I Witness あなたの中には、静かに見つめ続ける存在がいますか。
人は、自分自身の感情そのものに
なってしまうことがあります。
怒っている時は、
自分が怒りそのものになり、
悲しんでいる時は、
悲しみそのものになってしまう。
しかし、ふとした瞬間に気づくことがあります。
「今、自分は怒っている。」
そう気づいた瞬間、
怒りを見つめるもう一人の自分が現れます。
Black Sabbathの『I Witness』というタイトルは、
とても静かな響きを持っています。
「私は目撃する。」あるいは、「私は見届ける。」
この"I"は、
日常の自分ではないのかもしれません。
もっと深い場所で、
人生そのものを見つめている意識。
心理学では、それを
「観察する自己」と呼ぶことがあります。
ユング心理学では、自我よりもさらに
深い場所にある自己(セルフ)と
いう象徴とも重なって見えます。
私たちは人生の出来事を変えようとします。
苦しみを消そうとし、
失敗をなくそうとし、
不安を追い払おうとします。
けれど、本当に人生を変えるのは、
出来事そのものではなく、
それを見つめる視点
なのかもしれません。
嵐を止めることはできません。
でも、
嵐を見ている自分に
気づくことはできます。
悲しみを消すことはできません。
でも、
悲しみを抱えながら
歩いている自分を見ることはできます。
その瞬間、人は少しだけ自由になります。
神話にも、
この「見つめる存在」は繰り返し現れます。
空から世界を見守る神。
運命を記録する神。
沈黙の中ですべてを知る賢者。
彼らは戦いません。裁きません。
ただ、見つめています。
その静かな眼差しが、
人を少しずつ変えていくのです。
私たちの心の奥にも、
そんな存在がいるのかもしれません。
何が起きても慌てず、
良いことにも、悪いことにも、
静かに立ち会っている存在。
人生の主人公は「私」ですが、人生という物語を
最後まで見届ける読者もまた、「私」なのです。
だから今日も、
ほんの少しだけ立ち止まって、
自分自身を見つめてみませんか。
そこには、ずっと前から、静かにあなたを
見守り続けていた「目撃者」がいるのかもしれません。
Black Sabbathの『I Witness』は、
人生を変える歌ではなく、
人生を見つめる歌なのかもしれません。
静かに。
そして、最後まで。
LadMoonの世界観に沿って、音楽を
「現代神話」として読み解く姿勢を大切にしました。
