ひとりのススメ | わが青春の紀伊國屋書店
私見だが、この世で価格と価値が最も乖離しているのは「文庫本」だと断じたい。
この事実に気付いたのは、小学校3-4年生の頃で、思い返せばあの頃のワイは神童だった。
そのことに、両親始め大人は誰も気付いてくれなかったことが悔やまれる。
当時の小遣いは月500円。
このなけなしのお金で文庫本を1-2冊買うことができた。
この小さく安い紙の束に書かれた文字の世界の広さたるや、プライスレス。
というのが、この話のバックグラウンド。
時は流れ、上京した浪人時代に「わが青春の紀伊國屋書店」は始まった。
福岡県 北九州市 八幡西区 黒崎を代表する書店「(今はなき)井筒屋ブックセンター」の5倍はあろうかという、日本書店界のドン「紀伊國屋書店 新宿本店」こそが、その聖地である。

読み進められたし
7階:浪人生フロア
本棚の地平線の向こうまで並ぶ赤本。
地平線から昇る太陽のようだ。
どっちかというと夕焼けのようだが、沈む太陽は縁起が悪いので、これは朝日だ。
どの大学にでも入れる気がしたが、東京大学は絶対無理だと赤本を開いてみて一瞬で分かった。
京都大学、然り。
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3階:拗らせ学生フロア
然るべき大学に進学を果たし、各種大学デビューを狙うも早々に挫折。
陰キャ隠居生活をひとり過ごす中、ヒトの存在意義の答えを哲学書に探し求めたもんだみん。
人間なんて、ララーラ、ららららーら。
みすず書房の書籍は高い。
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7階:「さよならモラトリアム」フロア
猛烈に働きたくないので全く興味がないものの、そうも言ってられないので、無理矢理 就職先を探すために会社研究に勤しむ日々。
興味がないのに各社にドチャクソ詳しくなったのは、あまねく就職ハウツー本をここで読んだから。
結果的に、その知識は全く役に立たなかったと言えよう。
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9階:「そうだ、ここに就職すればいいんじゃん」フロア
というわけで、最上階で紀伊國屋書店の新卒採用面接。
トラウマの影響で記憶が失われているようなのだが、現状、紀伊國屋書店で働いていないところを見るに落とされたっぽい。
この結果には、正直、今も納得していない。
なぜだ。
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5階:社畜フロア
不本意ながら今で言う「IT系」ブラック企業の社畜となったワイは、退社時刻が1秒でも早くなるようコンピューターを知る必要に迫られ、技術本を買い漁る。
(過労)生死を賭けた、絶対に敗けられない戦いがここにはあった。
やってるうちに、ちょっとだけスキになってきて、それがまた怖かった。
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4階:天国と地獄フロア
あれよあれよの結婚・出産・離散・離婚の目眩く人生展開に寄り添うフロアがココ。
結婚式のスピーチも、新婚旅行先のガイドブックも、子育てハウツーも、子供の絵本も、離婚知識も全部ここで揃えることができた。
いろいろあっという間だったなぁ。
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2階:オールタイムフロア
愛してやまない文庫本が、文字通り売るほど置いてある。
ここにない文庫本は、ない。イメージ的に。
このフロアで文庫本を棚に並べたり平置きしたりしたかった。
出版社の人たちと文庫本フェアの企画相談をしたかった。
いっそ、ここに住みたかった。
書いてるうちに、ここに転職すればいいのではないかと思い始めたぞ。
この投稿を見せたら、雇ってくれるかなぁ。
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地下1階:和幸
長きに渡る金欠時代に、ちょっとだけ贅沢で食べたトンカツ。
今は、もうない。
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先日、「ひとりもつ鍋」のために新宿に行った帰りに久しぶりに寄った紀伊國屋書店 新宿本店。
3階の人文書エリアで、不覚にも涙した。
