幸せの鼓動
幸せとは本来、他者を介在せずに感じるものなのだと、最近ようやく思うようになった。
ほんの少し夕焼けが混じった影に映る木漏れ日。
大切な人と飽きもせず何度も同じことを話すこと。
味がしみたお鍋の豆腐。
そんな、自分の心でしっかり確かめられる瞬間に自然と浮かぶ心地良さや感謝の気持ちを「幸せ」と呼ぶのだと思う。
だから幸せは、深海でかすかに響く、生きものの心臓の鼓動のように、静かで、でも確かにそこにあるのかもしれない。
それでも
「ねえ、この鼓動の音を聞いてみて」
と言ったら、誰もが耳をすませて
「この音いいね」
と言ってくれる。目立たないけれど確かに存在する。そんな尊いものだと思う。
もちろん、打ち上げ花火のような幸せもある。
けれど花火は毎日は上がらない。
だからわたしは、自分だけの図鑑を本棚から取り出して、深海に潜む生きものの鼓動に耳をすませる。
そうやって見つけた湯気や、笑い声や、あたたかい毛布が、わたしの幸せを作っていくのかもしれない。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
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