種族を越えて 【AI生成画像使用】


〜のんびり   夢の世界へ〜
ゆらゆらり



家族とはぐれた『うさぎのお嬢』
ひとり群れから離れた『ライオンの俺』

種族の違う俺たち。



隠れ家を求め
暗い森の中に分け入った

酷い嵐の日。


雨音しか響かないはずの森に
違和感のある音が混ざっていた。


草陰で今よりもっと小さなお嬢が
小刻みに震えて泣いていた。



その姿に、自分が重なって見えた。
寒くて…、怖くて…。孤独で。


(生き抜くには…まだ幼すぎる。)



ひとりで気高く生きていくと
決意を固めたばかりだったのだが…。


『ふはぁ〜。よく寝たわぁ〜。』


種族が違うはずの俺とお嬢は
なぜだか仕草までも似てきた。

親子のように…。


お嬢の前では牙を失ってしまう。

なんとも不思議な力を持つお嬢。


『も〜!赤ちゃんあつかいしないでぇ。』


赤ちゃんだとは思っていないさ。


お嬢を見ていると俺の心に
疾うの昔に捨てた家族の姿が浮かぶ。


荒れた森の中で
鉢合わせた獰猛なライオンに
怯えるのかと思えば、


嬉しそうに手を振りながら
駆け寄ってくるなんてありえないだろ?


天真爛漫なお嬢くらいなもんだ。


『がお〜っ!あたしは強いライオンよ!』


『はい…はい。わかってますよ。』

可愛くて小さな
長い耳のライオンさん…。


『旅へゆくぞ!ライオン丸よ。』


(なぜだろうか?)

この俺がいつも振り回されている…。


お嬢が漂わせる空気感はなんとも不思議だ。

驚くほど抵抗なく受け入れてしまう。


(ところで、なんだライオン丸って…。)


『こっ、怖い…水。』


『あ〜、そうだったな。大丈夫か…?』


お嬢と出逢ったあの日は、

たしか大粒の雨がバチバチ音を立て
全ての音を消し去るような
土砂降りだった。



激しい雨音で方向を見失い、

お嬢は家族とはぐれ

ひとり怯えていたんだったよな。



大丈夫…。

俺はお嬢を絶対に見失わない。


『心を清めてから城に行きたいんだろ?』


よく頑張ったお嬢。
怖さに勝てたな。


『さぁ、旅に出ようか!』


『なんか…違う。プリンセスどこ…?』


よ〜く、見てみろ!
女神様たちが舞っているだろ…、きっと…。


お嬢が見たかったのは
きらきらした宮殿のような城だと
本当は俺はわかっていた。


だがな、もしお城に王子さまがいたら
この可愛いプリンセスは見初められ
お城で暮らすことを

選んでしまうかもしれない…。


(それは…、もう少し先にしてくれないか?)


『ライオン丸…。ゆっくりそっと歩いて…。』


任せておけ。
ここは滝壺、流れが速いぞ。

しっかり俺の自慢の鬣を掴んでいろよ。


守る者を持つことで
弱っていた俺が

強くあろうと奮い立つ。


(また、少し強くなったな…。お嬢。)


『ライオン…、パパ…。』


俺は気づいていた。

旅の帰りに寄った、あの深い滝壺は
あの日お嬢が泣いていた場所

ただの荒れ地だった。

 
お嬢の溢れる涙、
あの日の涙と共に生まれた
神聖な恵み。


まだ気づいていないだろう。


この森の女神は

『耳が長い小さなライオン』

癒しの泉は生命を宿し
繁栄へと導く。



あともう少しだけ俺にへんてこな
楽しい夢の続きを見させてくれないか?

プリンセス…。





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