CRMを理解すべし 結局、CRMとは何なのか
「CRMとは何をする仕事なのか?」に迷うCRM担当者と、その成長を支える管理職の方へ。
これまで6回にわたって、CRMについて書いてきました。
第1回「CRMは『顧客管理』ではない」
第2回「CRMは『マーケティングの最後』ではない」
第3回「CRMは『売上』ではなく『信頼』を作る仕事」
第4回「CRM担当者は『顧客の代弁者』である」
第5回「CRMは『お客さまを選ぶ仕事』でもある」
第6回「CRM担当者はCMOと心得るべし」
今回は、このシリーズの締めとして
「結局、CRMとは何なのか?」
について、改めて考えてみたいと思います。
CRMを「施策」で理解してはいけない
CRMの仕事を聞くと
・メールを配信する
・LINEを送る
・キャンペーンを実施する
・顧客データを分析する
・休眠顧客を掘り起こす
といった仕事が思い浮かぶかもしれません。
もちろん、どれもCRMの大切な仕事です。
しかし、これらはすべて「手段」です。
CRMをこうした施策だけで理解してしまうと
「メールの開封率を上げる」
「LINEのクリック率を上げる」
「キャンペーンの売上を上げる」
ことが目的になってしまいます。
CRM担当者が考えるべきことは
その先にあります。
その施策によって、お客さまとの関係はどう変わったのか。
ここまで考えることが、CRMの仕事だと思います。
CRMは「顧客管理」ではない
CRMは
Customer Relationship Managementの略です。
日本語では「顧客関係管理」と訳されます。
そのため、CRMというと
顧客リストを整理する。
購買履歴を見る。
顧客データベースを管理する。
といった仕事だと思われがちです。
しかし、お客さまは企業から
「管理されたい」と思っているわけではありませんよね。
自分のことを理解してほしい。
自分に合った情報がほしい。
自分にとって価値のある商品やサービスを提供してほしい。
お客さまが求めているのは、
「管理」ではなく「理解」です。
だから私は
CRMは「顧客を管理する仕事」ではなく、「顧客を理解する仕事」
だと考えています。
顧客を理解すると、マーケティングが変わる
では、なぜ顧客を理解することが大切なのでしょうか。
理由は
CRMで得られた顧客理解が
CRMだけのものではないからです。
たとえば
どんなお客さまが長く継続しているのか。
どんな悩みを持つお客さまの満足度が高いのか。
どの商品から始めた人が継続しやすいのか。
どんな広告から入った人が長く利用してくれるのか。
こうしたことが分かれば
「誰に広告を届けるべきか」
が変わります。
さらに
「どんな商品をつくるべきか」
「どんなサービスを提供すべきか」
「どんな言葉で伝えるべきか」
まで変わっていきます。
つまりCRMは
商品 → 広告 → CRM
というマーケティングの最後にある仕事ではありません。
CRMで得られた顧客理解を
CRM → 商品
CRM → 広告
CRM → サービス
へ戻していく。
この循環をつくることが重要なのです。
CRMがつくるものは「信頼」
では、お客さまとの関係をつくるために、
企業は何を積み重ねればいいのでしょうか。
私は
「信頼」だと思っています。
CRMでは、つい売上を追いかけたくなります。
キャンペーンを送る。
クーポンを配る。
購入を促すメールを送る。
もちろん
売上をつくることは重要です。
しかし
「今月の売上をつくるために、もう一通メールを送ろう」
という発想だけでCRMを続けていると、
お客さまとの関係を少しずつ消耗させてしまうことがあります。
CRMで考えるべきなのは
「この施策で売上はいくら上がるか」だけではなく、
「この施策でお客さまからの信頼は増えるか」
ということです。
信頼が積み重なれば
継続につながります。
継続すれば、
LTVも高まります。
売上は
信頼の積み重ねによって生まれる「結果」でもあるのです。
CRM担当者は「顧客の代弁者」である
企業の会議には
さまざまな立場の人が参加します。
営業は、売上について話します。
広告担当者は、顧客の獲得について話します。
商品担当者は、商品について話します。
では
「お客さまはどう感じているのか」
を話すのは誰でしょうか。
その役割を担えるのが
CRM担当者だと思うのです。
CRM担当者の手元には
購買履歴だけではなく、
問い合わせや解約理由、
アンケートやレビューなど、
さまざまな「顧客の声」が集まります。
だからこそCRM担当者は
「数字が上がったから成功」
で終わるのではなく、
「お客さまは本当に満足しているのか」
「なぜ継続してくれているのか」
「なぜ離れてしまったのか」
まで考える必要があります。
CRM担当者は
社内における顧客の代弁者なのです。
CRMは「誰と長く付き合うのか」を考える仕事
すべてのお客さまと
同じ関係を築くことはできません。
時間も、人も、予算も限られています。
だからCRMでは
どんなお客さまが長く続いているのか。
どんなお客さまのLTVが高いのか。
どんなお客さまがブランドを好きになってくれているのか。
を理解する必要があります。
そして
「誰と長く付き合いたいのか」
を考えます。
これは
お客さまを切り捨てるという意味ではありません。
自社の商品やサービスが
より大きな価値を提供できるお客さまを理解するということです。
そして企業がお客さまを選ぶだけでは
長い関係は生まれません。
お客さまからも
「この企業と付き合い続けたい」
と選んでもらう必要があります。
CRMとは
選び、そして選ばれ続ける関係をつくる仕事
でもあるのです。
だからCRM担当者は、マーケティング全体を見る
ここまで考えると
CRM担当者の仕事はメールやLINEだけではないことが分かります。
顧客を理解する。
その理解を広告へ戻す。
商品へ戻す。
サービスへ戻す。
そして
お客さまとの関係をさらに良くしていく。
だから私は
CRM担当者は「小さなCMO」であるべき
だと考えています。
もちろん
実際にCMOと同じ権限を持つという意味ではありません。
持つべきなのは
「視点」です。
自分の担当施策だけを見るのではなく
顧客、商品、広告、売上、利益、ブランド。
それらをつなげて考える。
CRM担当者には
それだけ広い視野が必要なのです。
CRMを一本の流れで考える
ここまで書いてきたことを整理すると
CRMは次のような流れになります。
顧客を理解する
↓
顧客に価値を届ける
↓
信頼が生まれる
↓
継続してもらう
↓
LTVが高まる
↓
そこで得た顧客理解を商品・広告・サービスへ戻す
↓
さらに顧客への価値が高まる
CRMは
この循環をつくる仕事なのだと思います。
メールもLINEも
データ分析もキャンペーンも
すべてこの循環をつくるための手段です。
だからCRM担当者は
施策から考えるのではなく、
「お客さまとの関係をどうしたいのか」
から考える必要があります。
結局、CRMとは何なのか
このシリーズの最後に
改めてCRMを自分なりに定義してみます。
CRMとは、顧客データを管理することではない。
顧客を理解し、信頼関係を築き、その顧客理解を商品・広告・サービスへ還元することで、顧客と企業の双方にとって長く続く関係をつくるマーケティング活動である。
少し長い定義です。
でも
CRMを「メール配信」や「顧客管理」だけで説明しようとすると
大切なものが抜け落ちてしまいます。
CRMの真ん中にいるのは
ツールでも、データでもありません。
お客さまです。
「今日は何を配信するか」ではなく
「お客さまとの関係を、今日は少し良くできただろうか」
CRM担当者には
そんな問いを持ちながら仕事をしてほしいと思います。
それが
CRMを理解するということだと
私は考えています。
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