見出し画像

【思い出回収人】 シーン6-2 パンツ男救出

結局は、書き出してみないと分からない

脚本を書く時に、いろんな流派がある中で、昨日はブレイク・スナイダーさんの理論というか、進め方を紹介しました。
僕は、シナリオ講座とか、そういうたぐいの講習を受けたことがないし、誰かに師事して脚本を学んだわけでもないので、カッコよく言うと独学とか無手勝流ですが、まぁ、手探り流ですね。

手探り流・脚本七箇条


一、最初と最後が見えるまで、書き出さない

メモはめっちゃ取りますけど、最初のワクワクする感じと、最後、ちょっとハッピーな気持ちになれるシーンが見えないと書き出さないようにしてます。
基本的には、ハッピーエンドで終わらせたいんですよね。

二、締め切り前厳守

舞台の場合、本読み日とか稽古開始日というのがあります。本読みの時に最後までいってない脚本は本じゃないですね。もっというと、本読みや稽古に来る役者さんに、あらかじめ読んできてもらいたい時は、二日前には渡したいと思ってます。
もちろん初稿から内容が変わるのはいいんですけど、役者さんたちに「こういう物語です」というのを提示できなかったら、もうそれは仕事ではないですね。

三、箱書き推奨

行き詰まるんです。天才以外は壁がいくつもやってきます。低い壁もあれば高くて分厚い壁もあります。もう壁にぶち当たったら「ここは、なんか・・・こんな感じ」というのを箇条書きで書いて箱書きにしといて先に進むのがいいです。
長く立ち止まってても時間の無駄です。

四、とりあえず、最後まで書き散らかす。

後から削って整える方がいいんじゃないかなと思ってます。
書きながら「うわぁ、散らかってるなぁ〜」って、何度も思います。

五、登場人物を動かして、物語を考える。

昔は、こればっかりでした。主役の登場人物を動かして、物語を作っていくというか、物語が出来ていくみたいな。で、物語展開させるのに、こんな人いてたらいいなぁ・・・と思って、ちょっと前に戻って登場させてました。

六、途中で読んでもらう

これは、最近追加した心得というか。
起承転結でいう起承ぐらいまでいって、壁にぶち当たったり逆に余裕があったら知り合いの役者さんに、ここまでの本読みをやってもらうと作品のテンポ感とか見えていいですよ。
ただ、この心得で必要になるのは、本読み終えた後の焼肉代が必要になってきます。なので、少人数の作品の時は推奨しますけど、大人数は辞めといたほうがいいです。
前に初めて朗読劇を書いた時は、めちゃくちゃ変更したことあります。

七、結局は、書き出してみないと分からない。

なんやかんや書きましたけど。書き出さないと始まらないんです。もちろんロングプロットの時点で「これ・・・アカンな」って思ったりします。


いろいろ書きましたが、いろんな流派がありますので、自分に合ったやり方を見つけるしかないですよね・・・脚本に限らず。

さて、昨日、設計図を後づけで作りました(ホントは、セリフを書き出す前にやる作業です)ので、この設計図を元に【思い出回収人】を、ちょっとだけ進めようと思います。

早速、ちょっと変更したので、シーン7の前のシーン6『パンツ男』を書き足します。

ちなみに・・・ここまでの簡単なあらすじ

バンド解散の挫折に苦しむ拓実は、不要な思い出を回収するというチラシを頼りに、怪しげなアンティークショップ『パンドラ』を訪ねる。店主の小津から「要らない思い出を買い取る」という奇妙な商売を聞かされた拓実は、過去の選択をなかったことにするために思い出を売りに来た客や、失恋話を盛って何度も売りに来る常連客の姿を通して、店主の小津と正バイト五味くんの不思議な世界に足を踏み入れていく。
そんな中、小津の出張買取に同行した拓実は、ヤクザ(っぽい男)のリキと浮気相手の修羅場に遭遇する。命の危険に晒されていた浮気未遂のパンツ男を前に、小津は『修羅場の思い出』を買い取り、パンツ男の命を救う。

シーン6の続き

台本なので縦書きを読んでいただくのを推奨しますが、横書きも残しておきます。

思い出回収人

脚本・福島カツシゲ

シーン6−2 パンツ男救出

 明かり イン(駐車場)
 小津と拓実の前にパンツ男が立ってる

パンツ男「ありがとうございます」
拓実「うそでしょ?」
小津「しょうがないじゃないですものねぇ。あのまま放っておけます?」
拓実「まぁ、たしかに、放っておいたら」
パンツ男「人生、終わってました。ありがとうございました。ご恩は一生忘れません。お金は、一生かけて返しますので」

小津「いいですよ、たいした金額払ってないので」
パンツ男「へ?」
小津「この思い出は、高く売れるかもしれませんし」
拓実「・・・」

パンツ男「いや、知らなかったんですよぉ、ホントですよ。電気を見て欲しいって言われて、部屋に入ったら、あんなカッコされてまして、接触を、いや、電気の接触を試そうと思って電気を点けたり消したりしてたらムラムラっとしちゃって、でも、我慢してたんです。そしたらあの女の人が『帰ってこないから大丈夫なの』って、ガバッと覆いかぶさってきたんですよぉ」

小津「思い出話は置いといて、とりあえず、家まで送りますか」
パンツ男「いやいや、そんな、自分で帰れますから」
拓実「ひとりで、帰れます?」
パンツ男「やだな、子どもじゃないんですよ」
拓実「だからでしょ!」
パンツ男「電車で一駅ですから」
拓実「いや、そういうことじゃなくて」
小津「人生終わりかけた人間は強いですものねぇ」

パンツ男「では、わたくしは、これで・・・」
拓実「ちょっと!さすがに、そのカッコで電車に乗ったら」
パンツ男「あぁ・・・寒いですかね?」
拓実「はぁ・・・」

小津「では、タクちゃん、よろしくね」
拓実「え?よろしくって?」
小津「家まで送ってあげてください」
パンツ男「いいんですかぁ!」
拓実「いや、あの・・・」
小津「わたしは歩いてお店まで帰りますんで、タクちゃんはそのまま直帰で、車は明日でもいいですから」
拓実「ちょ、直帰って!」
パンツ男「何から何まで、ありがとうございます」
拓実「いや、ありがとうって言われても」
小津「では、よろしくお願いします」

 去っていく小津

拓実「ちょ、ちょっと!(去っていく小津に)なんか、バイトみたいになってません?」
パンツ男「え、違うんですか?」
拓実「なんだよ・・・なんで俺が送らなきゃいけ(ないんだよ)」
パンツ男「ですよね。わたしが運転しましょうか?」
拓実「そういうことじゃなくて!」
パンツ男「すみません」

パンツ男「タクさん、で、いいですか?」
拓実「タクさん?」
パンツ男「お名前」
拓実「ええ、まぁ・・・いやいや、どう見てもそっちのほうが年上ですよね」
パンツ男「いえいえ、助けていただいたわけですから、年上年下関係ありません。わたくし、大河内です。大河内秀忠、ヒデでけっこうです」
拓実「大河内秀忠、なんか戦国武将みたいな名前ですね」
大河内「よく言われます」

拓実「戦国武将が、パンツ一丁って・・・」
大河内「笑っちゃいますよね」
拓実「笑えませんよ」
大河内「ですよね」
拓実「どっちなんですか」
大河内「どっちもです。いやぁ、空って、こんなに青いんですね」
拓実「え?」
大河内「もう二度と空を見ることはないんだろうなって思ってましたから」
拓実「・・・・・・」

大河内「あ!」
拓実「え?」
大河内「バイトじゃないって、言ってましたよね」
拓実「ええ、違います」
大河内「お店の人じゃないのに、なんであの場にいらしたんですか?」
拓実「なんでって、なんか、成り行きっていうか」
大河内「成り行き、ですか?」
拓実「・・・僕も実は思い出を売りに行っただけで」
大河内「思い出を、売りに?」
拓実「ええ、まぁ・・・」
大河内「どんな、思い出だったんですか?」
拓実「なんで、あなたに」
大河内「ヒデでけっこうです」
拓実「いえ・・・しょうがないので、送っていきますけど」
大河内「ありがとうございます。イヤな思い出って、意外と赤の他人の方が話しやすかったりしますよね」
拓実「・・・・・・車、あっちです」

 袖にハケていく
 ゆっくり暗転


改めて、シーン6終わり

いいなと思ったら応援しよう!