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ズレとは、自分の違和感を見捨てないこと

本屋で、自己啓発書の棚を眺めていました。

成果を出す。
行動する。
自分らしく生きる。

どの本も、まっすぐでした。
どれも正しい。
たぶん、正しすぎる。

でもわたしは、その“正しさ”の前で、少しだけ息苦しくなりました。

本から答えがほしい、そう思っていたはずなのに。
本当にほしかったのは、答えではなく、自分の中にある違和感に名前をつけることだったのかもしれません。

わたしのXには、「ズレを楽しむ読書人」というサブタイトルをつけています。


自分でつけておきながら、あらためて考えました。

ズレとは、何なのでしょうか?

間違いでしょうか。
逆張りでしょうか。
人と違うことを言うためのポーズでしょうか。

たぶん、違います。

ズレとは、同じものを見ているのに、立っている角度が少し違うこと。

同じ本を読んでも、ある人は役立つノウハウを読み、ある人は、著者の人生の痛みを読む。
本は同じでも、読み手の立ち位置が違う。
そこに、ズレが生まれます。

池田貴将さんの
『ユニークな行動を取れる人がいつも考えていること』を読みながら、わたしはこの「ズレ」について考えていました。

普通に読むと、この本は、ユニークな人になるための本です。
でも、わたしには少し違って見えました。

これは、変わった人になる本ではありません。

自分の中に生まれた違和感を、誰かの正解に回収されないための本です。


この本は、変わった人になるための本ではない

『ユニークな行動を取れる人がいつも考えていること』は、池田貴将さんの本です。

本書の章立ては、とても象徴的です。

Chapter 1 ズレる
Chapter 2 俯瞰する
Chapter 3 実験する
Chapter 4 余白を作る

最初に来るのは「ズレる」。
この順番が、すごくいいなと思いました。

ユニークな行動とは、いきなり大きな成果を出すことではない。
まずは、既存の正解から少しだけズレること。
そこから始まるのだと思います。

感情は命令ではなく、読み直せるものだった

この本で面白いのは、ユニークさを才能やセンスだけで語っていないところです。

不安。
面倒くささ。
怖さ。

そうした感情を、どう受け取るのか。

たとえば、何かを始めようとしたときに不安が出てくる。
多くの場合、わたしたちはそれを「やめておいた方がいい」というサインとして受け取ります。

怖いから、やめる。
不安だから、正解に従う。

もちろん、それが悪いわけではありません。
感情には、自分を守る役割があります。

でも、すべての感情を「禁止命令」として受け取ってしまうと、行動の幅はどんどん狭くなります。

怖いから、やめる。
不安だから、正解に従う。

そうやって大人になるほど、わたしたちは「ちゃんとした人」になっていきます。
でも、その代わりに、自分のズレを失っていくのかもしれません。

感情は命令ではありません。
読み直せるものです。


ズレとは、自分の感情を翻訳し直すこと

「怖い」は、やめろという命令ではなく、
まだ見たことのない場所に立っているサインなのだと思います。

こうやって、感情の意味をひとつずつ翻訳し直していく。
それが、ユニークな行動の始まりなのだと思います。

ユニークとは、他人と違うことをすることではありません。
自分の感情に、他人の解釈をさせないことです。

誰かが「もっと効率よくやれば」と言う。
そのたびに、自分の感情まで相手の言葉で説明してしまうと、いつの間にか自分の行動原理が消えていきます。

でも、本当はこう問い直してもいいはずです。

わたしは、なぜここに引っかかっているのか。
わたしは、なぜこの言葉に少し苦しくなったのか。

この問いを持てるかどうか。
そこに、その人だけのズレが生まれます。

本と少し斜めに出会うことも、読書

読書も、同じです。

本を読んでいて、妙に引っかかる一文がある。
その違和感を、急いで正解に戻さなくてもいい。

本を正しく読むことだけが読書ではありません。
本と少し斜めに出会うことも、読書です。

要点をまとめるのも大事です。
でも、わたしが本を読んでいて一番面白いのは、そこではありません。

普通に読むと、この本は何の本なのか。
でも、わたしには何の本として見えたのか。

そこに、自分の読み方が出ます。

『ユニークな行動を取れる人がいつも考えていること』を読みながら、わたしはあらためて思いました。

ユニークとは、人と違うことをすることではありません。
自分の中に生まれたズレを、急いで正解に戻さないことです。

ズレとは、自分の中の何かが「そこ、もう一回見て」と言っている場所です。

だから、わたしはこれからも「ズレを楽しむ読書人」でいたい。
本の正解に従うためではなく、本をきっかけに、自分の問いが立ち上がる瞬間を見逃さないために。

正解から少しズレた場所で、ようやく自分の声が聞こえることがある。

だから読書は、やめられないのです。


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