坂出〜高知で在来線を新幹線転換



基本計画区間は、1997年に高崎〜長野間以降に開業した整備新幹線区間よりも予想利用者数が少なく、第三セクター転換やバス転換が困難、または不可能と見られる。特に貨物もなく在来線を残すのが難しいと考えられる四国の新幹線のうち、最も利用者数が少なく在来線維持が困難と考えられる坂出〜高知間を例に、在来線を新幹線転換する方法を考えてみた。

第1章 在来線の利用状況



まず具体的な利用状況を調べてみる。

1、土讃線利用状況


全線輸送密度2,453
多度津 - 琴平 4,914
琴平 - 高知 2,452
高知 - 須崎 3,028
須崎 - 窪川 724

琴平〜高知間の輸送密度は、青い森鉄道の2,239人/日が最も近い。これは新幹線開業前から盛岡〜新青森間の新幹線開業で経営分離され、長距離通過客がいなくなった在来線部分と変わらない輸送密度と言うことである。
国鉄末期の赤字83線と呼ばれ、廃止が求められた路線の輸送密度が4,000未満。東北新幹線開業前の東北本線盛岡以北や北陸新幹線開業前の信越本線高崎〜長野間が10,000を少し下回る程度、九州新幹線開業前の鹿児島本線は20,000を超えていたのでいかに少ないか分かる。これが基本計画区間の実態である。これでも基本計画区間の中では比較的良いので、いかに第三セクター転換、バス転換が困難かわかる。

多度津〜高知間各駅の駅間距離と乗車人員
(年度や測定方法にばらつきがあるので2019年乗車人員に補正)
多度津〜琴平
多度津 1,916人/日
金蔵寺 3.7 km 275人/日
善通寺 2.3 km 1,393人/日

琴平〜阿波池田
琴平 5.3 km 1,151人/日
塩入 6.4km 25人/日
黒川 3.9 km 20人/日
讃岐財田 2.3 km 16人/日
坪尻 8.2 km 2人/日
箸蔵 3.3 km 51人日
佃 3.4 km 28人/日

阿波池田〜土佐山田 
阿波池田 5.1 km 647人/日
三縄 3.9 30人/日
祖谷口 4.5 22人/日
阿波川口 2.8km 86人/日
小歩危 4.7km 12人/日
大歩危 5.7km 71人/日
土佐岩原 7.2km 8人/日
豊永 4.0km 18人/日
大田口 3.7km 14人/日
土佐穴内 2.8km 6人/日
大杉 4.0km 122人/日
土佐北川 6.1km 4人/日
角茂谷 2.2km 8人/日
繁藤 2.1km 10人/日
新改 6.3km 0人/日
土佐山田 7.4km 792人/日

土佐山田〜高知
山田西町 0.8km 536人/日
土佐長岡 2.0km 82人/日
後免 2.1km 1,889人/日
土佐大津 3.2km 828人/日
布師田 2.0km 184人/日
土佐一宮 1.3km 708人/日
薊野 1.7km 368人/日
高知 2.2km 4,547人/日

区間ごとの輸送密度を推測
高知県の人口規模・特急本数・乗車率から見て、高知〜多度津間を特急列車で全線通過する人数を、1日2,000人と推計。ここから長距離通過客を除いた各区間の輸送密度を算出。これはデータを打ち込みAIで行った。

琴平〜阿波池田 63人/日
阿波池田〜土佐山田 47人/日
土佐山田〜高知 744人/日

実際乗ってみると、土讃線琴平〜土佐山田には輸送密度2,000もあるように見えない。高知〜多度津を通して特急に乗り、高松、岡山、松山(国土交通省幹線旅客流動調査では松山が多い)に向かう利用者が数字を押し上げていると考えられる。さらに土讃線の利用者は特急客中心で短区間の普通列車利用は極めて少ないことが実際高知県内の土讃線に乗るとわかる。これらの通過客は、新幹線ができれば間違いなく新幹線を利用する。普通列車や特急列車に乗車した感覚から見ても、だいたいこの程度の輸送密度と納得できる。

2、残す駅を決める


①即廃止駅
県庁所在地市内は21人、その他は9人を即廃止駅

②廃止検討駅
県庁所在地市内は63人、その他は27人を即廃止駅

これは日南線の時に選んだ基準だが、土讃線も、何年も利用ゼロが続く坪尻駅や新改駅を残す必要はない。乗車人員一桁の駅は、バスでも維持が難しい。新幹線転換の場合、駅の維持にコストが余計にかかる。例えば自動改札、ホームドアは必須となる。地平駅ではなく、高架駅か地下駅になるので、建物の維持費もかかる。これらを考慮すると、50人を目処に残し、残した駅に駐車場やコンビニ、タクシー営業所、レンタカーを設置し、廃止した駅周辺のアクセスは、自家用車、タクシー、レンタカーを使う。この規模の駅では代行バスの需要すらなく、タクシーを運行しても乗客はほとんどいない可能性が高い。駅にタクシーを常駐させるために営業所を誘致するのが現実的である。
③新幹線転換の場合の廃止対象駅
乗車人員1日50人未満

県庁所在地は、通常周辺の鉄道を残すので基準を定めない。実際高知市内や、高知〜後免〜土佐山田は、結構乗っている。単行または2両の気動車が毎時2本で、1本が後免奈半利線経由奈半利行、1本が土佐山田行である。高知〜後免がかなり利用が多く、この区間だけなら輸送密度3,000〜5,000はあるのではないかと思う。実際この区間に③に該当する駅はなかった。

これにより新幹線転換で残す駅は、
琴平 5.3 km 1,151人/日
箸蔵 3.3 km 51人日
阿波池田 5.1 km 647人/日
阿波川口 2.8km 86人/日
大歩危 5.7km 71人/日
大杉 4.0km 122人/日
土佐山田 7.4km 792人/日
となる。
これを地図上にポイントを打って線路を描く。

残した駅を地図上にプロット

ここから描くが、私は琴平駅の進入経路次第で、四国新幹線との分岐点が変わってくるので高知駅から描いた。ただし、曲線が増えそうなのと、南九州への速達列車が線路を共用する予定の松山方面の新幹線と異なり、そこまで高速化の必要はないと考えたので、最高速度300km/h程度で設計する。

第2章 ルート選定


それほど高速化しなくてもよい区間なので、現在の整備新幹線の規格で線を引く。


多度津〜高知のルート

高知駅を出てすぐのところに半径3,500mのカーブがあるが、他は4,000m、5,000mのカーブで描いた。松山方面は、丸亀付近が半径12,000m(12km)、伊予三島付近が10,000m、坂出付近の急に見えるカーブでも6,000mである。
坂出〜高知間は、松山方面の新松山まで全て半径10,000m以上のルートと比べると曲がりくねっているが、山陽新幹線や東北新幹線よりもむしろよい線形である。360km/h運転は難しいが、300〜320km/h運転なら十分可能である。最初は駅を造る予定がなかったので、伊予三島から高知までほぼ直線のトンネルを考えていた。しかし実際運行されるとすれば、高知〜岡山間の運行になると考えられる。国土交通省の幹線旅客流動調査では、高知〜高松間の流動はそれほど多くなく、むしろ松山との流動が多い。地理的に隔絶されているので四国内よりも東京や関西のほうが需要があり、岡山で新幹線乗り換えが良いと考えられる。
このルートだと新幹線は岡山〜高知無停車、在来線は琴平〜土佐山田間の区間運行だろう。高知駅まで在来線を乗り入れると、残す在来線と競合するのと、高知駅に新幹線ホームとは別に在来線用の標準軌ホームを造る必要がある。これは用地確保困難なので、新幹線転換した土讃線は、最初から急行にして急行料金を上乗せした運賃体系にして、新幹線改札で急行料金支払いを確認すればよい。通常第三セクター転換されると運賃が3割ほど値上げされ、しばらく後に再値上げされてJR時代の2倍程度まで運賃が上がる。それなら最初から新幹線転換した区間は急行にして、乗車券購入時に急行料金込みの値段にすれば値上げ感も少ない。おそらく第三セクターに転換されれば土佐山田〜大杉間は現行運賃980円から1,300円程度に値上げされる。これを新幹線転換なら急行料金加算の1,480円に。土佐山田〜阿波池田間は、現行運賃1,430円、第三セクター転換なら1900円適度、急行料金加算なら1930円と、第三セクター転換時と変わらない。実際現状この区間の普通列車は非常に少ないため、特急利用が一般的で、特急料金込みでは2630円になる。急行料金加算が最も割安感が出るだろう。

第3章 運行計画


まず第三セクター転換の場合、区間が県ごとに細切れになる。県をまたぐと初乗り運賃が必要になり、琴平〜土佐山田間の場合、香川県から徳島県、高知県と、2回県境を越えるので会社が変わる。新幹線転換で引き続きJR運行なら、運賃も通しで列車運行も通しで行われる。
高知ルートは、需要からN700S4両での運転で、岡山〜高知毎時1本の運行になると考えられる。
四国内は特急も短いので、松山や徳島もこの程度、松山と高松はもう1本新幹線が走り、毎時2本だろう。車両もN700S最短編成の4両になると考えられる。どう考えても西九州新幹線の6両の需要があるとは思えない。今後の基本計画区間は4両編成が中心だろう。

在来線区間に新たな車両を導入するのはコストの無駄である。新幹線車両の間合い運用で良い。N700Sなら加減速性能も良いので所要時間も短くなり、新幹線の走行を妨げないためにある程度高速走行の必要がある。そのためには最高速度も揃えて300〜320km/hにする必要がある。規格の異なる車両が走ると新幹線のダイヤ作成や走行に支障をきたす。しかし駅を減らしても駅間距離は短いので、最高速度も160km/h〜200km/h程度になるだろう。この前提だと、琴平〜土佐山田間の所要時間は1時間程度になると予想される。これは現行の特急より速い。ただし需要が見込めないので当初は2時間ごと、需要が出てきたら1時間ごとにすれば良い。高知周辺も琴平から先も、1時間ごとにパターンダイヤになっているので、1時間ごとに運行すれば琴平、土佐山田での接続が良くなる。

基本計画区間は、このように、需要が少なく、新幹線と在来線を両方成立させるのは難しい。新幹線線路1本にして、在来線駅を新幹線線路に移設して兼用するのが最も効率的である。ヨーロッパの高速鉄道はこのような方式をとっているところもある。ヨーロッパも日本で言えば北海道程度の人口密度なので、新幹線在来線併用はこの程度の人口密度に合うと言える。

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