缶スープ最後の一粒
私は「じっくりコトコト コーンスープ」に長年苦闘してきた。
よく振って飲んでも、最後の2、3粒は残る。
最後の1粒は手強い。
自分の顔と缶を80度に傾け、周りの目を気にしながら吸っても、缶の底を小鼓のようにポンポン叩いてもコーンは引力に抗えない。
正直、底に溜まったコーンを吸える専用ストローくらい、そっと添えておいてくれてもいいのに、と思ったことは一度や二度ではない。
そのもどかしさは、缶を叩いた振動と一緒に、なぜか私の前歯に跳ね返ってきた。
「今度こそ」と覚悟を決め、缶をダストボックスに託す。
後味が悪いとわかっていても、つい手が伸びるのはあの暖炉のような暖かさのせいだ。
今日は、缶を握ったまま駅の階段を降り、いつもどおり最後に吸ってみる。
あれ? ない。コーンがない。
降っても手ごたえがない。
完食。
私はついに、コーンを制した。
自動販売機から缶を取って逆さにしたままホームに向かったのが、功を奏したらしい。
缶の側面の文字を見つけた。
その文句は
ー「コバラも心もホッとする」ー。
私のちょっとくだらない執念は
コバラと一緒に
とうとう満たされた。
