俳詩 作品集『桜』⑨ 25篇
俳詩の作品集です。
俳詩とは「俳句を母体とした詩」という意味の新ジャンルの探究です。
楽しんでご覧いただければ幸いです。
『桜』
俳詩作品集
「窓」
初心 鳥雲に かぜ吹きつづく浜
とわに待つ岩──この浜の鳥雲に
窓を打つ虻、空爆のニュースあと
日永 腕の秒針だけがすすみゆく
ひとすじの道が現れ、島へ、東風
テーマ∶春と海浜
「時計」
卒業 就職 時計まわりの観覧車
自転車が減った街 日が永くなる
花種を蒔く──空爆がつづく午後
帰宅ラッシュ 駅に転がる春の靴
松の芯 あの子が父になっていた
テーマ∶街と生活
「千の自分」
また十字路──私も岐れ行く春風
しゃぼん玉ひと吹き 世界線分岐
ふぶきだすもしもの過去が花遍路
サイコロを振れば六つの世界 朧
黙 春灯 合わせ鏡に千のじぶん
テーマ∶春と多世界解釈
「夕空」
ひとときが二千年めくはなふぶき
わたたんぽぽ種重心に飛んでゆく
落ちつばき執着 散りつばき解脱
花明かり背闇に未練ひとつもない
エイプリルフール夕ぞらだけ誠実
テーマ:気づきと年月
「桜」
花見して微笑ひとひらふたひらと
瀬をはなれ淵に手ひたす山ざくら
夕桜───ひとりの胸に秘め名所
さししめすゆびごとふぶき灯の桜
しろじろと浮かぶこころが夜の桜
テーマ:桜と心理
終わり
◇解説・補足等
俳詩の作品をまとめました。
俳詩とは「俳句を母体とした詩」という意味の新ジャンルの探究です。
575の型、季語等や現代語を用いて、より深い詩性や、現在を生きる自己の内面・問い・認識などを「詩」として表現する試みです。
この取り組みの目標は、「俳句」から分かれ出て、俳句とは別の場所で、俳詩という新ジャンルとして小さく自立することです。
「俳句」というジャンル自体を一行詩化するといった目的や立場はとっていません。
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