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シャニマスにわかが見たUka,2日目の感想

Uka,

大阪のオリックス劇場で行われた、283プロダクションのイルミネ単独公演。
1日目の幼虫パートは見てませんが、2日目のさなぎパートと成虫パートを現地で見てきました。
感想である本記事にはUka,のネタバレを含みます。

筆者はシャニマスにわかです。
ライブ現地レポというより観劇してきたコミュの初見感想になると思います。


Uka,の構成

Uka,の全体構成。
1日目の「幼虫」を冠するLarva1公演が真乃がメイン。
2日目昼の「さなぎ」を冠するPup2aがめぐるメイン。
2日目夜の「成虫」を冠するImago3が灯織メイン。
でした。

Loss is nothing else but change and change is Nature's delight.

Marcus Aulerius  

「喪失は変化以外の何物でもない、そして変化は自然の喜びである」
Imago3の最後に引用された言葉。この公演で描かれたメッセージです。

各公演のおおまかな構成。

  1. イルミネ3人の世界

  2. ゲストアイドルとのステージ

  3. ゲストアイドルとの違い、ゲストから見たイルミネ

  4. メインアイドルのソロ

  5. 『Shower of light』でメインアイドルが羽化。

ゲストアイドルとの交流(ステージ上だけでなくレッスン期間も含めた交じり合い)を経てメインのアイドルが成長、変化し殻を破って羽化。羽を獲得する。
そんな物語でした。
終盤の盛り上がりで『Shower of light』Cメロにあわせてリフターでせり上がったメインアイドルが神々しい光の演出に合わせて衣装に蝶の羽根の装飾を獲得します。

各パート

共通 - Overture

Uka,公演のテーマは「成長」でした。
3公演ともライブ冒頭にはイルミネの3人に合わせて深呼吸するパートがあります。ステージ上の繭のような卵のようなオブジェの鼓動に合わせ、「リラックスするように」「全身を意識して」「殻を脱ぎ捨てるように」の3種類の深呼吸。

MC中にもアイドル達は「この公演で成長した姿を見せられたら」という話をします。

共通 - イルミネーションスターズ

全公演、最初のユニット曲は『Happy Funny Lucky』でした。


Every moment!最高の気分だ
だってこんなに大切な
仲間達と同じ時を 生きてるって奇跡だよ
Everybody!幸せでいられる
だってどこにいても同じ
続いている空の下に いるなんて奇跡だもん
それだけでhappy!でfunny!でlucky!
出逢ってくれてありがとう

Happy Funny Lucky

今この瞬間を分け合える喜び。
幸せで楽しくて幸運な、今この瞬間という奇跡、出逢えた感謝を謳歌してこの公演は始まります。

ユニット2曲目は『イルミネイトコンサート』。


「Come and join us」の掛け声とクラップで会場の一体感が高まります。
イルミネの3人と会場のファン全員で作る空間ができあがります。

終わらない夢ってあるんだね
終わらない光を奏でよう

イルミネイトコンサート

Pupa2 - 黛冬優子(ストレイライト)の登場

『Day the Sky.』で登場したゲストの黛冬優子はイルミネと一緒に4人で『LINKs』を歌唱します。この楽曲は本来、冬優子のユニットの曲。

タイトルの通り「結びつき」について歌った歌です。
歌い出し一行目からこれです。

何処かでいつも繋がっている
願いを紡ぐそれぞれの光

LINKs

一部太字にしてみました。

ストレイはイルミネと比べて、「個」の個性が強いユニット化と思います。
そのせいか『LINKs』ではユニット内のつながりに関して、「個」を強調した視点から謳われています。

ゆるぎない心 煌めきを持ち寄って

LINKs

散り散りの光たちが 思い繋げて

LINKs

もっと高くまで 突き抜けていくために
共に戦い 共に認めて これからも

LINKs

LINKするためには個が重要です。繋がることが、LINKだと。

さて、「Pupa2」ではゲストパートの前にイルミネ3人で『トライアングル』が歌唱されていました。


違う色を持ってるから
いろんな風景作れちゃう
行ったことないとこまでみんなが一緒ならいけるね

トライアングル

イルミネーションスターズも「個を大事にするから未知に出会える」という歌があり、わざわざ先に披露しています。
ストレイの「個」より近い距離にいるから、「繋がり」より「一緒」という言葉が当てはまるのかなとは思います。
『LINKs』の歌唱中、イルミネの3人と冬優子で明らかに振り付けの気合が違いました。このパートはイルミネとストレイの違いを発見するパートだったのかなと思います。

ストレイと対比してイルミネは「繋がっている」ではなく「一緒にいる」という特徴も際立ちます。
おそらく、今回のメインであるめぐるにとって、イルミネとは「一緒にいる」なんだと思います。

Pupa2 - 八宮めぐるの羽化

コラボパートが終わった後のユニット1曲目は『PRISISM』でした。


絆は不可視で
不安にさせようとするみたいね
掴めはしないけど確かに煌めく

PRISISM

どんなに時が過ぎても
どんな事があっても
私はそばにいるよ いつまでもfu…

PRISIM

絆と言う見えない繋がりに対して、エターナル(永遠)に一緒にいることを誓う歌です。これはストレイとの違いを意識したうえで、イルミネの、めぐるの決意でもあるんじゃないかなと。

そして、めぐるは羽化します。


私らしくいるなら
あなたが必要なんです
その笑顔は輝きのシャワー
あなたが笑えば湧いて溢れるエネルギー
振動鼓動躍動する希望で
満ちる心の奥までずっと
なりたい私になる

Shower of light

神々しい光の中、真乃と灯織に囲われて、めぐるは羽化します。まるで神様から羽根を与えられるように。
青い羽根が神々しく輝きます。
衣装は変化し、蝶の羽根のような青く長いフリルの装飾が印象的に垂れ下がります。

Pupa2 - めぐるの羽化を受けて

羽化して喜ぶめぐる。

ステージには前日に羽化した真乃、羽化したてのめぐる。
そして、まだ羽化していない灯織。

1対2の構図になります。視覚的に。
青い蝶の羽根を手に入れた二人に対して、一人だけ衣装が違いますから。

会場は少し笑いに包まれます。なんだか、疎外感のある構図。
灯織の戸惑ったような喋り方も、不憫さを際立たせて、なんだかギャグシーンのような。

灯織は問いかけます。
「羽化って…何?」

「羽化は、羽化だよ?」

「羽化して、どこに行くの?」

「それは勿論…ここではないどこか」

どうやらただのギャグシーンではありません。シャニマスのコミュが始まりました。
この瞬間、オリックス劇場の客席でイルミネーションスターズのライブを見ている自分と、オリックス劇場の外側からシャニマスの新シナリオコミュ「Uka,」を見ている自分とに人格が分離しました。

この公演の表題がUka,です。メインテーマです。

個人的には「羽化したらどこへ行く?」の答えは「空」か「高い場所」だと思っていました。
しかし、この公演での「羽化」は「成長」なので「成長したらどこへ行くの?」です。ストレートにアイマス的に応えるなら「次のステージへ」といったところでしょうか。
しかし、パラコレでもしもの未来を描き続けるシャイニーカラーズの答えは違います。
「変化の先」にあるのは、「より高み」でも「その先」でもなく、「今とは違う場所」でしかありません。

非常に誠実で、難しくて、現実的で、不安で、とっても嫌な答えだなと思いました。大好きです。

めぐるの羽化を受けて歌われた楽曲は『BRIGHTEST WHITE』。


変わることも揺らぐこともない道なんてないんだ

BRIGHTEST WHITE

めぐるは、変化を何の疑問もなく受け入れ、不安な未来へ明るく踏み出します。

3人ダンスのフォーメーションはめぐる、真乃ら羽化した二人が上手。下手にはまだ羽化していない、羽化に疑問を持ち始めた灯織と向かい合うような振り付けが何度か挟まります。

もしあの角を右に曲がったら
すれ違う人も違っていく

BRIGHTEST WHITE

あの時の選択が今を作る、今の選択が未来を作る。
「今」という奇跡は「あの時」左に曲がる選択をしたからだと。
あるいは、「あの時」に選択せずに真っすぐ歩いた「今」にいるのかもしれません。

ほんと、勘弁してくれよ、って思った。

個人的には、「未来に進む」というのは、未来の選択肢を狭める行為だと思っています。
或いは時間的制限かもしれない、或いは不可逆のフローチャートかもしれない。

身近なところで言うと、家に帰りながら夕飯は外食にしようと考えている時。
家までには、ラーメン屋さん、カレー屋さん、定食、ハンバーガー、牛丼…色んな選択肢があります。
歩みを進めるたびに、店の前を通り過ぎるたびに、その店に入らず進む選択肢を取るたびに、「選択をしない」という選択で未来に可能性を残しながら、未来の選択肢を減らしています。
例えば、定食屋に入るという選択をします。この店に入った以上、ハンバーガーを食べる未来も牛丼を食べる未来も録れません。未来の選択肢は消えました。でも、この店に入ったことで、から揚げ定食にするか焼き魚定食にするか、また複数の選択肢と出会います。
では、どの店にも入らず選択を先延ばしにすると?
どの店にも入らず、繁華街を抜け、思いがけず家の近くのコンビニに入ると、その中にもカップラーメン、弁当、冷凍食品と思いもしていなかった選択肢が広がります。定食屋で出会うはずだったから揚げという選択肢にここで出会うこともあります。

人生もこれです。
進学するとき、就職するとき、恋人を作るとき、人生の伴侶を決めるとき。人はそれ以外の人生の先にあったはずの無数の選択肢を潰して、進む道を決めます。

列車は必ず次の駅へ──

では舞台は? 
  
あなたたちは? 

『劇場版 少女 歌劇 レヴュースタァライト』より

オタクの大好きな『劇場版 少女 歌劇 レヴュースタァライト』でも、問いかけられています。

それは必ずしも成長じゃありません。前に進んでるかなんてわかりません。ただただ、ここではないどこかへ進むことを選択し続けるのが人生です。
きっと多くの可能性を切り捨てながら、進む先が前だと信じて。

シャニマスに説教された気分でした。大変気持ちよかったです。

アンコール。
めぐるはソロで『星の数だけ』を歌唱します。


どんな日も
迷い道の今日もムダではないよね
今はただ踏み出そうって
心の声が聞こえる

星の数だけ

という歌い出し。
羽化することに疑問はないめぐるだって、当然、不安なんです。
でも踏み出す。

どんな日も
迷い道の今日もムダではないよね
自信はそう臆病者
後からついて来るもの
どうなるか分からないってダメではないよね
可能性は無限にある
星の数だけ信じよう

星の数だけ

歌い出しで問いかけた不安はCメロで変化します。
迷うことは無駄ではないし、どうなるか分からない選択肢にすすむことは駄目ではない、と。

MCで灯織の「羽化してどこに行くのか」という問いに真乃と二人で「ここではないどこか」と答えためぐる。
三人の、どこか仰々しく、天然ボケにも見える問答は、その時は会場の笑いを誘いましたがしっかりとした問いかけと答えでした。

そして、Pupa2で灯織に生まれた疑問はImago3に引き継がれます。

Imago3 - 田中摩美々(アンティーカ)の登場

Imago3公演もイルミネは『Happy Funny Lucky』から始まり、「今この瞬間、同じ時を同じ空を分け合ってる喜び」を謳歌して始まりました。

そして、ゲストパート。
摩美々がイルミネと4人で歌ったのは『愚者の独白』。


滲むような笑い方
訳を聞けずにいた迷い
音もなく蛹から羽化してしまったんだ
君は

愚者の独白

周りが羽化していくことに疑問を持ってしまった灯織に対して「愚者」として「独白」させます。
そんなぴったりの楽曲があるか。

なるほど。変化をに疑問を持つのは愚者なのか、この世界では。

幻の空へ この空は続いているの?

愚者の独白

3公演共通で『Happy Funny Lucky』で歌ってきた「どこにいても同じ
続いている空の下にいる」ことにすら疑問を持つのがこの『愚者の独白』という楽曲。なるほど、それは愚者だ。

Pupa2での灯織の疑問へ、Imago3でこういう回答を持ってくるのか、なるほど、と。
愚者は空が続いていることを疑い、羽化の訳を聞く。
逆説的に、空が続いていることを疑わないイルミネは愚か者ではない。羽化して進んでいける、と。

摩美々はのMCパートは飄々としていました。
灯織をからかうように手玉に取り自由にやっている摩美々ですが、細かいボケにも逐一訂正を入れてくれる灯織に甘えているようにも見えました。
一生見てられるこのやり取り。

摩美々はイルミネとアンティーカの違いについて「3人全員で集まってレッスンをしている」ことを挙げました。
5人ユニットのアンティーカはメンバーの多さなども原因となりなかなか5人全員でレッスンはできないと。シャニアニ(というか感謝祭コミュ)でアンティーカも一緒にいることについて悩み、一つの答えを出していましたが、その答えの形がアンティーカとイルミネでは違う、と。
そして灯織に対しては「灯織が一生懸命レッスンするから自分も手を抜けなくて大変だった」と飄々とした愚痴を。イルミネの外から見た、イルミネでの灯織の立ち位置が相対的に見えてきたな、と思いました。摩美々の面倒見の良さが出ているなあと。

Imago3 - 風野灯織の羽化

ゲストパートが明けて、灯織の成長を見せるパートです。
イルミネが3人で歌うのは『Twinkle way』


時よ止まれ!の魔法にかかった
交差点を走り抜けて
変わらないもの 変わっていくもの
すべてを愛おしく追い越した

Twinkle way

アンティーカとの違いの中で自分自身を見つめた灯織。

両手を伸ばしたら
この空に誓うの
ここから また私が始まる

Twinkle way

Twinkle way, my twinkle friends!!
心の中でいつでも繋がる
突き進もう 胸が高鳴る世界へ
夢が呼んでいる世界へ

Twinkle way

灯織も、めぐる同様誓います。
いよいよ羽化の瞬間。

曲は、めぐると同じ『BRIGHTEST WHITE』。


Shower of light
Shower of happiness
Shower of light
降り注ぐ光の中で
Shower of light
Shower of happiness

BRIGHTEST WHITE

神々しい光に包まれ、灯織はリフターで昇っていきます。
真乃とめぐるに囲まれて。

そして!ついに!!
サナギをやぶって!!

赤く傷ついた羽根が片方、痛々しく輝きます。
Pupa2とは明らかに違う演出。

やばいやばいやばいやばい。
どうすんのこれどうすんのこれどうすんんのこれ。

動悸が止まりませんでした。

この瞬間、オリックス劇場でイルミネのライブを見ている僕、その外側からシャニマスのシナリオコミュ「Uka,」を見ている僕、そしてW.I.N.G.初回プレイで目押しミスったときの僕が分離しました。

アケマスのオーディション、DSのオーディション、W.I.N.G.のオーディション、学マスのオーディション。
全部最初は1回きりだと思って、やり直しの効かないステージだと思って没入してやってきました。一回一回のステージに彼女たちの人生がかかっているので。

生で、ライブで、あそこまで持ち上げて、その上であの痛々しい羽根を見せられるのはマジできつい。3公演目の天丼の変化球としてあまりにも上手すぎる。大好きなベタ演出。やめてくれ。

「これ、Imago3で完結しないまであるなぁ…961プロみたいに追加公演しうるぞ…この状態で何か月も待たされたらたまったもんじゃねぇ…」とまで思った。

俺がシャニマスにわかなばっかりに『Shower of light』で羽化しない灯織と真正面からぶつかってしいました。
シャニソンのコミュ『最大光度の条件は』とかEnzaの『クロノスタシス』を見ていれば予測できたらしい。けど僕はコミュを見ていないので。

MCパート。コミュが始まります。左右からもスポットライトを使い、演劇チックに。

ここにいたい。このままでいたい。変わりたくない。

灯織の気持ちがすごくわかりました。

でもめぐるは「ずっとここにはいられない。灯織もわかってるでしょ?」なんて明るく言います。
「ずっと」はない「絶対」は難しい。めぐるはそんなことわかりきって、「永遠」に一緒にいることを誓ってみせました。強すぎ。
そして、きっと灯織もわかってるし。

変わるということは、ここではないどこかへ行くということ。昼公演Pupa2で得ていた答え。
不安だよ。怖いよ。進みたくないよ。
少なくとも今、変わらなければ、ここにいれば、3人は一緒に居られるんだもん。

でも、ここに居続けても、ずっと一緒にいることはできない。
なんなら今、自分が変わらないと、今、一緒にいられなくなってしまうことだってある。

今が過去になって未来が今になる時、今を過去にして未来を今にする必要があるんですね…。その覚悟が要るんですね…きつすぎる。

灯織は「自分だけの羽根」を手に入れると意気込みます。
が、曲目は最後の曲へ。

Imago3 - 灯織のその後

歌われた楽曲は『BRIGHTEST WHITE』。めぐるの羽化後と同じ。

この曲で羽化できるかな?と思うよ、灯織から目が離せませんでした。3人踊っているのに灯織から目が離せない。
1対2のフォーメーションはPupa2と変わらないのに、より強い意味をもって行われているように錯覚してしまいます。

フォーメーションの関係で灯織が客席に背中を向けるシーンが何度もあります。そこに青い羽根がない、真っ白なスカートが印象的でした。

灯織はついに羽化することなく、そのままイルミネが退場して本公演は終了。アンコールへ続きます。

アンコール1曲目は『枕木の歌』。灯織のソロ歌唱でした。
『枕木の歌』、当然ですが歌詞が良すぎます。


枕木の歌声に ぼんやり身をゆだねて
広がる小さな空 君のことを想っていた
余白のない小説が 強い風でめくれるように
駆け足で時は 何もかもすべて 過去にしてしまう

枕木の歌

枕木というのは鉄道の線路、の下にあるやつ。
駅と駅をつなぐ線路、レール。その下に敷きならべられている木製の部材。
レールの感覚を保ったり、音や衝撃を吸収するためのあります。

枕木の歌、それはきっと遠くを走る電車の音がレールを伝って聞こえてくる音でしょう。
地面に耳をつけて、小さな空を見上げて、余白なく駆け足で未来へ進み続ける君が、遠くで走る音を、線路伝いに聞いています。

小説は本来、テレビや演劇などのメディアと違い、自分で1ページずつめくることで時が進む媒体です。人生も、1つずつ自分で進めていくことが理想かもしれない。でも時に、強い風にふかれて時が進んでしまうこともある。

進むとき。変わる時です。
やっば。

同じ場所 同じ時間 同じ景色を見てさえ
同じ気持ちになる保証はないから

枕木の歌

ここまで3公演全部で謳歌してきた『Happy Funny Lucky』の「今この瞬間、同じ時を同じく続く空の下で分け合ってる奇跡」に対して、それさえも、「保証はない」と。
『愚者の独白』で、この空が続くことに疑問を呈していました。それは、「この空が続くかどうかを疑問に思う」こと自体が愚かだったのかもしれません。
たとえ、この空が続いていても、続いていなくても関係がない。何故なら、たとえこの空が続いていて、同じ景色を見ていても、同じ気持ちになる保証はないから。『枕木の歌』広がるのは小さな空です。
空が続いているかどうかじゃない。同じ景色を見ているかじゃない。たくさん言葉を交わして、気持ちを伝えて。続いている空の下にいる奇跡を幸せに思って「出逢ってくれてありがとう」って言葉にして、「最高の気分だ」って伝えることに意味があるんですね。

どこまでも真っすぐな 線路じゃ重ならなかったね
遠回りしても 回り道しても 間違いなかった

もしも寂しさが
笑顔を飲み込む日は そっと窓を開いて
どこか懐かしい風が導いてくれる
また会える日まで

枕木の歌

目線は枕木から線路へ。線路は前にも後ろにもずっと続いていきます。過去にも、未来にも。そして様々な駅で、様々なポイントで、他の線路と合わさったり離れたりします。

気が付くと列車に乗っています。進んでいます。
窓を開けると風が吹き込む、ということはこの列車は動いているということですね。

列車は必ず次の駅へ──

では舞台は? 
  
あなたたちは? 

『劇場版 少女 歌劇 レヴュースタァライト』より


ここで、これまで歌い続けていた、風野灯織のソロ曲『スローモーション』が効いてきます。


立ち止まった ふいに交差点で
読み返すキミのメッセージ
すれ違う光も さっきからスローモーション

スローモーション

今いるのは、まっすぐな線路じゃ会えなかった場所。交わった場所。

今まで 走り続けてきたね
退屈だった日々忘れて
振り返れば こんなに遠くまで来てたんだね

スローモーション

一緒に走ってきた軌跡を振り返ります。

一人で平気だと思ってたよ
でも最近じゃ 帰り道すら 寂しくなるの

スローモーション

帰り道すら寂しいのに、この先もしも線路が別れたら。
羽化をためらっている理由ですね。

冬の夜空のスクリーンにも浮かんだトライアングル
笑う三日月 いつか上手に『ありがとう』伝えられたら

スローモーション

さっきの『Happy Funny Lucky』ですね。同じ空、同じ月をみているかじゃない。「ありがとう」を伝えられたら。

ゆらゆらと揺れながら それぞれの心が
秘めた思いを 包み込むように 向かう明日へ その先へ…

枕木の歌

『枕木の歌』はそれぞれが道を進んでいく歌です。
そして『スローモーション』は、みんなが進んでいく中でふと立ち止まってしまうこともある灯織の歌でした。

なんか、ダバダバに伏線回収されてつなげた文脈を作られた気がしてべしゃべシャになってました。

Imago3 - ヒカリのdestination

灯織ソロの『枕木の歌』のあと、イルミネ3人で披露されたのはイルミネのデビュー曲。3人の始まりの曲。

何かが起こりそうな
ステキな予感がするでしょねぇキミも
ワクワクする方へと 勝手に動き出すよ
言うこと聞いてくれないハート

ヒカリのdestination

あの時は動けたんです。何かが起こりそうな予感に。
あの時、変われたわけです。だから今、このオリックス劇場のステージがあるわけです。

見守っていてくれてたんだよね
最初からずっとずっと
だから私は来れたんだここまで
ヒカリを追いかけていた

スローモーション

始まりだって
気付かないまま
追いかけてた

ヒカリのdestination

Uka,の冒頭の深呼吸。
「全身に意識を集中して」「自分の殻を破るように」です。

この蝶の羽根は神様から与えられるものじゃなくて、気付かないまま飛べるものじゃなくて、自分で意識して、変わろうと思って、動かして、羽ばたくことで飛べる羽根です。

いつからだったのかな
憧れたその場所
叶えて たどり着きたい未来

ヒカリのdestination

灯織も、未来に進む気持ちを思い出します。
しかも、その答えはデビュー曲にあるとかいう熱い展開。

瞳のillumination
あの日の誓い忘れない
私たちのネ・ガ・イ
今空へと 響き渡れ
いつまでも

ヒカリのdestination

やっば。

今、空へと、いつまでも?
この公演のための書き下ろし曲?8年前のデビュー曲ですが?
無邪気に信じられてた永遠を、今もう一度宣言してますけど?

一度触れてしまった時に
忘れられない夢になったの
感覚がしっかりと覚えてる
すべてを すべてを 照らすヒカリ

ヒカリのdestination

灯織は今度こそ、高く昇り、力を込めて、羽化します。

ダバダバに泣きました。

見失わないで(見失わないで)
夢がある限り

ヒカリのdestination

えぐい。よすぎ。


最後は、『スマイルシンフォニア』

よすぎ。
3公演共で締めに披露してるこの曲、3公演目でまた一段進化してた。

もう、全歌詞良すぎ。Imagoの灯織の、イルミネの決意の歌すぎる。

夢の果てまで、空の果てまで。

Imagoとは?

本公演はUka,と題し、幼虫、サナギ、成虫への成長を羽化として一貫して描いていました。

サナギであるPupaから成虫であるImagoへ、自分の意志で変化していくこと、その恐れと決意を描いていました。

「imago」という英単語はラテン語由来です。
「成虫」意外の意味は「像/映像」古典ラテン語としては「模倣/イメージ」という意味もあるそうです。

英単語の成虫という言葉自体が、なりたい理想像的な意味からきてるんですかねこれ。
完璧すぎません?

おわり

Loss is nothing else but change and change is Nature's delight.

Marcus Aulerius 

「喪失は変化以外の何物でもない、そして変化は自然の喜びである」

冒頭でも紹介しました、3公演目の最後に現れた偉人の名言。

未来に進むということは、今を捨てること。そしてあったかもしれない未来の可能性を捨てて、進む未来を選ぶこと。
この公演はこれを意識的に行うことで終わりました。

何かを失った時、それを変化として再定義すれば、それは喜びかもしれません。
では、何かを捨てた時はどうでしょうか。今いる場所を捨てる覚悟をした時。それは喜ばしい変化でしょうか。僕はまだそこまで成熟できていません。

個人的には、変わらないことを肯定するお話が好きです。
僕の大好きな『銀魂』という作品は最後、2年経って変わってバラバラになった万事屋が、銀時のために再度集まって、変わらないことを肯定して、2年前のように戻って終わります。
めっちゃありがたかった。

逆にショックを受けたのはアニメ『クラシカロイド』という作品。銀魂などと同じく、基本停滞した人達の変わらない日常を描く箱庭型ドタバタギャグアニメでしたが、最終話でモーツァルト、シューベルト、ワーグナーらは前に進むことを決意し、居候していた家を出ていきます。
主人公の高校生は前に進む偉人たちに「変えなくたっていいじゃん!楽しいんだったらそれでいいじゃん!とりあえず現状維持でさぁ…ぬるくたっていいじゃん…いろいろダメでもいいじゃあああ〜ん!」と叫びます。日常アニメに視聴者が求める言葉です。ベートーヴェンの「そんなにぬるま湯が好きか?」という言葉に主人公が「うん好き。ぬるま湯大好き!」と答えると全員がドン引きします。
心からこの主人公に共感して日常ぬるま湯停滞アニメを見ていたのでとてもショックを受けました。
でも、夢を叶える時や何かを成す時には、現状を変えて前に進まなくちゃ行けないんですよね。そうなんですよね。

世の中の大抵の物語は、成長物語だと思います。特に若者向け。
しかも、アイドルものなんて尚更。
成長して、前に進んでなんぼのお話です。

イルミネが変化と向き合う時、変わりたくない気持ちを正面から肯定して、でも変わるという決断をさせる物語をえがいたこと。そのグロさ。そして、それが決してグロくない、その優しさ。
すごくステキなお話だったと思います。




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