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付箋に「?」とだけ書かれた決裁書を、1週間抱えました

決裁書を上長に回したら、付箋に「?」とだけ書かれて戻ってきました。

それだけです。何が疑問なのかは書かれていません。


何も分からないまま、机に置いた

まず、もう一度回してみました。同じ付箋が付いて戻ってきました。

このとき僕が置かれていた状態を、正直に書きます。

  • 理由が分からないので、直しようがない

  • 直さずにもう一度回すのは、さすがにできない

  • かといって、申請してきた部門に「これ、?だそうです」と返すこともできない

つまり、進める先も戻る先も無い状態で、書類だけが手元にありました。そして僕は、それを机に置きました。

同じことが別の決裁書でも起きました。1枚、また1枚と溜まっていきます。

気づいたら1週間分になっていた

数日たったころには、自分でも「これはまずい」と分かっていました。

分かっていたのに動けなかったのは、日が経つほど聞きにくくなったからです。当日なら「これはどういう意味でしょうか」と一言で済みます。3日目には「なぜ3日も放置したのか」がセットで問われます。時間が経つほど、質問のコストが上がっていきました。

結局、1週間分ほど溜めたところで発覚し、大目玉を食らいました。

決裁が止まるということは、その先にある支払いや発注も止まるということです。僕は自分の机の上の問題だと思っていましたが、実際には部門をまたいで業務を止めていました

書類は、止めた瞬間から自分の負債になる

ここから得た教訓は、ひとつだけです。

書類は、止めた瞬間から自分の負債になります。

僕は「判断を保留している」つもりでした。でも実際には、保留ではありません。誰かが待っている状態を、自分の判断で作り出しているだけです。

そして負債と同じで、放置するほど利息がつきます。この場合の利息は、聞きにくさです。1日目の質問と7日目の質問では、同じ一言でも重さが違います。

「?の意味を確認する5分」を惜しんだ結果が、1週間の停滞でした。5分と1週間は、比べるまでもありません。

「?」を放置したのは、僕の側の問題です

念のため書いておきます。付箋に「?」とだけ書いて戻す人が悪い、という話にはしたくありません。

たしかに、理由を書いてくれれば早かったとは思います。書く側にも余裕がなかったのだろうとも思います。ただ、それを確認しなかったのは僕です。 相手の書き方を変えることはできませんが、聞きに行くことはいつでもできました。

いまの僕なら、たぶんこうします。

  • その日のうちに、書類を持って直接聞きに行く
    → 「この付箋の意図を確認したいのですが、いま5分よろしいですか」

  • 聞けない事情があるなら、止めていること自体を先に共有する
    → 「◯◯の確認待ちで、僕の手元で止めています。明日中に確認します」

  • どちらもできないなら、期限を決めて自分に締切を課す
    → 明日の朝までに聞く、と決めて、決めたことをメモに書く

3つ目は消極的な手ですが、少なくとも1週間にはなりません。

そして2つ目が、当時の僕にいちばん足りていなかったものです。書類を進められないことと、進めていないと伝えることは、別々にできます。 僕は「解決してから報告しよう」と思っていました。解決できないまま日が過ぎたので、報告も一緒に消えました。

いまは、待たされる側にもなります

立場が変わって、この失敗の意味が別の角度から見えるようになりました。

いまの仕事では、拠点や他部門に資料を依頼して、回答を待つ日があります。待っている間、こちらは基本的に何もできません。その資料が来ないと組み立てられないものを、組み立てる仕事だからです。

待つ側になってはっきり分かったのは、困るのは遅いことではない、ということです。

困るのは、いつ来るか分からないことです。

「明後日になります」と言ってもらえれば、明後日までの2日を別の作業に使えます。何も言われないと、いつ来てもいいように手を空けておくしかなくて、結果的に一日が丸ごと溶けます。

これは、僕が決裁書を抱えていたときに相手側で起きていたことと、まったく同じです。あのとき申請部門の人は、僕の机の上で止まっていることを知らないまま、進んでいるつもりで待っていました。

だから、いま自分がお願いする側に立つときは、こう伝えるようにしています。

「出せない場合は、出せないと教えてください。いつになるかだけ分かれば大丈夫です」

進捗ゼロという報告には、ちゃんと価値があります。ゼロだと分かれば、相手は動けます。

止めていることを、自分だけの秘密にしない

この失敗のいちばん質の悪いところは、止めていることを誰も知らなかったことだと思っています。

僕が抱えている間、申請した部門は「もう決裁は進んでいるだろう」と思っています。上長は「差し戻したのだから、そのうち直ってくるだろう」と思っています。全員が、進んでいると思っている状態で、実際には止まっていました。

だから、いま部下や後輩に伝えるとしたら、「早く聞きなさい」よりも先に、こう言います。

止めているなら、止めていると言ってください。 直せなくてもいい、原因が分からなくてもいい。止まっていることさえ共有されていれば、誰かが動けます。

決裁書1枚の話ですが、僕の中では、いまでも仕事の進め方の基準になっています。

追伸です。

ここまでの話は、書類が自分の手を通って止まる立場になってからのものです。承認や決裁が自分のところに回ってこない段階だと、まだ実感しにくいかもしれません。

経理の仕事に必要なスキルは、簿記や税務の知識だけではありません。この手の話も含めてブログにまとめています。

経理のキャリアの積み方についてはこちらに書きました。

前回は、数字が合わないときに原因を絞り込む4つの型を書きました。

なぜ経理を続けながら資格を取り直したのかは、最初の記事に書いています。


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