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【徒然】整体中の脳内チェコ語

やっと整体に行けた。
チェコに行ってるあいだにはたくさんの新しい経験をしたので、警戒しながら身体に力が入ってただろうし、14時間のフライト往復だけでもマッサージに値する。

帰国して3週間、やっと整体に行けた。いつも行ってる中国整体だ。

うつ伏せで肩を中心にもまれているときは、頭の中でいろんなことがめぐる。
始まったばかりの新学期をどう進めていこうかとか、やる予定で細部が決まっていないあの件はどうしようかとか考えていたら、そんなこと考えてるから肩がこるのだろうと思い至り、いったん頭を休ませることに。
休ませないといいアイデアは出ない。

しばらくして、まだ覚醒している頭の中で、「ムム、いま起こっていることをチェコ語で言ってみたらいいのでは」と思いつき、頭の中でチェコ語を使うことにしてみた。

そう思ったとたん、なんだか満たされる感覚がした。
だって、こういう時間がチェコにいるときはたくさんあった。
頭の中でチェコ語を組み立てるこの時間というか、体験というか、思考というか、このこと自体ができるのを私の頭がよろこんでいる気がする。
これがきっといいんだな、と思いつつ、頭がよろこぶままにチェコ語をつむぐ。

「彼女は私の肩甲骨のまわりをマッサージしている、右の肩甲骨」とチェコ語で頭の中で言ってみる。
肩甲骨という単語も、私はもうわかる。知識がある。
仮にその感覚が私のかんちがいで通じなくても、言いたいものがどこにあるどういう形の骨かを言うことで伝えることができる。

そうなのだ、むずかしいのは「マッサージする」を言えても、マッサージ自体の動きを説明するのがまあまあむずかしい。

「彼女はこぶしで私の肩甲骨の下部をゆっくり押している」
「彼女は私の右の二の腕を揺すり、上から下へとなでる」
「彼女の手と私の身体の間には薄い白いタオルがある」

こういうことを日本語ではいわない。
「マッサージはマッサージだろ、知らんのか」と説明するのを放棄しながら生きている。
日本語でいわないのだが、チェコ語ではこれを言ったほうが勉強になる。というか、なんかチェコ人から言わされてきた。
しかし、言いたくても言えない。
そういう自分をどうにかしたくて、そう言える思考を、そう捉える世界の眺め方を、しかもチェコ語で言える言語運用能力を、とにかく育てるようにしてきた。

もちろんマッサージだけではない。
「働いてる」といえばどんな仕事をしているのか言い換えたり、噛み砕いてとらえて言えるようにしたり、チェコ人が納得しそうなレベルで物事をとらえて、ことばにすることをめざしてきた。これもいまはまあまあいいところまで来ている気もする。
マッサージされながら、この状況を表現した私のチェコ語はそんなにわるくないと思う。誰にも聞かれないとリラックスしてるから適切な単語がちゃんとえらべてる。
人前に出たときも同じことができるようになってたらいい。

ここまで来た。それは成長、それは発達。
でも、もっと安定感をもって、もっといろいろなことをスラスラやれるようになりたい。

そんなことを思っていると、私にマッサージしている人と、もう一人の整体師さんが話し始めた。たぶん中国語だ。

ふたりはお客さんには日本語でほぼ問題なくしゃべるのに、整体師同士では中国語だ。
いつもの光景だけど、この人たちは外国語を身につけるのに学校行ったり、わからなくて悩んだり、考えすぎて肩こりとかしたのかなと思ったりする。

彼女たちはそんなことを想わせないほど、スムーズに2カ国語をスイッチしている。
わからないことばに耳を澄ませながら、リラックスしてたほうがいいであろうにずっと考えごとをしていた、チェコ語も使って考えていた土曜日の晩。

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ハクメス/Hatsue Kajihara ここまで読んでいただき、とってもうれしいです。サポートという形でご支援いただいたら、それもとってもうれしいです。いっしょにチェコ語を勉強できたらそれがいちばんうれしいです。