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suzukononikki
月子さん、月へ帰る【承の一】
「行ってみたいお店があるんだけど」
と、カウンターの向こうで幸薄そうな月子さんが言った。
「どこ?」
「割と近く」
「ふぅん」
さっきから会話は全然盛り上がらない。
やる気はあるのか、月子さん。
「付き合ってくれない?」
「は!?」
「一人じゃ入りづらくて…」
「…ああ」
会話も盛り上がらず、重苦しい沈黙ばかりが続く幸薄そうな月子さん。
よく見れば美人だが、せっかくの週末もう少し気楽に楽しく飲みたい。
お断りしよう。
と、思ったその時。
「そろそろ上がれるから」
と言い置いて月子さんはその場から離れた。
幽霊のような足取りでそろそろとママの所へ行き、何がしか話している。
「えいよぉ~♪」
というママの関西弁とも標準語ともつかぬ陽気な返事が聞こえた。
どうやら許可がおりたらしい。
ああ、断り損ねた。
すすすすっ。
と戻ってきた月子さんがそっと会計票を差し出した。
汚い字で【¥3000】と書かれていた。
〈つづく〉
お疲れカツカレーさんの企画に参加させていただいてます。
