【詩】去りゆく影 (The Departing Shades)
去りゆく影 (The Departing Shades)
人生の宴よ、
瞬く間に過ぎゆく幻。
我らは手探り、
闇夜に光を求めん。
愛の炎は、
激しく燃え盛るも、
やがては灰と化し、
風に舞い散る定め。
甘美なる友情の誓い、
固き絆も、
時の流れには抗えぬ、
脆き砂の城。
かつて共に笑いし声は、
遠きこだまとなり、
裏切りの影、別離の嵐に、
消え失せる。
そして、人の世を惑わす、
黄金の輝きよ! 富は幻影、
掴めば砂のごとく零れ落ち、
飢えたる魂を、
さらに渇かせ、
墓の中には、
一片の価値も持たぬ。
すべては去りゆく、
この定められた道。
若き日の情熱も、
美しき夢も、 残るはただ、
魂の奥底に刻まれし、
虚しき記憶と、
深き孤独の淵。
されど、我は歌う、
この定めを受け入れん。
抗うことなき、
宿命の荒波を。
去りゆくもの全てに、
別れを告げ、
ただ己が影と共に、
闇の中を進まん。
「去りゆく影」あとがき
この詩は、愛、友情、そして富といった、人が人生で追い求めるものの本質と、それらが持つ儚さをテーマに紡ぎ出されました。
私たちは皆、かけがえのないものとして、愛や友情、あるいは財産を大切にし、時にはそれらを永遠のものだと信じようとします。しかし、時の流れは容赦なく、喜びも悲しみも、出会いも別れも、すべてを包み込み、そして変化させていきます。この詩では、その普遍的な「去りゆくもの」への諦念と、それでもなお生きる人間の姿を、バイロン特有の情熱的でありながらも、どこか憂いを帯びた視点で描きたいと考えました。
詩の冒頭にある「人生の宴よ、瞬く間に過ぎゆく幻」という言葉は、私たちの生がいかに短く、そしてその中で経験する全てがいかに刹那的であるかを示唆しています。愛の炎が「灰と化し、風に舞い散る定め」、友情が「脆き砂の城」、そして富が「幻影」であるという表現は、それらが持つ一過性の美しさと、いずれ消えゆく運命を対比させています。
しかし、これは決して絶望の詩ではありません。最後に「されど、我は歌う、この定めを受け入れん」と結ぶように、去りゆくもの全てを受け入れ、その中で自らの魂の道を歩む決意が込められています。深き孤独の淵にあっても、人は抗うことなき宿命の中を、己の影と共に進むことができる。そこにこそ、真の勇気と美しさがあるのではないでしょうか。
この詩が、読者の皆様の心に、人生の様々な局面における「去りゆくもの」への省察と、そしてその先に見出す新たな光について、何か感じていただけるきっかけとなれば幸いです。
筆者より
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