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天空シリーズ『龍とうさぎの物語』③


🐉🐰 第3章 月の記憶

星の道を渡り終えたあと、
うさぎとリュナは静かな雲の上に降り立った。

そこには、まるで湖のように広がる光の海――
月の記憶が眠る場所だった。

雲の下から淡い光が滲み出て、
風がその光をやさしく撫でていく。

うさぎは耳をぴくりと動かし、
その音を聞いた。

それは、誰かの願いの声だった。

「風に乗って、もう一度会いたい。」

リュナは静かに目を閉じた。

その鱗が淡く光り、
星の粒がひとつ、うさぎの足元に落ちた。

「これは、昔の願い。
風が運び、月が抱いた記憶だ。」


うさぎはその光をそっと両手で包んだ。

温かくて、少し切ない。
でも、どこか懐かしい。

「リュナ……この願いは、まだ生きているの?」

龍はゆっくりとうなずいた。
その瞳には、夜空のすべての星が映っていた。

「願いは消えない。
風が止まっても、
光がそれを覚えている。」

うさぎは胸の奥がふわりと温かくなるのを感じた。

そして、そっとその光を空へ放った。

光は風に乗り、月の方へと昇っていった。

リュナはその姿を見つめながら、
静かに言った。

「跳ねる者よ。
おまえの心が動くたび、
世界はひとつ、やさしくなる。」

うさぎは微笑み、
月の光の中で小さく跳ねた。

その瞬間、風がふわりと流れ、
夜空が新しい願いで満たされた。

 © Kaori

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