
「小説を書いたかたにちゃんと確認をとりましょうと気づけば良かったんだと思うんですけれども,そこは抜けていました」
「久美先生のところに確認をとりましょうってところをやれなかったのは私のせいだと思います。責任だったと思います。」
「お詫びだなと」
等、述べておられます。

 映画を楽しみにしておられたみなさま、ドラクエファンのみなさまに向けて、この旨を、公式にご明示いただけたなら、提訴の必要はなかったものと考えています。
 そうなるのを期待して待っていました。

 ところが、何日か後、製作委員会側のご都合により製作委員会側の窓口が変更になる、と、一方的な通達がありました。ジブリ映画のテロップでもお見受けするお名前で、同じ方なのではないかと想像しておりますが、東宝の鎌田周平氏が担当なさるというのです。
 鎌田氏は、市村氏と久美とのそれまでのやりとりを引き継がれることなく、新たに、「そもそものはじめから」の説明を求められました。

 どちらの言い分が真実なのかはわかりませんが、訴訟がだいぶ進んでから出てきた東宝は、私と市村さんの会話の事自体知らなかったかのような事を言われました。スクウェア・エニックス社は小説ドラゴンクエストの版元で、著者である私に対して版元としての責任がおありです。私がスクウェア・エニックス社ごしに伝えたことは、当然、製作委員会内で共有していただけるものだと思っておりました。

 繰り返しになりますが、重要なところなので確認します。

 最初に、小説の版元のかたであり、かつ製作委員会をも代表する立場である、だから窓口になる、としてご対応くださった市村さんと、お話しいたしました。その話し合いで市村さんが言ってくださったさまざまな言葉に従って、その後のご対応がなされるものと、私は思いました。
 しかし、そうはならなかった。
 市村氏との会話の内容を、製作委員会全体で共有してくださってはいなかったということのようです(そうだとは私はまったく知りませんでしたが)。
 やがて連絡があり、窓口が変わった、と宣言されました。
 しかし、このとき名乗り出られた東宝の鎌田氏が【最終的な窓口】だ、という保証は示されませんでした。

 製作委員会にはたくさんの企業が名を連ねておいでです。いったい何度窓口の変更がもたらされるのか、もし、そのたびに最初から交渉のやり直しなのでは、キリも限りもない。

 できれば、交渉で解決したかった。でも、どうやら映画公開前に穏便な解決をはかるご意志は、相手方には、ない、と判断するしかない。

 このような経緯で、提訴を決断しました。

 

 出版社や映画会社のようなコンテンツ企業と、個人あるいは少人数集団のクリエイターとの非対称性は今にはじまったことではありません。
 しかし、近年、コンテンツ企業の巨大化に伴い、その乖離は大きくなっているように思えます。
 今回の久美沙織への対応だけでなく、もっと不幸な結果となってしまったものを含む他の事例を仄聞しても、本来は、企業の持つべき信義として、また、「メシのタネを生むクリエイターへの対応」が企業の信用となるのだという経済的合理性の面からも保持されてしかるべきであった「筋を通す」文化が薄れ、【目の前のプロジェクトにおける損得】を過度に優先してしまうようになった、ように思えます。
 コンテンツ企業が信用できなくなってきているように思うのです。

 さらに製作委員会方式が加わります。
 製作委員会の内情は外部からはわかりません。
 任意組合である場合、映画製作の主体となることは出来るのに、責任をとる主体としては機能しない、という構造的な問題があるのにも関わらず漫然と使い続けられているということもあるようです。製作資金集めのためには向いた方式なのかもしれませんが、作品ときちんと向き合うのに向いているかというと疑問があります。

 製作委員会に参加している企業の社員であり、映画そのものの全体監修を務められた市村氏の発言は、当然、製作委員会を代表してのものと解されます。そのかたがいったん言ったことをひるがえすなら、また、窓口をはずれるなら、なぜそうなるのかについて、説明が欲しいところでした。
 前にも書いたように、交渉の途中でいきなり相手が変わることがそもそも不親切ですし、だまし討ち的でした。単に途中離脱されたと感じました。
 担当者が変わったからといってこれまでの交渉をゼロにしろは卑怯ですし、「はじめから説明しろ」は傲慢です。そちらの都合で私に余計な手間と迷惑をかけるからには、せめて周到な引き継ぎぐらいはしてくださらなくては。
 まさか伝言ゲームとたらい回しで時間稼ぎをしているのだろうか? 
 普通の企業がそんなセコイことをするはずがない。会社の名が穢れるような恥ずかしい真似を。あんな超大企業の看板を背負ってるお立場で。
 しかし、
 製作委員会には実態がない、のです。どうせ映画が完成すれば解散消滅してしまうのです。
 うまいことやり過ごせば、なんとかなる。誰かが責任をとるべきだった問題はどこかに消えてしまう。末端のクリエイターの必死の声など誰も聞かなかったことにして忘れてしまう。
 実態のない製作委員会には、そんな甘えた考えをゆるしてしまう隙があるのでした。
 
 そしてまた、コンテンツ企業には法務部があり、顧問弁護士がいます。コンテンツ企業の集合体である製作委員会もそれらを利用できます。
 対して個人あるいは少人数集団のクリエイターにはそのような備えがないことが一般的ですし、創作向きの個性は、しばしば、今の日本の法という一時的なルールに則った交渉事には向いていなかったりします。
 実際、弁護士さんを探すことだけでも、創作向きの個性には大事業だったりするのです。

 ですが、必要となったら、クリエイターも法的に戦えることが大切です。泣き寝入りしたり、もっと不幸な選択を強いられるのではなく、企業の論理だけではないのだ、と戦い、抗い続けることが、長い目でみれば、コンテンツ産業全体に資すると考えます。

 ゆえに、基金をたちあげることにしました。

パート3 リュカ基金を設立します


『リュカ基金(仮)』です。

 お寄せ頂いたクラファン総額から裁判費用を差し引いた残金(結審したのでこれから清算を始めるところですが、ごく少額あるいはマイナスが予想されます)に久美沙織の私財を加えて、何回かのどなたかの提訴を支援できる程度の規模の基金を作り、久美沙織個人の好き嫌い等で左右されないようになんらかの法人で運営する、というのが基本の構想です。
 既存の法人とコラボという形とするのか、リュカ基金専用の法人を作るのか、といったあたりは、まだ決まっていません。「久美沙織個人の好き嫌い等で左右されないようにする」ためにはどういうかたがたに運営をお願いするとよいのか、等も含めて検討中です。遠くない将来に詳細を発表できるよう努めております。

 理不尽な目にあったとき、組織にNOを言いたいとき、個人あるいは弱小のクリエイター集団を、せめて費用の面だけであっても、少しだけでも、支えたい。
 裁判のための事務費用交渉や弁護士費用だけではなく、裁判以前の交渉やADR(裁判外紛争解決手続き)のための費用、弁護士を探すための費用などなど、必要な費用を支援できるものとしたい。

 そのような組織が存在し、かつそれが広く知られるようになったら、大きな意味があると考えています。

 クリエイターが「声をあげること」が、いわゆる『難しい作家』の奇異なふるまいではなく、大きな非対称性のある中で対立解消をするための当然の権利で、ごく普通の手段だと思っていただけるような世の中にしたい。

 リュカは、ドラクエ世界にはじめて登場した「モンスターつかい」でした。
 キラーパンサーだって、すぐなついちゃう。
 犬や猫や実は蛇もたまたま何度か拾ってしまったことがある私には、とても他人とは思えない性質でした。
 いま戦った相手もなかまにして、みんなで旅をつづける。
 生きるのは、探求(クエスト)です!
 
 クリエイターのかた。理不尽な目にあったら「リュカ」の名を思い出してください。
 誰かのためになる何かにリュカの名をつけて、未来に送り出すことができるならば、
 このうえなく幸福で、光栄です。
                                    
             2025年2月17日  久美沙織                       

           

資料



資料1 映画の全体監修だった株式会社スクウェア・エニックスの市村龍太郎氏と久美の夫の波多野幾也との電話による会話データの文字起こし  

資料2 製作委員会の幹事会社の東宝株式会社の映画調整部契約管理室の鎌田周平氏と久美の夫の波多野幾也と電子メール記録 

資料1 映画の全体監修だったスクウェア・エニックス市村龍太郎氏と久美の夫の波多野幾也との電話による会話データの文字起こし

市村(以下市):最初の脚本の初稿が出てきた時に
波多野(以下波):それはいつ頃
市:映画のほうの
波:いつ,何年
市:それは,
波:概略で結構です
市:3年前とか
波:3年ぐらい前
市:けっこう前に遡ってしまうんですけれども,初校が出てきた段階で,もう主人公の名前にはリュカという名前がついてご提出されたきたというか。一回目の初校が出てきたんですけれども,それを原作の堀井雄二先生も全部読んでいただいて,その上でどういうふうにしていきましょうという打ち合わせがあった。
波:初稿はこれは山崎さんが書かれた?
市:はいそうです。山崎総監督が書かれていました。当然あの主人公の名前というのはゲーム上ではない名前というか自分でつけるゲームなんで
波:そうですね。
市:この他にキャラクターは名前がついていたとしても主人公は,ま,どうしましょうかという議論はその時ありまして堀井さんもどうしようかって,んー,主人公とあと子どもですね,子どものなまえというのは原作にはついていないものなので,これをどういうふうにしましょうかという話はあったんですけれども,いろいろなんかやりとりの中で,ええと八木監督になると思うんですけど,あの今回,監督三人いまして,山崎総監督と八木監督と花房監督というのがいらっしゃいまして,八木監督が最初に,キャラクターの名前はリュカにしたいという話になっていったというのは先ほど確認しました。調べた結果、主人公の名前としてリュカの名前があったということで,この名前凄くすてきだなということで小説版からたぶん見たんだと思うんですけれども,そこから脚本を書く山崎監督にリュカって名前凄くいいんじゃないですかって進言があり,山崎監督もそれで脚本を書き始めたところだったと聞きました。私のほうで確認をしました。
 堀井さんに説明もあり,堀井さんもどうしましょうかというところで,堀井さんは正直ここで外に出る話ではないのでちゃんと説明しますけれども主人公の名前はアルスって名前がすごく本人としてはお好きというのもあったので,アルスという名前はどうでしょうかっていうカウンターはあったのを,僕も横でも見ていたんですけれども,逆にやっぱ監督陣としては自分たちのキャラクターとしての今まで脚本書いてきた経緯があって,凄く思い入れが今リュカという名前にあるのでリュカでぜひやりたいです,っていうお話しがあり,ちょっと映画の中身の話も少し入っちゃうんですけれども,生まれてくる息子の名前のほうにアルスをつけるっていうやりとりがありました。なので主人公のほうにリュカという名前がついた経緯としては監督たちからの提案があって入って来て,堀井さんもではそれでいきましょうという承認までを見ています。
 で私としてはそこで小説版のリュカという名前を,すいませんぼくまだ小説をすべて読めていないので,小さいときにも読んでなかったというのもありますけれど,あの,どういう経緯でそのリュカという名前だったのか完全に把握していなかったの,ここが完全にミスだと思うんですけれども,その時にあそれは小説版の名前なんで小説を書いたかたにちゃんと確認をとりましょうと気づけば良かったんだと思うんですけれども,そこは抜けていました。
ここはちょっとお詫びだなと
波:いえまずそちらの
市:だったと思います。で私としては堀井さんがやっぱりすべて原作ではありますので,堀井さんがおっけーしたものであれば原作の許諾を取れたんだと私は思っていたので,そこで合意が取れたことでおっけーだったと思っております。それとよく調べた結果なんですけれども,あの小説版ってあの名字がついてる,じゃないですか,リュケ・・・エル・ケル・グランバニアのところ,これも実は映画のほうで一部あの入っております。なのでほんとに小説から取り入れたのかなってところはあるんですけれども,小説版のリュケイロム・エル・ケル・グランバニアという名前だったと思いますが、映画はリュカエル・ケル・グランバニアに
波:まあ
市:になってます。リュケイロムのところはリュカになってはいるんですけれども恐らく小説から起想されたというのはたぶんそういうことだと思います。そこが入っているんですけれども,ここはちょっとぼくの配慮不足というわけではないか確認不足で,最終的にその久美先生のところに確認をとりましょうってところをやれなかったのは,気づいてなかったっていうのは,私のせいだと思います。責任だったと思います。
 堀井さんのおっけーが出たんでこれでいいんではないかと思っておりました。はい。
波:率直におっしゃって頂いて大変ありがたく思います。

資料2 製作委員会の幹事会社の東宝株式会社の映画調整部契約管理室の鎌田周平氏と久美の夫の波多野幾也と電子メール記録

波多野様
はじめてメールを差し上げます。
映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」製作委員会の幹事会社を務めております東宝株式会社の映画調整部契約管理室の鎌田周平と申します。
スクウェア・エニックスの市村様よりご連絡先を教えていただきまして、いきなりお電話を差し上げるのは不躾と思い、まずはメールさせていただきました。
久美沙織先生ご執筆の「小説ドラゴンクエストV」の主人公の名前に関して、これまでスクウェア・エニックスとの間でやりとりをされていたとお聞きしております。
本件に関して、市村様より昨日連絡があったかと存じますが、
これより弊社にてお受けさせていただきたく思っております。
こちらの担当が幾度と代わってしまい誠に申し訳ございません。
つきましては、私のほうから一度お電話させていただければと
思っておりますが、お電話差し上げてもよろしいでしょうか?
お電話させていただくにあたり、
ご都合のよい日にちや時間帯等ございましたら、
お知らせいただけますと幸いでございます。
突然のことで誠に恐縮ではございますが、
ご確認のほど、何卒よろしくお願いいたします。
鎌田周平
東宝株式会社
映画調整部契約管理室

鎌田さま
すでにボールはそちらさまに投げており、18日中に
・ご用向きを
・メールで
頂けるものと期待しておったところです。
改めて
・ご用向きを
・本日中に
・メールで
頂戴したく存じます。
波多野

波多野 様
東宝の鎌田でございます。
ご返信ありがとうございます。
本件に関して、
これまではスクウェア・エニックスから一方的にお話を聞くばかりでございましたので、
これより弊社にてお受けさせていただくにあたり、あらためて、波多野様とも一度お会いし、一連の背景や経緯、ご主張等について直接お話しをお聞きしたいと思っております。
弊社としましても、本件の全容を掴みきれていないと感じております。
つきましては、そうした機会を設けていただけないか、
お電話にてお話しさせていただきたいとお願い申し上げる次第でございます。
ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
鎌田周平
東宝株式会社
映画調整部契約管理室

鎌田さま
2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さま の内部で、どの社のどなたが何を担当されるかは、2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さま のご自由です。同時に、2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さま 内部での連絡、認識の共有等は、2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さまのご責任において行われるべきものです。
「スクウェア・エニックスから一方的にお話を聞くばかりでございましたので、 これより弊社にてお受けさせていただくにあたり」というのは、2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さま 内部のご事情です。スクウェア・エニックスさまか東宝さまか、というのは、当方の関知せざるところです。「2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会 」の代表としての市村さまとのお話し合いは既成の事実であり、その後の交渉を2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さま の中のどなたがご担当なさるとしても、市村様とのお話し合いを踏まえてご対応いただくのでなくてはなりません。内部のご事情を理由に当方に余分な時間・労力の負担をお求めになるのは筋が異なるでしょう。むろん、社が違うから、という理由で「振り出しに戻す」ようなお話し合いに応ずるつもりもございません。会話は必ずしも論理的でなく、話柄も飛びますから、音声データの文字起こしには手間がかかります。その手間を増すつもりもございません。
ですが、話し合いを進めるために、市村さまからのご説明では「全容を掴みきれていないと感じ」ておられる「具体的な疑問」については、明示くだされば可能な範囲でお答えする用意はございます。
また、現時点で久美の求めを開示するつもりはございませんが、仮に著作人格権に係る部分について謝罪広告を求めるとすれば、その諾否は東宝さまのみでは決められず、少なくともスクエア・エニックスさまのご意向も関係してまいりましよう。今後も「スクウェア・エニックスから一方的にお話を聞・・・全容を掴みきれていない」ようなご体制では支障が予想されます。
鎌田さまが「全権」をお持ちなのか、そうでないのか、今のところお示しいただいておりません。全権をお持ちなのでしたらお示しください。
そうでない場合、CCやBCCでも良し、その他のどのような手段を執られるかは当方の関知せざるところですが、2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さま内部での連絡を密にすることは、2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さま側のご権限とご責任の範囲であることはご理解いただきたく存じます。
公開まで2週間を切りました。
失礼ながら、市村さまとのお話し合いの後、のんびりしておられたのも、2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さまの側です。18日に具体的なご提案をなさらなかったのも2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さまです。
18日に著作物の使用許諾契約に関する具体的なご提案があれば、その後、多少のやりとりが必要であっても回避できる可能性が高く、久美も映画を気に入っていますから水を差すようなことは避けたく、早期の合意およびそれによって訴訟手続きに着手しないで済むことを望んでいたわけですが、直近2つのメールのようなご対応のペースですと、合意の可能性やその時点について楽観することができません。
合意に達することができない場合、せっかくの映画に水を差すこととなろうとも、久美の著作者としての名誉を守るためには、公開日のマスコミ発表を前提とした民事および刑事の手続きを開始することを予定しております。
電話では即時双方性があってご疑問にその場で答えられますが、一日一通のメールでは「はか」がいきません。時間節約のため、今後は
 【メールアドレス伏字】
当て直接メールをいただければと存じます。その場合も、当方からの発信は、久美の同意を得たものとすることはお約束いたします。
波多野 拝