『金持ち父さん 貧乏父さん』——私の人生を変えた一冊
あの頃の私は、ただ組織という巨大な歯車を回すためだけに、自分のすべての時間を燃やし尽くしていた。 サラリーマン時代の私は、管理職という重い責任を背負い、会社のため、そして何より共に戦う部下たちのために、文字通り身を粉にして働く日々を送っていた。自分の生活や、心の奥にある微かな声に耳を傾ける余裕など、当時の過酷な日常には一ミリも残されていなかった。
そんな、ただ目の前の業務をこなすだけの暗闇のなかで出会ったのが、
『金持ち父さん 貧乏父さん』という一冊の本だった。
「お金のために働く」のではない。「お金を生み出す仕組みを自ら持つ」のだ。 そのあまりにも鮮やかで合理的な思想は、当時の私の凝り固まった仕事観を、根底から激しく揺さぶった。
読んでいる最中、胸の奥から突き上げてくるような、言葉にできない熱い憧れと興奮を覚えた。
しかし、現実はどこまでも容赦がない。 本を閉じれば、またいつものように怒涛のタスクと組織の冷徹な論理が押し寄せてくる。私はその強烈な教えを、日々の忙しさのなかに埋もれさせ、「いつか、自分もこうならなくては」という、遠い未来の引き出しの奥にそっと仕舞い込むことしかできなかった。

そんな私に、転機はあまりにも突然、そして決定的な形で訪れた。 糖尿病の発症である。
これまで通りの無理が絶対にきかなくなった自分の身体を前にしたとき、私は人生で初めて、強制的に立ち止まざるを得なくなった。自分の命と、残された大切な時間を、これまでと同じ熱量で会社に捧げ続けることは、もう物理的に不可能なのだという冷厳な現実。そこに重なったコロナ禍という未曾有の社会激変は、立ちすくむ私の背中を強く、そして優しく押し出す決定打となった。
「いつまで、あの引き出しを閉めたままにしておくつもりだ」
私は、長年勤め上げた会社を辞める決断を下した。かつて本の中で示されていた「サラリーマン道からの脱出」を、ただの机上の空論や憧れで終わらせるのではなく、自らの人生の確かな選択肢として、もう一度泥臭く机の上に引きずり出したのだ。
あの日、ボロボロになるまでページをめくった本を閉じた時に抱いた、微かな、けれど決して消えることのなかった未来への憧れ。 長年「いつか」という言葉で先送りにし続けていたその約束を、私は病と社会の激変という荒波を乗り越えて、ようやく「今」という現実の足元に手繰り寄せることができた。
あの一冊が提示してくれた自由な世界を、いま私は、自分の足で爽やかに、そして力強く歩き始めている。 それこそが、この本が私の生き方を決定的に変えた理由であり、この新しいブログ「LaLaLaBooks」の幕開けに相応しい、私自身の真実の物語である。
会社を辞めると決めた私は、ただ闇雲に飛び出したわけではなかった。『金持ち父さん』が教えてくれたのは、あくまで進むべき大いなる方向性だ。それを自分の人生にどう落とし込むか、その具体的なロードマップが必要だった。
そこで私が出会ったのが、これらの本だった。
貪るように、文字通りその関連書籍をすべて読み漁った。ページをめくるたびに、かつて胸に灯った「仕組みを持つ」という概念が、より解像度の高い、現実的な方法論へと姿を変えていくのを感じた。
しかし、他人の書いた地図をそのままなぞるだけでは、自分の人生は動かせない。私は溢れるほどの知識を整理し、自分自身の状況にアジャストさせた独自の「ロードマップ」を作り上げた。それは、組織という後ろ盾を失った私が、暗闇の中で迷わずに進むための、自分だけの航海図だった。
糖尿病という身体の制約を受け入れ、コロナ禍という時代の変わり目を捉えながら、私はそのロードマップを指針にして、一歩ずつ、しかし確実に駒を進めてきた。
あの日、本の中で見つけた「いつか」という遠い憧れ。 それはこれらの本との出会いを経て、自分なりのローズマップという武器になり、いま私の「今」という確かな現実に変わった。
組織の看板を捨て、自ら描いた地図を手に、自分の足で歩き始めている。これこそが、この一冊から始まり、今に至る、私の人生の劇的な転換のすべてである。
ロバート・キヨサキ
投資家・著述家・教師。日系四世としてハワイで生まれ育ち、ハイスクールを出て、ニューヨーク州の商船アカデミーで学ぶ。卒業後、海兵隊に入隊し、士官、 ヘリコプターパイロットとしてベトナムに出征。帰還後、ゼロックス社に勤務。1977年にナイロンとベルクロを使ったサーファー用財布の会社を起こし、全 世界で驚異的な売上を記録した。1985年にはビジネスと投資を教える教育会社を起こす。47歳でビジネスを売却し、いったん引退。その間に書き上げた 『金持ち父さん貧乏父さん』が全世界で大ベストセラーとなった(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 勝てるビジネスチームの作り方 (金持ち父さんのアドバイザーシリーズ) (ISBN-13: 978-4480863966 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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