エッセー 「.44マグナム弾か.357マグナム弾か」

1973年製作に製作された『ダーティハリー2』(原題 Magnum Force)の劇中、クリント・イーストウッド演じるハリー・キャラハン警部と交通課の新人4名が警察内の射撃場で初対面するシーンがある。

このシーンで後にスタスキー&ハッチで大ブレイクするデビッド•ソウル演じる交通警官のデイビスがハリーに『なぜ.44マグナムを使っているんですか?』と問うと、ハリーは『.44マグナムのライトスペシャル(弱装弾)を使用しているので.357マグナ厶ワッドカッター弾に比べ反動のコントロールが楽だから』とその理由を述べている。

この発言から現場で様々な状況を経験してきたベテランであるハリー・キャラハン警部が、何よりもマンストッピングパワーに優れた銃並びに弾丸を選択していることが見て取れる。

ハリーが使用しているS&W M29 44MAGNUMは銃身長が携帯するにはギリギリの大きさと重さの6インチのモデルである。これは一般的な警察官や刑事が好んで使用する4インチや2.5インチの.357マグナムリボルバーに比べ銃身長も長く重量も重い。しかしその分リコイル(反動)の制御しやすいというメリットがある。

さらに.44マグナム弾は.357マグナム弾に比べ口径的にも大きく、その分弾頭重量も重い。一般的に使用する弾丸の口径が大きいほどインパクト時のエネルギーが大きとされ物理学的見地からも理にかなっている。

例えば.357マグナム弾の場合、その弾頭重量は弾丸の種類によっても異なるが125gr(8.1g)〜158 gr(10.2g)が一般的である。それに対し.44マグナム弾は200gr(13g)〜340gr(22g)と重い。この差がマンストッピングパワーに大きく影響する。

.44マグナム弾はたとえライトスペシャルであっても.357マグナムに比べ弾頭重量的に優る分命中時のインパクトは強烈だ。それは.45ACP弾と9mmパラベラム弾の関係に似ている。

.45ACP弾は初速では亜音速の9mmパラベラム弾に劣るものの、大口径ゆえ弾頭重量的に9mmパラベラム弾に優る。そのためマンストッピングパワーの点においては有利である。極端に言えば9mmパラベラム弾で3発撃ってやっと無力化できる状況であっても.45ACPであれば一発で同じ結果を出すことが可能となる。それ故未だ軍隊や警察をはじめとする法執行機関において.45ACP弾を使用するオートマティック拳銃の人気は根強いものがある。

映画のワンシーンからも常に緊迫した現場に直面しているアメリカの警察官や法執行官の武器選択の基準やその背景が垣間見えて実に面白い。

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