【ショート・ショート】疎外感(そがいカン)
疎外感(そがいカン)
中学高校時代、友達同士の会話を聴いていると、
そこに入っていけない自分がいた。
誰かの話に、ふと声が出なくて。
笑ってるのに、自分だけ外にいるみたいで。
話が終わるまで黙って聞いている。
そしてその場から離れて一人になる。
やっと呼吸ができた気がする。
その違和感は、大人になっても続いた。
グループの会話で、ふと自分が外にいることに気づく。
笑ってるのに、自分だけついていけてない。
大人になっても、あの透明な壁は消えない。
けれど、無理に壁を壊して中に入ろうとするのをやめた。
外側にいるからこそ、見える景色がある。
私は私のままで、この世界の隅っこで、静かに息を吸えばいい。
そこは、誰の機嫌も伺わなくていい、私だけの聖域。
中心で賑やかに交わされる言葉のラリーを、
少し離れた特等席から、ただの「風景」として眺めている。
みんなが同じタイミングで笑い、
同じ歩幅で歩くルールの世界。
そこからこぼれ落ちた一文字分の隙間に、
私は静かに腰を下ろす。
透明な壁のこちら側には、
私と同じように、そっと一人で呼吸をしている誰かの気配が、
時折、風に乗って微かに届く気がする。
交わらなくても、繋がらなくても、
私たちはそれぞれの隅っこで、確かに生きている。
遮断機が下りるあの瞬間の静けさを、
心の中にいつでも、そっと連れて歩きながら。



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