「どこか行きたいね」で終わる休日をやめた話。毎朝7時、AIが旅行プランを1件だけ置いていく【Notion×Claude】
創薬・ライフサイエンス系の研究者です。
前々回は、論文管理をNotion × Claudeで実装した話をしました。
前回は、自分の体を被験者にした筋トレの話でした。
今回は旅行です。サイエンスと旅行って何の関係があるの?と思われた方、待ってください。旅行提案のシステムと研究提案のシステムって驚くほど共通点があるのです。
行き先を調べる
→テーマ探索、仮説立案詳細な旅行プランを立てる
→実験計画立案実行する
→Wet実験振り返る
→解析、ディスカッション
並べてみると、同じサイクルです。多分世の中のほとんどのことが同じ仕組みで回っていると思います。
だからこそ、一つの枠組みを異分野にも展開したいと思いながらこの取り組みを実施しています。
異分野融合ってよく言われますが、本質的には共通で使えるものを見つけて応用するということじゃないかなと私は考えます。
「どこか行きたいね」は、なぜ実現しないのか
我が家では月に2〜3回、日帰りか泊まりで出かけたいと思っています。予算も月10万円と決めてあります。
決まっているのに、行けていませんでした。
理由を分解すると、こうです。
週末が近づく
「どこか行きたいね」と言う
どこに行くか調べる工程が発生する
面倒になる
近所のショッピングモールに行く
問題は3でした。
行きたくないわけではありません。予算がないわけでもありません。行き先を決めるという作業が、毎回ゼロから発生することが問題でした。
しかも「調べる」を始めると、これが終わりません。
検索する → 出てくるのは去年と同じような定番スポット
じゃあ穴場を、と探す → 情報が古い、もう閉業している
何時に出れば間に合うのか分からない → 結局計画にならない
「前に似たところ行かなかった?」→ 覚えていない
調べ始めて30分後、何も決まっていない。これを何度もやりました。
新たに作成した枠組み

毎朝7時、LINEに通知が1件届きます。
🚗 新しい旅行プランのご提案です
「〇〇〇〇」(1泊2日/約42,000円)
いかがですか?
Notionのページを開くと過去の提案も含めて全て登録されています。

詳細のページを開くとこれらの情報全てが一覧に
実在する観光スポット2〜4件(それぞれGoogleマップのリンク付き)
名物・グルメ
拠点からの移動手段と所要時間
時刻入りの旅程イメージ(「10:00 到着・散策」のように)
その日巡る順番がそのまま入ったGoogleマップの経路リンク
参考にした観光協会サイトのURL


私がやることは、気に入ったらステータスを「採用」にして、日程を入れるだけです。
設計で悩んだところ
作ること自体より、何をさせないかを決めるほうが時間がかかりました。
■ 1件だけ。まとめて出さない
最初は3件くらい出させていました。選択肢が多いほうが親切だと思ったからです。
逆でした。
3件出ると、比較検討という新しい作業が発生します。結局どれも選ばずに終わる。調べる面倒を、選ぶ面倒に置き換えただけでした。
いまは1回の実行で必ず0〜1件と決めています。今日の提案はこれ。いらなければ流す。明日また来ます。
判断が「Yes / No」の二択になった瞬間、通るようになりました。
■ 日程はAIに決めさせない
ここは明確に線を引きました。カレンダーには一切触らせていません。
Notionの「日程」プロパティは空のまま登録されます。日付は私が自分で入れます。
理由は、予定は私の都合の集合体だからです。家族の予定、仕事の締切、体調。これはAIが知らないし、知らせるべき情報でもありません。
AIに任せているのは「行き先を考える」ところまでで、「いつ行くか」は自分で決めています。
筋トレのときと同じ線引きです。メニューはAIが考える。実際にやるかは自分で決める。
■ 日数はランダムに振る
日帰り、1泊2日、2泊3日を 1:2:1の比率でランダム に選ばせています。
これは意図的です。放っておくと提案が同じ形に寄っていきます。振れ幅を仕組みで担保しておかないと、そのうち全部日帰りになる。
実験でいう条件振りと同じで、変数は自分で動かさないと動きません。
■ 「前に行った」を仕組みで潰す
一番効いたのはこれかもしれません。
提案を作る前に、過去1年分の提案を必ず読みに行きます。
しかも、都道府県が同じというだけでは弾きません。同じ県が過去に出ていたら、そのページの本文を開いて、実際に回ったスポットとルートを確認します。同じ京都でも、嵐山と伏見なら別物です。エリアもスポットも完全に被る場合だけ、その県を今回は避けます。
「前に似たところ行かなかった?」を、記憶ではなくデータベースに判定させています。
先行研究の調査を、記憶でやる研究者はいません。 旅行だけ記憶でやっていたのが、そもそもおかしかったのだと思います。
■ ネットを見に行かせる
行き先のリサーチは、AIの知識だけに頼らせていません。 毎回Web検索させています。
観光地は閉業します。イベントは終わります。モデルが覚えている情報は、いつ時点のものか分かりません。
説明できない情報源は信用しない。 これは論文の重要度スコアをAIに判定させなかったときと同じ判断です。
何が変わったか
■ 「調べる」がなくなった
以前の休日は、こういう順番でした。
行きたいと思う
調べる
決める
行く
いまはこうです。
通知が来る
見る
採用するか流すか決める
行く
2が消えました。
自動化で浮いた時間は、実はそんなに多くありません。30分くらいです。効いているのは時間ではなく、「調べるぞ」と気力を出す工程がなくなったことでした。
これは論文のときと同じで、筋トレのときとも同じでした。3回同じ結論に着地したので、たぶん本当にそうなんだと思います。
自動化の価値は、時間の短縮より判断の回数を減らすことにある。
■ 行き先の幅が広がった
自分で調べていた頃、行き先は無意識に絞られていました。知っている場所、行ったことのある方面。
過去1年との重複を機械的に潰しているので、自分では選ばなかった方面が出てきます。
「そこは考えていなかった」という提案が来たとき、この仕組みを作ってよかったと思いました。人間は自分の検索履歴の外に出られません。
使うツールはたったこれだけ
Notion — 提案の保存先(旅行プランDB/家計簿の予定DB)
Claude — Web検索とプラン生成。定期実行で勝手に動きます
LINE Messaging API — 通知
Python — NotionとLINEへの読み書き
全て無料枠で収まります!
苦労したことを正直に
作ること自体は、そんなに難しくありませんでした。
難しかったのは、AIへの指示書を書くことでした。
最初に動くものはすぐできました。でも実用になるまでには、指示書を何度も書き直しています。
3件出させたら、結局どれも選ばなかった
「京都はもう提案した」で弾いたら、京都全体が二度と出てこなくなった
時刻を書かせなかったら、「午前に散策」のような計画にならない文章が返ってきた
マップリンクをスポット単位でしか出させず、結局自分で経路を引き直していた
知識だけで書かせたら、閉業した施設が入っていた
どれも、やらせてみて初めて分かることばかりでした。
AIに仕事を渡すというのは、コードを書くことではなく、仕事の境界線を言葉で引くことなのだと思います。境界線が甘いと、AIは平気ではみ出してきます。
おわりに
休日に出かけられない理由は、たぶん忙しさではありません。
決めることが多すぎるからです。どこに行くか、何時に出るか、前はどこに行ったか、いくらかかるか。それを毎回ゼロから考えるのは、思っている以上に負荷が高い。
そこを機械に渡したら、あとは行くだけになりました。
論文で1回、筋トレで1回、旅行で1回。3回とも「判断の回数を減らす」に着地しています。
今後も人が本当にやるべきことは何かに注目したツール開発や活用法を発信していきますので、興味のある方はチェックお願いします。
ツールの作り方は順次配信予定ですのでお見逃しなく!
創薬・ライフサイエンス系の研究者です。
AI時代に研究者がどう生き残るかを考えながら、ClaudeとNotionを使った効率化について書いています。
同じことで悩んでいる方に届けば嬉しいです。
