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【超短編小説】初デート

午前7時13分。アリスはベッドの上で、昨夜耳にした、まるで童話のような不思議な夢の余韻をまだ全身にまとっていた。夢の中で、甘くて、少し苦い、まるで綿菓子とレモンのゼリーを一緒に食べたような複雑な感情が渦巻いていた。現実の部屋は、真昼と見まがうような朝日が差し込み、部屋の隅に置かれた年代物の目覚まし時計が、けたたましいベル音でアリスの耳元を突き刺す。その騒音は、彼女の頭の中で延々と続くワイルドなシンセサイザーのソロのようだった。小柄で華奢な体つきの少女アリスは、ゆっくりと体を起こした。彼女の髪は、まるで夏の夕焼けを閉じ込めたかのような肩にかかるくらいの長さで毛先が少しはねた、鮮やかなオレンジ色のボブで、寝癖でわずかに乱れている。フリルとレースがふんだんにあしらわれたポップでキュートなゴスロリータ系のワンピースは、夜着として着られたままで、足元は裸足。机の上には、宇宙飛行士のミニチュアと、光らない蓄光性の星のシールが散らばっていた。アリスは、窓の外の青空を見上げ、夢の中の不思議な感覚を思い出しながら、その夢の続きを漠然と思った。


「おはよう、怠け者ちゃん」

足元から、野太い声がした。アリスが視線を落とすと、そこにはぴかぴかと光る小さな黒い三輪車に乗った、愛らしいほどちっぽけな黒猫がふわっと現れた。猫はまるで全身から輝く粒子を放出しているかのように、その短い毛並みを朝日にきらめかせ、三輪車のハンドルを器用に回している。猫の首には、小さなゴールドのラジカセが括り付けられていて、そこからは80年代のファンクミュージックが微かに漏れ出ていた。 アリスは、胸の奥のざわめきをどうすることもできず、黙り込んだ。

「ニャー、ニャー、どうしたの、そんな顔して?心が、シュンとしてるニャ?今日は、いつもと違うレクイエムが聞こえるニャ!」黒猫は、まるで自分の言葉に酔いしれるかのように、高らかに叫んだ。 「うん…」アリスは頷いた。「なんか、ね、秘密基地の夢を見てたの。誰かと一緒にいる、甘くて、少し苦い夢」 「ニャー!それは最高ニャ!じゃあ、僕と冒険するニャー!」黒猫は目をキラキラと輝かせた。「甘酸っぱい二人の秘密がこだまする、あの場所へ行くニャー!」 アリスはベッドから降りた。

厚底のメリージェーンシューズに足を入れる。猫は先導するように、三輪車を漕ぎながら部屋のドアへと向かった。アリスは猫の後に続いた。部屋の壁は、突如として鮮やかな、ありえない色彩の渦へと変貌し、机や椅子が宙にゆっくりと浮き上がり始めた。

廊下は、煌めく光のトンネルへと姿を変え、その先には、虹色の泡が無限に浮かぶ空間が広がっていた。全てが光って見えた。階段を降りると、そこはもう自宅の玄関ではなかった。 彼らが辿り着いたのは、彼女の夢の中、「初めてのデートの幻影」だった。
空には、七色の光を放つ巨大な風船が無数に浮かび、その一つ一つに、微かな初デートの計画や、想像が閉じ込められている。風船同士は、目に見えない優しい歌声で繋がり、風が吹くたびに、ふわっと懐かしいメロディがした。



地面は、柔らかい積み木のようなクッションでできていて、歩くたびにポコポコと心地よい音がした。遠くには、巨大なクレヨンの形をした建物が見える。その周りには、色とりどりの風船やぬいぐるみ、そして、昔懐かしいブリキのロボットが宙を漂い、カラカラと音を立てている。しかし、そのどれもが、どこか色褪せて、音も小さく、活動も緩慢だった。小柄で華奢な体つきのアリスの鮮やかなオレンジ色のボブの髪が、風船の光を受けてきらめく。フリルとレースがふんだんにあしらわれたポップでキュートなゴスロリータ系のワンピースは、この非現実的な空間の色彩の中で、かえって自然に見えた。


「ようこそ、初めての物語が綴られる場所へ!」

巨大なクレヨンの形の建物の入り口から、一人の存在が姿を現した。それは、全身が淡い星の光と忘れられた約束でできており、指先からは微細な光の粒子が舞い、それが空中に二人の笑顔の形を描き出している。頭部には、小さな砂時計のような飾りがついており、そこから微かに「サラサラ」という時間の流れる音が聞こえていた。身長はアリスと同じくらいで、優しく微笑む愛らしい存在だ。

「私は『思い出の語り手、ドリーム・ウィーバー』だ」星の存在は言った。「ここでは、二人の思い出が、光の粒となって集められている。そして、その光は、未来へと繋がる希望の種となる」 ぴかぴかと光る小さな三輪車に乗った、愛らしいほどちっぽけな黒猫は、高らかに叫んだ。

「ニャー、ニャー、集めるニャー!これは最高ニャー!」黒猫は、アリスの手に、小さな透明な万華鏡をそっと置いた。
それは、アリスが幼い頃に大切にしていた、あの覗くと世界がキラキラと変わる魔法の万華鏡のようだった。 アリスは万華鏡を握った。ひんやりとした感触が、彼女の手に伝わる。万華鏡がキラリと光ると、それに応じるように、幻影の場所全体が揺らぎ始める。巨大な風船はさらに輝きを増し、映し出される思い出が加速しながら新しい光の粒を生み出し、幻想的な光景が広がった。アリスは、この全てが融合した、きらめく奇妙な空間の中心にいた。 アリスは、星の存在と、三輪車の黒猫と共に、初めてのデートの幻影を巡り始めた。彼女の鮮やかなオレンジ色のボブが、光の中で躍動し、ポップでキュートなゴスロリータ系のワンピースのフリルが踊る。黒猫は、「ニャー、ニャー、探し出すニャー!」と叫びながら、積み木の絨毯の上を器用に三輪車で滑っていく。アリスは、巨大なクレヨンの形の建物の中を覗き込む。そこには、無数の小さな光の粒が集められ、それぞれの光が誰かの初デートの計画や、共有された夢を表している。 アリスは、その中から、特に強く輝く一粒の光を見つけた。

それは、**黒いジャケットに白いシャツを着た、清潔感のある「彼」**が、初めてのデートで少し緊張しながら、アリスのために選んだ小さな花束を手に、はにかむように微笑んでいる光の粒だった。その光は、他のどの光よりも強く、そしてまっすぐにアリスの心へと響いた。アリスは、彼の笑顔が、この場所で大切に守られているのを見た。その光は、まるでアリス自身が彼と共有したささやかな記憶のように、温かくアリスの心を照らす。アリスは、彼の光を見つめながら、万華鏡をゆっくりと回した。彼女の髪は、まるで夏の夕焼けを閉じ込めたかのような肩にかかるくらいの長さで毛先が少しはねた、鮮やかなオレンジ色のボブで、寝癖でわずかに乱れている。フリルとレースがふんだんにあしらわれたポップでキュートなゴスロリータ系のワンピースを着たアリスが、カフェの窓辺で、少し緊張した面持ちで待っている光景が映し出された。
そこには、過去の初デートの甘酸っぱい期待が、確かに存在している。次の瞬間、世界がゆっくりと、しかし確実にあらゆる色彩の渦へと変貌し、アリスの部屋へと戻っていた。しかし、部屋は以前のままで、時間も止まったままだ。部屋の隅に置かれた目覚まし時計は、まだけたたましいベル音でアリスの耳元を突き刺している。

アリスは、万華鏡をそっと胸に抱きしめた。そこには、もう万華鏡はなかった。その代わりに、彼と初めて秘密を分かち合った瞬間の、甘くて少しレモンの味がした感触が、確かに彼女の心に残っていた。

「初デート」とアリスは、もう一度自分に問いかけた。
答えは、もうそこにあった。新しい物語の始まりの予感は、アリスの心の中で、確かに輝き続けていたのだ。それは、心の奥深くで、静かに、そして力強く、新しいビートを刻み続けていたのだ。


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