その先の自分を、どこまで引き受けられますか
「やればいいのに」
そう思ってしまうこと、ありませんか。
他人に対してもそうなのですが、
特に、自分に対して。
やった方がいいと分かっているのに、
なぜか動けない。
その理由を、ずっと
「まだ足りていないから」
だと思っていました。
でも──
足りないのは、準備なのか。
能力なのか。
勇気なのか。
それとも、
その先にある未来ではなく、
その中にいる“自分の姿”を、
まだ引き受けたくなかっただけなのか。
「女性のキャリア論」ではなく「恐れの構造」を描いた本
今回読んだのは、『LEAN IN』
女性のキャリアについて書かれた一冊です。
もっと前に出よう。
自信を持とう。
チャンスを取りにいこう。
そんなメッセージの本だと思っていたのですが、
読み進めるうちに、少しずつ見え方が変わっていきました。
これは「どうすれば成功できるか」ではなく、
なぜ人は、前に進めなくなるのか
その理由を描いた本なのではないか、
と感じたのです。
その選択は、本当に自分のものなのか
この本では、
自分の人生を「主体的に選べ」
と語られています。
ここで、ふと立ち止まりました。
私たちは「自分で選んでいる」
と思っているけれど、
その選択は、本当に自分のものなのだろうか。
社会の期待。
無意識の役割。
刷り込まれてきた「こうあるべき姿」。
そうしたものに沿うように、
“選んでいるつもり”になっているだけなのかもしれません。
だとすれば──
選択とは、自由な意思決定ではなく、
構造の中での最適化にすぎないのではないか。
そう考えたとき、
私たちを止めている「恐れ」もまた、
自分だけのものではないのかもしれない、
そう思えたのです。
人を止めているのは「恐れ」と「完璧であろうとする力」
前に進めなくなる原因として
この本の中で繰り返し語られていたのが
「恐れ」です。
嫌われること。
間違えること。
非難されること。
失敗すること。
そして、
期待に応えられないこと。
こうした感情が、静かに行動を止める。
でも、それだけではありません。
もうひとつ、人を動けなくしているものがあります。
それが、
「すべてを手に入れたい」という思いです。
仕事も、家庭も、自分の時間も。
どれも大切で、どれも手放したくない。
だからこそ、すべてをうまくやろうとする。
でも、その瞬間に、動けなくなる。
なぜなら──
すべてをこなせない自分を、
受け入れられないから。
この本の中で、特に印象に残った言葉があります。
親になるとは、
のべつ調整し、妥協し、犠牲を払うこと。
そして多くの場合、その犠牲や苦労は、自ら望んで選ぶというよりも、必要に迫られて引き受けているものでもある。
だからこそ、完璧主義は大敵になる。
子育てをしながら仕事を続けるために必要なのは、すべてをうまくやることではなく、
「どこに注意を集中するか」を決めること。
すべてを完璧にこなそうとしてはいけない。
私自身も、そうでした。
いつのまにか、何でもできる、スーパーウーマンを目指そうとしていました。
そして、そうであれば「やればいい」と思っていたのに、動かなかった。
動けなかったんじゃなくて、
動かなかったのです。
その理由を「まだ準備が足りない」と言い続けていたけれど、
本当は、
やってみて、うまくできなかったときの自分を、
見たくなかっただけだったのだと思います。
気づいたのは、「恐れをなくすこと」はできないということ
読み終えて残ったのは、
少し意外な感覚でした。
恐れは、なくならない。
完璧にやることも、できない。
そして私たちは、ずっと何かを選び続けている。
その前提の上で、どう生きるのか。
もしかすると大事なのは、
前に出ることでも、
すべてを手に入れることでもなくて、
どこまでなら、
その怖さを引き受けるかを決めること
なのかもしれません。
その先の自分を、どこまで引き受けられますか
本当は、できないわけじゃない。
ただ──
その先にいる自分を、
まだ引き受ける覚悟がないだけかもしれない。
そう気づいたときに、
次に私たちが取る行動は何なのか。
それは、
「ほんの少しだけ、引き受ける範囲を広げること」なのではないでしょうか。
いきなり変わろうとしなくていい。
すべてを受け入れようとしなくていい。
ただ、
これまで避けてきた場面で、
ほんの少しだけ前に出てみる。
言わなかった一言を、言ってみる。
見送っていた機会に、手を伸ばしてみる。
完璧にできなくても、やってみる。
たったそれだけのことでも、
「引き受けられる自分の範囲」は、
確実に広がっていきます。
そして気づけば、
以前なら怖くて避けていた場所に、
少しだけ長く立っていられるようになるのではないでしょうか?
恐れは、なくなりません。
でも──
恐れがあるままでも、
動ける自分にはなれる。
その違いが、
未来を少しずつ変えていくのだと思います。
最後に、
この本からの問いを置いておきます。
あなたが今、足を止めている理由は、
本当に「できないから」でしょうか。
それとも──
その先にある自分の姿を、
まだ引き受けたくないだけなのでしょうか。
