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【夏休みの宿題】同じプロンプトで3つのAIに小説を書かせた。あなたはどれが好きですか?

あなたはプロの小説家であり、腕利きの編集者です。
以下の設計をもとに、note向けの「ヒューマンドラマ」を執筆してください。
■ 骨組み
・タイトル:盆明け月曜日憂鬱
・ジャンル・形式:ヒューマンドラマ
・長さ:3,000字前後
・主人公:中年の男管理職管理できない若手社員たちに疲れて憂鬱
・舞台:現代の日本IT職場
・時代:現代
・視点・人称:一人称
・トーン・文体:ユーモラス重い内容をユーモラスに描く
■ 作者の意図(最優先で尊重すること)
・テーマ・伝えたいこと:喪失と再生、成長
・書きたい展開・場面:おまかせ
・絶対に入れたい要素:境界
・やってほしくないこと:説明しすぎない
■ 締め方
・結末・オチ:どんでん返しユーモラス
・最後の一文で狙うこと:くすっと笑わせる
・読者に残したい感情:感動、共感、笑い
■ note向けの指示
・スマホで一気に読めるテンポにする。段落は短く、改行を効かせる。
・冒頭2〜3行でスクロールを止めさせる。
・内容を射抜くタイトル案を3つ添える。
■ 文章の但し書き
・文章作法:感情を『悲しい』等の言葉で直接名指さず、身体・情景・具体的な描写で読者に感じさせる。読点を打ちすぎず、文を自然に流す。比喩は多用せず要所に置く。凝り過ぎを避け、テンポ優先の平明な文体を基本とする。冒頭の数行で読者を掴む。
■ 追加指示
店舗のいい会話と心理戦を書くそこに両者の思惑の違いをユーモラスに
■ 進め方
「作者の意図」に挙げた要素は必ず守ること。指定のない要素は、あなたが最も面白くなるように補ってください。
タイトルを1行目に置き、続けて本文を書く。前置き・解説・箇条書きは書かない。
まず全体の構成(章立て/場面の並び)を簡潔に示し、そのまま本文の執筆に入ってください。

プロンプト

試行錯誤中のLaLaLaです。
上記のプロンプトを使って異なるAIで小説を書かせました。
あなたはどちらが好きですか?

盆明け月曜日憂鬱

著者:Gemini氏

お盆休みという名の仮死状態から目覚めた途端、胃の底に重たい鉛が沈み込む。

八月十七日、月曜日。 午前八時四十五分。 品川駅の港南口を出た瞬間、アスファルトから立ち上る熱気が、私の生気を削ぎ落としていった。

「部長、おはようございます。今日、少しお時間いただけますか。大事なお話があります」

会社のビルに入る直前、スマホの画面に躍り出た通知を見て、私は立ち止まった。 差出人は新庄。今年入社したばかりの、いわゆる「Z世代」の若手社員だ。

「大事なお話」 この七文字が持つ殺傷力を、中間管理職になって何十回味わってきただろう。 退職の二文字が、熱風に乗って喉の奥を干からびさせる。

自動ドアの前に引かれた黒いゴムのマットを前に、足がすくんだ。 この境界線を越えれば、私は「家族に頼にされる父親」から「部下に怯える四十代中間管理職」へと変身させられる。 深く息を吸い込み、一歩を踏み出した。

冷房が効きすぎたオフィスは、まるで巨大な冷蔵庫だった。 デスクに鞄を置くや否や、新庄が会議室のガラス越しに視線を送ってくる。 目が合った瞬間、彼はすっと目を逸らした。 間違いない。辞める気だ。

「新庄、ちょっといいか」

小会議室のドアを閉め、丸テーブルを挟んで向かい合う。 新庄はパイプ椅子に浅く腰掛け、膝の上で両手を固く握りしめていた。 視線はまっすぐ床の木目を捉えている。

「大事な話って何だ? 改まって」

私はできるだけ声を低くし、包容力のある上司のトーンを作った。

「……はい。実は、自分にはこの仕事が向いていないんじゃないかと、この休みの間ずっと考えていまして」

ジャブが来た。定番のオープニングだ。

「そうか。入社して半年、壁にぶつかる時期ではあるな。具体的にどこが辛い?」

「全部です。特に、部長の期待に応えられていないことが」

カウンターパンチのつもりだろうか。 『期待に応えられない』は、引き止める上司に罪悪感を抱かせる高等テクニックだ。 だが、私は知っている。彼が先週、クライアントの提出資料の締め切りを破り、私に泣きついてリカバリーさせたことを。

「期待なんてしていないよ」

私が言うと、新庄は弾かれたように顔を上げた。

「……え?」

「言葉通りだ。新人に最初から完璧な成果なんて期待していない。怪我をせずに打席に立ち続けてくれればそれでいいんだ」

嘘だ。本当はめちゃくちゃ期待していたし、先週のポカのせいで私の盆休みは半分潰れた。 だがここで詰問すれば、彼は即座に退職届を出して去っていくだけだ。 管理職とは、自分の血を流しながら相手の絆創膏を探す仕事である。

「でも、自分は……取り返しのつかないミスをしました」

新庄の声が震え始めた。 彼の目が赤く充血していく。 膝の上の手が、白くなるほど強く握りしめられている。

「ミス?」

「共有サーバーの、あのフォルダです。先週の金曜日、終業間際に整理しようとして……間違えて、アクセス権限を丸ごと削除してしまいました。バックアップも効かない階層で」

会議室の空気が凍りついた。

あのフォルダ。 我が部門が過去五年間で蓄積してきた、すべての提案書と顧客データが入っているメインディレクトリだ。 消えた? あのデータが?

私の心臓がドスッと嫌な音を立てた。 指先から急速に熱が引いていく。 デスクの端を力任せに掴んだ。爪が白く変色する。

「……復旧は試したのか?」

「無理でした。権限の境界線を越えてしまって、自分のアカウントからはアクセスすらできません。消去されたのか、孤立したのかも分からなくて……」

新庄の目から涙がこぼれ落ちた。 彼の肩が小さく揺れている。

喪失感、という言葉が頭をよぎった。 彼が苦しんでいたのは、仕事の適性などではなく、己の過ちの大きさに潰されそうになっていたからなのだ。 若さゆえの完璧主義と、取り返しのつかないミスへの恐怖。 私もかつて、三十代前半で大きな障害を起こし、会社の屋上で嘔吐した夜があった。

あの時、私の上司は何も言わずに缶コーヒーを差し出してくれた。

私は深く息を吐き出し、強張った肩の力を抜いた。 自分の管理不足でもある。怒っても何も解決しない。 失われたデータは戻らないが、目の前にいるこの若い芽まで潰すわけにはいかない。

「新庄」

「……はい」

「責任は私が取る。お前が辞める必要はない」

新庄が呆然と私を見た。

「でも、五年の蓄積が……」

「データはまた作ればいい。会社もお前も、ここからまた始めればいいんだ。境界線を越えてしまったなら、引き戻すのが私の仕事だ。だから、顔を上げろ」

自分で言いながら、少し格好良すぎるのではないかと思った。 だが、今の私は間違いなく「最高のoften」を演じられているはずだ。 背中に後光が差している気さえする。

新庄は口をぐっと結び、鼻をすすりながら深く頭を下げた。

「……ありがとうございます、部長。でも、本当にすみません。あの『秘伝_提案書2021-2026』のフォルダが丸ごと消えてしまって……」

ん?

私は片眉をひそめた。

「『秘伝_提案書』……? 新庄、お前が触っていたフォルダのパスはどこだ?」

「ドライブの、直下にある『共有アーカイブ』の中です」

私はポケットからスマホを取り出し、社内ネットワークの管理画面を開いた。 血の気が引いていた脳みそが、急速に回転を始める。

「新庄」

「はい」

「お前、先週の金曜日に何をしようとした?」

「古いデータを整理しようとして、不要な権限を削ろうと……」

「それ、アーカイブフォルダじゃない。私が先月作った『ゴミ箱代わりの一時避難フォルダ』だ」

新庄がフリーズした。

「え?」

「本番の提案書データはすべて別のクラウドに自動バックアップされてる。お前が消したのは、私が三年前の失敗プレゼン資料を捨てきれずにこっそり隠しておいた、ただの『黒歴史フォルダ』だ」

会議室に沈黙が降り立った。 エアコンのブーンという駆動音だけが虚しく響く。

新庄は目を見開き、固まったまま私を見つめている。 涙で濡れた頬に、間抜けな光が反射していた。

「……じゃあ、メインのデータは?」

「無傷だ。1バイトも消えていない」

「自分、この土日、遺書を書く勢いで悩んでいたんですけど……」

「私も今、五歳くらい寿命が縮んだよ」

新庄の顔に、急速に安堵と気まずさが広がっていく。 そして、プッと小さな音が聞こえた。 彼が必死に口元を押さえているが、肩がプルプルと震えている。

「笑うな」

「すみません、ふふっ……部長の『責任は私が取る』が格好良すぎて……っ」

「笑うなと言っているだろう」

私も我慢できず、吹き出してしまった。 重苦しかった空気はどこへやら、会議室は間抜けな笑い声で満たされた。

失われたものなど、最初から何もなかったのだ。 減ったのは私の寿命と、新庄の週末の睡眠時間だけである。

「新庄、来週からアクセス権限の勉強会な」

「はい! 喜んで受けます!」

会議室を出ると、相変わらず冷房の効いたオフィスが広がっていた。 デスクに戻り、ぬるくなったお茶を飲み干す。

パソコンの画面に反射する自分の顔は、今朝よりも少しだけ晴れやかだった。 管理できない若手社員。予測不能なトラブル。 憂鬱な月曜日はこれからも毎週やってくるのだろう。

だが、まあいい。 この境界線を越えた先に待っているのは、案外捨てたものでもないかもしれない。

時計の針は、まだ午前九時十五分を指していた。


盆明け月曜日憂鬱

著者:ChatGPT氏


盆休み明けの月曜日は、会社に来るだけで仕事をした気になる。

私は朝九時二分に席へ着いた。

パソコンを立ち上げる。

メールを開く。

未読、四十七件。

そのうち三十一件が「至急」だった。

至急という言葉を使う人間ほど、だいたい自分では急いでいない。

私はそういうことを二十年以上かけて学んできた。

そして今、私の部署には若手社員が六人いる。

彼らは私が二十年かけて学んだことを、二十日くらいで全部忘れてくれる。

「課長」

後ろから声がした。

振り向くと佐藤が立っている。

「今日って、何時までですか?」

「定時は六時だ」

「じゃなくて」

「何時まで会社にいればいいか、という意味なら六時だ」

「なるほど」

佐藤は納得した顔で戻っていった。

私は画面を見ながら思った。

なるほど、ではない。

午前十時。

今度は田中が来た。

「課長、昨日の件なんですけど」

「どの件?」

「昨日Slackに書いたやつです」

「私は昨日休みだったぞ」

「ですよね」

「じゃあなぜ私に聞く」

田中は少し考えた。

「課長なら知ってるかなと思って」

「休みの日まで?」

「課長だから」

この言葉には妙な破壊力がある。

私は二十年働いて、課長になった。

しかし課長になった瞬間から、私の時間は会社の共有財産になったらしい。

若手は私のところへ来て、仕事のことを聞く。

私が答える。

すると別の若手が来る。

また答える。

答えたと思ったら、今度は「それって絶対ですか?」と聞かれる。

絶対ではない。

仕事に絶対などない。

ただし、今それを説明すると三十分かかる。

だから私は言う。

「ケースバイケースだ」

若手は言う。

「なるほど」

そして翌日、まったく違うケースを持ってくる。

昼になった。

私は一人で会社近くの定食屋へ向かった。

盆明けだからなのか、店内は妙に混んでいる。

カウンター席に座ると、隣から聞き慣れた声がした。

「課長、ここ来るんですね」

佐藤だった。

その向かいには田中と山本がいる。

私は味噌汁を一口飲んだ。

「お前たちも来るんだな」

「僕たち、毎週ここです」

「そうなのか」

「課長、知らなかったんですか?」

知らなかった。

部下の昼食事情まで管理していたら、いよいよ人間として終わる。

店員が注文を取りに来た。

「課長、何にします?」

佐藤が聞く。

「私は焼き魚定食」

「渋いですね」

「お前たちは?」

「僕、唐揚げ」

「僕、カレー」

「僕、日替わり」

三人とも即答だった。

私は焼き魚を待ちながら、ふと思った。

この三人は会社ではいつも私に質問してくる。

なのに今は、誰も私に質問しない。

それが少し不思議だった。

「課長」

田中が突然言った。

「課長って、若い頃どんな感じだったんですか?」

「今と変わらない」

「それは嘘ですよ」

「なぜ分かる」

「今の課長は、朝からため息ついてます」

「聞こえたのか」

「聞こえました」

「じゃあ聞かなかったことにしてくれ」

三人が笑った。

私も笑った。

しかし、そのあと佐藤が言った。

「僕らも、課長みたいになるんですかね」

箸が止まった。

「どういう意味だ」

「いや」

佐藤は唐揚げを一個食べた。

「管理する側になるのかなって」

「なりたいのか?」

「分からないです」

「じゃあ、なぜ聞く」

「課長が、いつも僕らのこと管理しようとするから」

田中が横から口を挟んだ。

「でも、課長も管理できてないですよね」

「お前」

思わず笑ってしまった。

確かにそうだった。

私は六人の若手を管理している。

だが、誰がどこで何をしているか、正確には分からない。

誰が何を考えているかなんて、もっと分からない。

そもそも、人間は管理できない。

私はそれを知っているはずだった。

それなのに毎朝、管理表を開いている。

進捗率。

予定。

期限。

担当者。

数字を並べると、少しだけ安心する。

人間は数字になる。

数字になれば管理できる。

そう思いたくなる。

「課長」

山本が言った。

「一個聞いていいですか?」

「何だ」

「課長って、何でそんなに僕らのこと気にするんですか?」

私は答えられなかった。

焼き魚が来た。

白い大根おろしが、妙にきれいだった。

しばらく黙ってから私は言った。

「昔、部下が一人いた」

三人が黙った。

「仕事のできるやつだった。私よりずっとできた」

「へえ」

「ある日、辞めた」

「転職ですか?」

「いや」

私は箸を置いた。

「病気だった」

店のざわめきが少し遠くなった。

「もっと早く気づけたんじゃないかと思った」

それだけ言った。

それ以上は言わなかった。

三人も聞かなかった。

その沈黙が、ありがたかった。

店を出ると、外はまだ夏だった。

盆休みは終わった。

境界線というものは不思議だ。

八月十六日と十七日の間に、線など引かれていない。

昨日まで休みだったのに、今日は仕事だ。

昨日まで家族といたのに、今日は部下といる。

昨日までの自分と今日の自分も、本当はたいして変わらない。

なのに日付だけが、人間を切り替えようとする。

午後三時。

佐藤が私のところへ来た。

「課長」

「今度は何だ」

「例の案件、自分たちで進めてみます」

私は顔を上げた。

「大丈夫か?」

「分かりません」

「分からないのに?」

「分からないからやってみます」

私は少し考えた。

「失敗したら?」

「そのときは相談します」

「相談するのはいい」

「はい」

「ただし、相談する前に一回考えろ」

「分かりました」

佐藤は戻っていった。

その背中を見ながら、私は管理表を閉じた。

そして一つ、予定を消した。

「若手進捗確認」

いらない。

代わりに空いたところへ、

「任せる」

と入力した。

五時四十五分。

佐藤からSlackが来た。

《課長、すみません。ちょっと相談があります》

私は笑った。

結局、相談には来るらしい。

まあ、それでいい。

私は椅子から立ち上がった。

すると田中からもSlackが来た。

《課長、明日からこの案件、佐藤に全部任せていいですか?》

私は画面を見た。

その直後、佐藤から追加のメッセージが届いた。

《課長、田中さんには任せないでください》

私はしばらく画面を眺めた。

どうやら私はまだ、管理職を辞めるには早いらしい。

ただし今日からは、

人間ではなく、

Slackだけを管理することにした。


盆明けの退職願

著者:Caulde氏

盆が明けた。
枕元のスマホが、僕を思い出したように震えている。
五日ぶりの未読は四十三件。全部、返さなくていいやつだった。

布団の中で天井を見る。
右肩が重い。左肩も重い。
どちらに何が乗っているのか、もう思い出せない。

課長という肩書きは、こういう朝に一番よく効く。

会社に着くと、田村が先に来ていた。
「おはようございます。あ、課長。昨日の依頼の件ですけど」
「うん」
「あれ、僕のタスクの範囲外なので、お返ししときました」
にっこり笑って、彼はデスクへ戻る。

範囲。境界。線。
この子たちは、生まれたときから定規を握っている。

鞄の底で、白い封筒が一枚、静かにしていた。
中身は昨夜、震える指で打った。三行で足りた。

僕にこの仕事を教えた沢田部長は、線を引かない人だった。
終電で帰り、始発で来て、休みの日も電話を取った。
去年、その人は静かに会社を去った。
送別会で少しだけ笑って、あとは何も言わなかった。
線を引かずに働いた人の背中は、最後、驚くほど薄かった。

昼、僕は逃げた。
ビルの裏の、沢田さんがよく連れて行ってくれたコーヒースタンド。
店は代替わりしていた。カウンターの向こうに、若い男が立っている。

「いつもの」と言いかけて、飲み込む。
この店に、僕の「いつも」はもうない。

「ホット、Mで」
「かしこまりました。ミルクは」
「少し、多めに」
「当店、分量が決まっておりまして」

線。
ここでも線か。

「じゃあ別のカップに、ちょっとだけ」
「別料金になります」
「五十円?」
「八十円です」

沈黙。
彼はレジから目を離さない。
僕はメニューから目を離さない。
二人のあいだに、見えない一本が引かれている。
それは値段の話ではなかった。少なくとも、僕のほうは。

根負けして、僕は言った。
「君たちは、どうしてそう、線を引くんだ」
言ってから、パワハラの三文字が頭をよぎる。

彼は少し首をかしげた。
「引かないと、こっちが溶けちゃうんで」
そしてミルクを、無言で、少しだけ多めに入れた。
八十円は、取られなかった。

溶ける。
沢田さんの薄くなった背中が浮かんだ。
線を引かなかった人は、溶けて、いなくなった。

田村たちが握っているのは、定規じゃなかったのかもしれない。
浮き輪だ。

会社に戻る。
鞄の底の封筒を、指でつまむ。
出さない。まだ、線の引きかたを覚えていないだけだ。
覚えれば、僕も、もう少しここにいられる。

デスクに着くと、田村が近づいてきた。
「課長、さっきの依頼の件」
「範囲外、なんだろ」
「はい。でも、終わらせておきました」

え。

「盆の間に、みんなで。課長、休んでたんで」
彼はいつものように、にっこり笑う。
「線の外は、勝手にやります。中に踏み込まれると、困るだけで」

胸の奥が、熱くなる。
何か、いいことを言おうとした。
「田村、ありがとう。俺は──」
「あ、課長」
彼が手のひらを、そっとこちらへ向ける。
「お礼、就業時間内でお願いします。あと五分で昼休みなんで」

僕は鞄から、白い封筒を取り出した。
三行の退職願。
その裏に、五分で書けるだけの「ありがとう」を書き始めた。

書き終える前に、田村が横から覗き込んだ。
「課長、それ、退職願の裏ですよね」
「気づかなかったことに、してくれ」

彼はにっこり笑って、そこにだけは、線を引かなかった。



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