Photo by
tsuyoume
TIME IS EVERYTHING
朝、目を開けると、ベッドの横にもう一人の自分が座っている。
眠っている間に抜け落ちた“昨日の自分”が、
まだ身体に戻りきれずにぼんやりと揺れている。
昼になると、影が三つに増える。
一つは現在の自分。
一つは、仕事に追われていた頃の自分。
そしてもう一つは、まだ形になっていない未来の自分。
三つの影は、歩く速度とはまったく違うテンポで動く。
遅れたり、先回りしたり、時には壁の向こうへすり抜けたりする。
影が勝手に動くたび、空気がわずかに震え、
部屋の中の時間が一瞬だけねじれる。
何にも追われない時間は、
自分の輪郭を増やしてしまうから。
余計なものが剥がれ落ちて、
“本来の自分”が複数の形で現れてしまうから。
ときどき、未来の自分の影が、
自分より先に部屋を出ていくことがある。
その背中を見送るたび、
時間がゆっくりと溶けて、床に薄い波紋を広げる。
その波紋の中で、ようやく理解する。
時間は流れるものではなく、
分裂し、増え、触れられるものだった。
そして最近では、影だけでなく、
身体の一部が、時間の中へ沈んでいく感覚がある。
手を伸ばすと、指先が少し遅れてついてくる。
まるで、身体が“未来の自分”と“過去の自分”のあいだで
引き裂かれながら存在しているように。
その歪みの中で、静かに思う。
