オレの彼女と、食べ歩き。
オレの彼女は、食いしん坊。食べることが大好きだ。
何か食べている時、すごく機嫌がいい。大好きな笑顔を見せてくれる。
学生時代、バイト先で出会った。
先に休憩に入っていた彼女は、オレが下がると必ず幸せそうな顔で何かを食べていた。その顔が良かった。オレまでハッピーにする笑顔。
また、彼女はそこで言うのだ。
「あっ、お帰り。」
休憩室でいう言葉じゃないけど、ついオレも「ただいま」ってふざけた。
そんなことがきっかけで、なんか変に意識して、好きになって、それでもって、付き合うことになった。
彼女といると食べ物エピソードに事欠かない。
「私、昨日の夜ね、寝言で『クジラ汁食べたい』って言ったんだって。おばあちゃんちに行った夢を見たのかなぁ。よく覚えてないんだけど。」
本当に食べるのが好きなんだなぁと感心をした。あと、笑える寝言では、オレも負けない。プロレス好きのオレは、夜中「ロープ、ロープ」と声を上げたらしい。ビジホの相部屋で、先輩に聞かれてしまった。
好きなものは夢に見る。まぁ、オレの話はいいか。
だから、オレは彼女と一緒に、色々な物を食べ歩く。方々に出かける。
特に海鮮系には目がない。
以前、築地に出かけた。新鮮な魚介が売りの丼ものやさん。
暖簾をくぐり、テーブル席に座る。店主が写真入りのメニューを差し出してきた。そのメニューを隈無く見渡しながら、オレの彼女はこう聞く。
「どれがオススメですか?」
店主は、慣れた感じに答える。
「いくら丼ですね。」
オレの彼女は、それを聞き、とても嬉しそうに声を張り、また、滑舌良く言った。
「わー、写真で見ると、たっぷり、いくらが載っていますねー。」
店主の肩がピクっとなるのが分かった。
オレの彼女は図らずプレッシャーをかけるのが上手い。
すぐ隣でオレは、ぷっと吹き出しそうになった。
そして、運ばれたものを残さず、とにかく美味しそうに食べる。そこがいい。
また、この冬、二人で小さな旅行をした。場所は北陸。彼女の誕生日が近いこともあって、奮発した。美味しいもの巡り。なかでも蟹は食べよう!となった。いつも割り勘だけど、この時だけは、オレも頑張った。産地で食べる蟹は、オレも初体験。気分が上がった。
初めて食べたブランド蟹。相当美味かった。当然彼女も喜んだ。
それで、その時言った彼女の言葉に、心から笑った。
「私、これ、カバンに付けて持ち歩きたいな。」
手には、今食べた蟹が運ばれてきた時付いていた三角形のブランドタグ。「○△蟹」って、金枠で囲まれたやつ。
「かっ、可愛いオレの彼女」と胸、射抜かれた気がした。
それで、つくづく思った。
あー、蟹清水ダイブして良かったぁ、って。
これからも、オレは彼女と食べ、笑い続けていけたらいいな。
