見出し画像

『ファントム・ブラボー:SBU第1小隊』第2話:『東京サイレント・ウォー — 欺瞞の航跡 —』


■ 『ファントム・ブラボー』
部隊編成(SBU第1小隊)

基本は【6名1個班(エレメント)】で行動。作戦時は3名ずつの「アルファ班」「ブラボー班」に分かれて互いの背中を預け合います。
【前線戦闘要員:5名】
真壁 一等海尉(まかべ)/ 小隊長(チームリーダー)役割:前線指揮官(アルファ班リーダー)特徴:圧倒的なカリスマと戦闘技術を持つ。作戦の全責任を背負う。私生活では一女の父親だが、戦場のトラウマ(PTSD)を隠し持っている。

東 二等海曹(あずま)/ 副隊長 兼 狙撃手(スナイパー)役割:副指揮官(ブラボー班リーダー)/ 長距離狙撃・戦術予測特徴:真壁の長年の相棒であり、チームの精神的支柱。暴走しがちな真壁を冷静に止めるストッパー。

阿部 三等海曹(あべ)/ 電子戦・ポイントマン役割:先頭偵察(ポイントマン)/ ハッキング・爆発物処理(EOD)特徴:チーム最年少の天才肌。メカに強く、罠の解除などを。実戦経験が浅く、先輩たちに揉まれながら成長中。

西川 二等海曹(にしかわ)/ 重火器・ブリーチャー役割:機関銃運用/ 障害物・扉の爆破突破(ブリーチャー)特徴:チームイチのタフガイ。近接戦闘(CQC)の鬼。普段は陽気なムードメーカーだが、戦場では最も冷徹になる。

前田 三等海曹(まえだ)/ 衛生兵(メディック)役割:戦闘衛生兵/ 負傷者の応急処置・人質の健康管理特徴:どんなパニック状態でも手がブレない鉄のメンタルを持つ。アルファ班の後方支援として真壁・阿部を支える。

【前線指揮・管理:1名】
古賀 先任海曹(こが)/ 作戦先任(マスターチーフ)役割:現場の統括・装備管理・司令部との連絡調整特徴:チーム最年長のベテラン。全員の父親的存在。作戦時は潜水艦やヘリ内の前線指揮所に残り、現場の後方支援を行う。

【市ヶ谷・司令部バックアップ:1名】
一ノ瀬 三等海佐(いちのせ)/ 情報分析官(インテリジェンス)役割:防衛省情報本部からの専属派遣/ 情報分析・ドローン誘導特徴:市ヶ谷の作戦室からハッキングや衛星画像を駆使し、現場の6名にリアルタイムで「神の目」を提供するチームの頭脳。



第2話:『東京サイレント・ウォー — 欺瞞の航跡 —』


1.


終わらない戦争江東区、臨海副都心の一角。防衛省情報本部から出向している女性情報分析官、一ノ瀬(いちのせ)三等海佐は、不眠不休でモニターを睨みつけていた。画面に映るデータは、東京湾へ向かっているパナマ船籍の大型コンテナ船。「……間違いない。偽装してる」彼女の鋭い勘がアラートを鳴らしていた。表向きの積荷は電子部品。しかし、その内部に隠されているのは、日本の基幹インフラを麻痺させる「新型電磁パルス(EMP)兵器」の密輸だった。さらに、テロリスト集団はすでに東京湾の管制システムをハッキングし、船の監視の目を潜り抜けようとしていた。「真壁隊長、ターゲットはあと40分でレインボーブリッジを通過します。そこを越えられたら、都心のネットワークは終わりです」一ノ瀬はマイク越しに、横須賀基地で待機する『第1小隊(ファースト・プラトーン)』へ告げた。

2.


“見えない”潜入「時間がない。今回は『隠密(ステルス)』だ。一発の銃声も響かせるな」真壁の指示に、隊員たちが頷く。午後11時45分。雨の東京湾。激しい波を切り裂き、SBUの潜水員たちが水中スクーターでコンテナ船の船底へと接近する。真壁、東、そして今回は若手の電子戦エキスパート・阿部(あべ)三等海曹が加わっていた。

「阿部、ハッキングの状況は」

真壁が水中無線で問う。

「……相手のセキュリティ、かなり固いです。一ノ瀬さん、そっちからバックドアを開けられませんか!?」「今やってる! 焦らないで、阿部くん!」

市ヶ谷の分析室で、一ノ瀬の指先がキーボードの上を猛烈な速度で弾けた。彼女もまた、前線とは違う「机上の戦場」で命を削っていた。

「開いたわ! 船尾のハッチ、ロック解除!」「よし、突入(イン)」

3.


0秒の選択船内は静まり返っていた。テロリストたちは、管制システムを掌握しているため、自衛隊が近づけるはずがないと油断している。真壁たちは、レーザー照準器を切り、暗視ゴーグルと肉眼を駆使してキャットウォークを進む。その時、前方から見張りの男が現れた。男が無線機を口元へ持っていこうとした瞬間、真壁と東が同時に飛びかかる。銃は使わない。肉体とナイフ。一瞬の制圧。男が床に倒れる音すら、船のエンジン音にかき消された。

「EMPの制御コンソールを発見。……タイマーが動いてます。作動まであと3分!」

阿部がコンテナの奥で声を潜めて叫んだ。

「一ノ瀬、解除コードを」

真壁が冷徹に促すが、一ノ瀬の画面には無数の暗号が並んでいた。

「待って……敵がトラップを仕掛けてる。どれか一つでも間違えたら、その場でEMPが強制発動する……!」

一ノ瀬の額から汗が流れる。彼女の選択一つで、東京の全機能が停止し、今この船の周囲を飛んでいる民間航空機すら墜落するかもしれない。

「一ノ瀬」

真壁の静かな声が、彼女のインカムに響いた。

「俺たちはお前を信じてここにいる。お前の戦場をコントロールしろ」

一ノ瀬は深く息を吸い、目を閉じた。データの波。欺瞞のコード。その奥にある、敵のプログラマーの「癖」を見抜いた。

「……青のラインを遮断。阿部くん、基盤の3番目のチップを物理的に破壊して!」

「了解(コピー)!」

阿部がナイフの先端でチップを突き刺す。火花が散り、コンソールの赤いタイマーが「00:02」で停止した。

4.



影の英雄たち翌朝。朝焼けが東京湾を美しく照らしていた。何事もなかったかのように、首都高速には通勤の車が走り、人々はスマートフォン片手に満員電車へ向かっている。自分たちが数時間前、大災害の危機に瀕していたことなど誰も知らない。横須賀の岸壁。帰還した真壁は、煙草に火をつけた。そこへ、モニター越しではない、本物の一ノ瀬が歩いてくる。彼女の目はひどく隈(くま)ができていた。

「お疲れ様、一ノ瀬。いいバックアップだった」

真壁が差し出した缶コーヒーを、一ノ瀬は両手で受け取る。

「……心臓が止まるかと思いました。現場の皆さんは、いつもあんな恐怖と戦っているんですね」

「慣れることはないさ」

東が横から笑いながら言う。

「だからこそ、お前みたいな優秀な頭脳が後ろにいてくれないと困るんだよ」

一ノ瀬はコーヒーの温かさに、少しだけ救われたような気がした。日の丸のバッジを胸に、彼らはまた、誰にも知られない平和を守るために、それぞれの「戦場」へと戻っていく。


いいなと思ったら応援しよう!

LaLaLa はぁ、はぁ……っ! お願い、です……! 『怪獣の腹の中で』を……どうしても、私の手で「紙の本」にしたいんです……っ! あなたの、そのサポートが……本の、一ページに、なります……っ。 はぁ……応援、してくれませんか……っ?